タンペンベストテン
短篇ベスト10
発売日 2015/05/20
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-04505-8
ページ数 384 頁 Cコード 0397
定価 2,592円 (本体価格2,400円)
集団主義のイデオロギーによって個人が厳しく抑圧される様を、独裁者の支配下、人びとが水の中に住むことを強制されている星に仮託して風刺的に描いた「航星日記・第十三回の旅」、大事故にあった宇宙船の中に唯一生き残った、壊れかけのロボットに秘められた謎を追った「テルミヌス」、高性能コンピュータに人類の歴史のありとあらゆる情報を吸収させた上で詩を作らせる、抱腹絶倒の言葉遊び「探検旅行第一のA(番外編)、あるいはトルルルの電遊詩人」など、本国ポーランドの読者人気投票で選ばれた15篇の短篇から、未訳の10篇をセレクト。
スタニスワフ・レム (スタニスワフレム)
1921年、旧ポーランド領ルヴフに生まれる。クラクフのヤギェウォ大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表。1950年に長編『失われざる時』三部作を完成。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長編『エデン』『ソラリス』『砂漠の惑星』など多くのSF作品を発表する。70年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論を発表。2006年に亡くなるまで中欧の小都市クラクフから人類と宇宙の未来を考察し続けた。
沼野充義 (ヌマノミツヨシ)
1954年,東京生まれ。東京大学卒,ハーバード大学スラヴ語学文学科に学ぶ。ワルシャワ大学講師を経て,現在,東京大学教授。著書に『徹夜の塊 亡命文学論』(作品社),『徹夜の塊 ユートピア文学論』(作品社),『W文学の世紀へ』(五柳書院),『ユートピアへの手紙』(河出書房新社),『200X年文学の旅』(共著,作品社),編著書に『東欧怪談集』(河出文庫),『世界×現在×文学 作家ファイル』(共編,国書刊行会),『世界は文学でできている』(光文社)などがある。
関口時正 (セキグチ トキマサ)
1951年,東京生まれ。東京大学卒。1992年から2013年まで東京外国語大学でポーランド文化を講じた。現在,同大学名誉教授。著書に『ポーランドと他者』(みすず書房),訳書に『ショパン全書簡1816~1831年――ポーランド時代』(共訳,岩波書店),チェスワフ・ミウォシュ『ポーランド文学史』(共訳,未知谷),ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ『尼僧ヨアンナ』(岩波書店),『ヤン・コット 私の物語』(みすず書房)などがある。
久山宏一 (クヤマコウイチ)
1958年,埼玉生まれ。東京外国語大学卒,早稲田大学大学院博士後期課程中退。アダム・ミツキェーヴィチ大学(ポーランド・ポズナン市)より文学博士号(スラヴ文学)取得。現在,東京外国語大学など非常勤講師。ロシア・ポーランド文化研究,ポーランド語通訳。著書に『ミツキェーヴィチのソネットとロマン主義期のロシア・ソネット』(ポーランド語),共訳書にヴァンダ・ヴェルテンシュタイン編『アンジェイ・ワイダ 自作を語る』(工藤幸雄監訳,平凡社),アンジェイ・ムラルチク『カティンの森』(共訳,集英社文庫)などがある。
芝田文乃 (シバタアヤノ)
1964年,神奈川生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者,写真家,エディトリアル・デザイナー。1992年より東京,クラクフなどで写真展開催。訳書にレム『高い城・文学エッセイ』,コワコフスキ『ライロニア国物語』(いずれも共訳,国書刊行会),ムロージェク『所長』,『鰐の涙』(未知谷)などがある。
三人の電騎士
第二十一回の旅
洗濯機の悲劇
A・ドンダ教授 泰平ヨンの回想記より
ムルダス王のお伽噺
探検旅行第一のA(番外編)、あるいはトルルルの電遊詩人
自励也エルグが青瓢箪を打ち破りし事
航星日記・第十三回の旅
仮面
テルミヌス
〈メニッペア〉としての小説――短篇作家としてのレムを称えて(沼野充義)
*近刊