2013年12月28日

2014テレビ信州杯事前企画⑤ ぎふ男子たち

2014テレビ信州杯事前企画⑤ ぎふ男子たち

あくまで結果だけでいうならば。
ぎふ男子たちにとって、今年は、少し悔しさの残った年だったのではないだろうか。

1年前の今ごろ、ぎふには全日本チャンピオンが3人いた。
ジュニアチャンピオンの安藤梨友。
高校チャンピオンの臼井優華。
社会人チャンピオンの福士祐介。

しかし、今年は。
ジュニアチャンピオンの安藤梨友だけだ。

臼井優華(中京大学)は、今年から大学生になった。
高校時代に勝ち続けていたからと言って、大学生になったとたんにインカレチャンピオンになるというのは容易ではないだろうということは、臼井も十分承知していたと思う。
だからこそ、「高校時代の延長」ではない演技をしようと、試行錯誤している様子はうかがえたし、その成果も見えつつあったように思う。

が、それが結果に反映されるにはもう少し時間がかかる、ということなのかもしれない。
また、今年の臼井優華は、試合でいくつかのミスを犯した。高校時代は、本当にミスがなく、その実施の確かさが、強さの裏付けになっていた選手なだけに、西日本インカレ、全日本インカレ、そして、ジャパンでも、ほんのわずかとはいえ、「ミスした!」と思わせるレベルでのミスが出てしまったことは、常勝だった高校時代とは少し違っていた。

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でも、それも、これからの彼のことを思えば、決してマイナスではないと思う。高校時代には望んでも得られなかったものを、この1年で彼はたくさん経験できたと思うから。 負けを経験したからこそ、感じられる悔しさや、もう一度勝ちたい! と思うからこそ得られる欲もあるはずだ。 この1年間の経験が、これからの臼井優華という選手をどう変えていくのか、興味深く見守りたいと思う。 もう一人。 ぎふ男子の中で、今年は、ものすごく悔しい思いをしたのではないかと思うのが、五十川航汰(済美高校)だ。 インターハイでの彼の演技は、つい先日も、ある新体操関係者と話していたときに話題になった。それくらい印象に残るものだった。 攻めに攻めて、そして、それを完璧にまとめていた。 たしかに、五十川の上には、小川晃平(井原高校)、永井直也(青森山田高校)という強力なトップ2がいた。だが、それでも、インターハイでの五十川の演技は、彼らよりも明らかに劣っていたとは言えなかった。 勝ってもおかしくなかった。 たしかに彼はそんな演技をしたのだ。 今までとは明らかに違う演技だったのだ。 それでも、結果は、「いつもと同じ3位」だった。
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物静かな印象の五十川が、おそらく初めてではないかと思うくらいの「勝ち気」を見せ、そして、やり切ったあのインターハイで、結果としては報われなかった。 その悔しさたるや、いかばかりかと思う。 でも、だからこそ。 私は、来年以降の彼に期待したい。 「悔しい思い」をたくさんして、その思いにしっかり向き合ってきた人間だけが得られる強さがきっとあると思うから。 そして。 現在、ぎふで唯一の「全日本チャンピオン」となったのが、安藤梨友(NPOぎふ新体操クラブ)だ。 全日本ジュニア3連覇。 ジュニアの中では卓越した存在だ。 高校生になる来年からは、早くも「インターハイ3連覇なるか?」が話題になってしまう、そんな選手だ。
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ただ。 全日本選手権では、そんな彼も、少しばかり悔しい思いをしたのではないかと思う。 全日本選手権での安藤の成績は、個人総合18位。もちろんジュニア選手としては立派な成績だ。 しかし、この試合での安藤には、ミスらしいミスもなく、タンブリングの強さや実施の正確性は、大学生や社会人の中に入っても決して見劣りしていなかった。 それでも、よい種目でも得点は、9.100どまりだった。 総合順位では、安藤よりも下にいる選手でも、大学生や高校生は種目によっては9.200は超える点数を出しているのに、だ。 安藤梨友本人がこのことをどう感じているのかはわからない。 だが、観客の中にも、どこかすっきりしないものを残す安藤の得点だった。あれほどの演技をしても、この評価、ということで、嫌気がさしてはいないか、と案じたりもした。 でも、それも。 安藤梨友が、この先、「これでもか!」という演技を見せてくれるための起爆剤になるなら、よしと思うしかないのかもしれない。 来年、高校生になった安藤が、どんな演技を見せてくれるか。 おおいに楽しみにしたい。 それぞれに「悔しい思い」を抱えつつ、今シーズンを終えたぎふ男子たちの、2014年最初の試合が、テレビ信州杯になる。 彼らの、次なる飛躍をぜひお見逃しなく!                                          <撮影:清水綾子> ※ジムラブに、「2013全日本選手権/JKの健闘②桑村美里(町田RG)」をアップしました。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/28/2013jkrg/


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2013年12月26日

2014テレビ信州杯事前企画④ アジアジュニア日本代表選手

2014テレビ信州杯事前企画④ アジアジュニア日本代表選手

12月25日に行われた「アジアジュニア選手権日本代表団体チーム選考会」では、日本女子体育大学系クラブチームの合同チーム「ESPERANZA」が見事1位となった。

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そして、この日、同時に行われた個人選手のコントロールでは、全日本選手権で選出されたアジアジュニア代表選手(該当年齢の選手の中での上位4人)が、4種目の演技を行った。 アジアジュニア選手権が、2014年2月開催で準備期間があまりないため、少しでも多く実戦に近い感覚での演技の機会を設けるための試みだったようだが、なんと、この代表選手たち、年明け早々には、テレビ信州杯にも出場する。 それも、フープ、ボール、クラブ、リボンの4種目すべてに出場とするというから、おおいに楽しみにしておいてほしい。 ここで、アジアジュニア日本代表選手4名を紹介しておこう。 ●立澤孝菜(イオン)
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2013年全日本選手権個人総合16位。この写真でもわかるように、とにかくかかとが高く、線の美しさでは目を引く選手だった。 長野県出身で、現在は、日本のトップチーム・イオンで活躍中。今シーズン後半になって、ブレイクした選手だ。 全日本ジュニアでは、やや不安定さの見える演技だったが、全日本では大学生、社会人など有力選手がひしめくなかで、かえってのびのびと演技できていたように思う。とくに、ボールでは、13.500の高得点をマークし、潜在能力の高さを示した。 12月25日のコントロールでも、代表選手4人の中ではトップの成績をおさめ、成長著しい。 地元長野で行われるテレビ信州杯に対しては、思いもひとしおだと思われ、素晴らしい演技を期待できそうだ。 ●鈴木歩佳(NPOぎふ新体操クラブ)
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2013年全日本選手権個人総合17位。全日本選手権では、クラブで5位となり、種目別決勝にも進出。決勝でも会心の演技で、13.700の4位。 身体能力の高さには、小学生のころから定評があったが、ぽかんと大きなミスをしたり、1つのミスから崩れていくような演技になってしまうこともある選手だったが、このところ安定感をぐっと増してきた。 常に高い位置でかかとをキープできる選手で、それだけに演技が軽やかで、ジュニアならではのキュートさが魅力の選手だ。 ●五十嵐遥菜(NOVA新体操クラブ)
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2013年全日本選手権個人総合22位。現役選手や指導者の中にもファンの多い個性的な選手だ。この選手の魅力はなんと言っても、その「踊り心」。さらには、動きの伸びやかさ、手具操作の思い切りのよさ、そして、独自の世界観を伝える力など、惹きつけるものをたくさんもっている。 とくに、クラブとリボンは、すばらしいプログラムなので、テレビ信州杯では、ぜひよいパフォーマンスを見せてほしいと思う。 ●植松桃加(エンジェルRGカガワ日中)
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2013年全日本選手権個人総合27位。チャイルド選手権で入賞したときには、その圧倒的な美しさで観客を魅了した。現在も、手具のミスが出てしまうこともあるが、バレエを彷彿とさせる動きの美しさは健在だ。                                         <撮影:榊原嘉徳 / 清水綾子> ※ジムラブに、「アジアジュニア選手権日本代表団体チーム選考会」をアップしました。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/26/post-64/


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2013年12月25日

人に歴史あり

人に歴史あり

今年は、クリスマスイブを渋谷で過ごした。
と言っても、もちろん、デートではなく新体操。
ええ、やっぱり新体操。

何年ぶりかに、「ウーマンズ新体操クラブ」の発表会に行ってきた。

ウーマンズの発表会は、以前は3月に行われていて、そのころはよく観に行っていたのだが、クリスマス開催が定着してからはなかなか行く機会がなかったのだ。

が、今年は25周年ということで、特別プログラムがあると聞いて、それはぜひ観なければ! と行ってみたのだ。

その特別プログラムとは…。

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↑こんなのや、
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↑こんなのや、
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↑こんなのだ。 この写真を見ただけで、「うわ~~~なつかしい!」と思った方。 かなり長く新体操を見ていますね(笑)。 私もそうだ。 今ほどたくさんの試合を見ていなかった分、ビデオなども繰り返し繰り返し見て、ほんとに覚えてしまうくらい見ていた、これらの団体演技。 ほんとになつかしかった。 作品もなつかしいが、演じている人たちも、私にとってはかなりなつかしかった。 ちなみに、今回は25周年ということで、会場入り口に、歴代の発表会プログラムが展示されており、これも、なつかしかった。
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「人に歴史あり、クラブにも歴史あり」と感じた発表会だった。 なお、ウーマンズの発表会の様子は、近いうちにジムラブのほうに記事をアップする予定だ。 ※ジムラブに、「フェアリージャパンPOLA in チャコット新宿店」を、アップしました。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/25/-pola-in/ ※ジムラブのギャラリーに、「豊田国際/大会のひとコマ④」をアップしました。亀山耕平選手です。 http://gymlove.net/gl/topics/gallery/2013/12/25/post-25/


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2013年12月23日

再びフィギュアですみません

再びフィギュアですみません

仕方ない。
この3日間というもの、日本中の多くの人がフィギュアで涙し、感動し、魂を揺さぶられたのではないかと思う。
私もその一人だ。

終わってみて、しみじみ思うのは、女性の強さ!
そして、ライバルとなる仲間がいることの大切さ。
「続けること」の意味。

とても語りつくせない。

しかし。
あの高橋大輔選手の、FS。
冒頭の4回転ジャンプを2つとも失敗したあとの演技は、神がかっていた。おそらく状態は最悪で、足の傷も、手のけがも痛かっただろうし、「これでもう五輪はない(かも)」という絶望感の中での演技だったろうに、はっきりと彼が、「これが最後の演技になる」という思いですべっていることが伝わってきたあの4分間。

あれは、ひとつの奇跡だったように思う。

高橋選手が悲痛なインタビューで語っていたように、「これで最後」「今まで応援してくれてありがとう」そして、なによりも自分自身のスケート人生に対しての惜別の思い。
そんなものが、ほんとうに見ている人の多くの心の中に流れこんできたのではないか。

フィギュアでも、新体操でも、よく「伝わる演技をしたい」と選手は言う。
「なにかを伝えたい」と言う。
そして、その技術に長けた選手のことを、「表現力がすぐれている」と評したりする。

しかし。
「伝える」のではなく、「伝わる」ものもあるんだ、と今回、高橋選手だけでなく、村上佳菜子選手のSP、鈴木明子選手のSP、FS、織田信成選手のFS、町田樹選手のSPなどを見て思った。素晴らしい演技は、ほかにもたくさんあったが、「伝わってくる」という点では、これらの演技は格別だった。もちろん、高橋選手のFSも。

ふと、青森大学の2009ジャパン団体の演技を思い出した。
あの演技は、早逝した先輩への追悼の気持ちを込めた演技だったと後で知ったが、あのとき彼らは、「自分たちは、先輩がなくなったことをこんなに悲しんでいます」と、観客や審判に伝えようとしていただろうか。

おそらく、そうではない。
伝えたい相手がいるとしたら、それはその亡くなった先輩であり、あの演技は、観客に「伝えよう」とした演技ではなかったと思う。
ところが。
そういう演技だからこそ、多くの人に「伝わった」。

彼らの悲しみも、決意も。
だから、あの演技は伝説になったのだ。

「伝える演技」と「伝わる演技」。
こと、感動という面においては、後者に軍配が上がるような気がする。狙ってできるものでもないのが、難しいところだが。

※ジムラブのギャラリーに「全日本選手権/エキシビション(国士舘大学)」をアップしました。
http://gymlove.net/rgl/topics/gallery/2013/12/24/2013-140/
※ジムラブのギャラリーに「豊田国際/笹田夏実(日本)」をアップしました。
http://gymlove.net/gl/topics/gallery/2013/12/23/post-22/
↑ほかに美濃部ゆう選手、ビクトリア・ムアーズ選手(カナダ)もアップしています。

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2013年12月22日

フィギュアですみません!

フィギュアですみません!

タイトルとおりです。
いよいよ世界一過酷なソチ五輪代表争い「全日本フィギュア」が始まりました。

昨日の男子SPは、いろいろな意味で胸が痛かったです。

なんとか、自分の弱さに打ち勝とうという必死さが伝わってきた町田樹選手の演技。そして、終わったときのガッツポーズ、自信に満ちた表情。「ソチ五輪にいくのは自分だと信じている」という言葉。

なにもかもに、ぐっときてしまいました。
思いはきっとみんな同じ。
だけど、それを口に出すところに、彼の覚悟が見えました。

あとは、もう手のつけられない勢いの羽生結弦選手。
2010年の全日本選手権には、取材で入ることができたので、間近で見たことのある選手ですが、あのころはまだ期待は十分できるものの、ソチに出場できるところまで伸びるかどうか? というところでした。
ただ、その分析力、向上心がはんぱなかった。当時、16歳でしたが、ほかのシニア選手たちよりも、ずっと冷静に先を見据えた話ができるところ、ただものじゃない! と感じたことを覚えています。
去年から磨き続けているSPは、フジテレビのあおり文句ではありませんが、「世界最高のSP」と言えると思います。

そして、なんと言っても胸が痛かったのは、高橋大輔選手です。
すねの怪我、それによる調整不足なので、ミスはある程度仕方ない、とも思いますが、とにかく表情がつらそうで。
今日のフリーで巻き返してほしいと思うし、きっとできる! と信じていたいですが、そう願うことは今の彼には酷なのだろうか? と思ってしまうほど疲れ切った表情に見えました。

いずれにしても、すべてが、今夜決まります。
女子もSPが始まり、出産から復帰した安藤美姫選手の演技もついに見ることができます。
昨日、テレビで見た公式練習の様子では、「まさか?」と思うほどの復調ぶりで、結果はともかく、あのミラクルなスケートを見せてほしいな、と思います。

あー、しかし、今からドキドキ、です。

※ジムラブに「全日本選手権/河崎羽珠愛(イオン)」をアップしました。
http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/22/2013jk-1/

※ジムラブのギャラリーに「全日本選手権/弓田速未(国士舘大学)」をアップしました。
http://gymlove.net/rgl/topics/gallery/2013/12/22/2013-137/
↑ギャラリーには、畠山可夢選手、斉藤剛大選手もアップしています。

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2013年12月21日

今週末の演技会情報

今週末の演技会情報

もう今年も残りわずかですが、演技会、発表会はまだまだあちこちで予定されています。
今週末は、

●松永新体操クラブ発表会
  12月22日(日) 於:別府アリーナ 開演:11時半
  ※東京女子体育大学団体、三上真穂、恒川愛が賛助出演。

さらに、23日には、富山県射水市で国士舘大学が出演する演技会が行われます。男子、女子とも出演。
人気の団体競技とともに、個人演技も行われます。

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国士舘大学の男子は、富山出身の赤井龍也選手がスティック、弓田速未選手がリング、畠山可夢選手がクラブ、斉藤剛大選手がロープを披露します。 表現力豊かな演技で観客を魅了する弓田選手の演技の中でも「かっこよさ」ではナンバーワンのリング。 どこまでも美しい演技で、せつない情感が伝わってくる畠山選手のクラブ。 そして、全日本チャンピオンを勝ち取った日本一の手具操作が堪能できる斉藤選手のロープは、見ているだけでわくわくして、「新体操の楽しさ」を教えてくれます。 富山出身の赤井選手も、得意のスティックで、大学生になって深みを増した表現力を見せてくれるはずです。 また、今シーズン飛躍を果たした国士舘大学の女子も、観客を魅了するすばらしい演技を見せてくれること間違いなしです。 新体操をやっている男子、女子はもちろん! 「新体操は見たことがない」という方たちも、ぜひお誘いあわせのうえ、会場にお越しください。 同じく23日には、飛行船新体操クラブの発表会も行われます。 ●飛行船新体操クラブ発表会  2013年12月23日(祝)  16:00開演  於:埼玉県三郷市総合体育館 メインアリーナ  見学自由 毎年、すてきな演技はもちろんのこと、工夫をこらした衣装がすばらしい飛行船の発表会は、クリスマス気分を盛り上げてくれること間違いないしです。 こちらにもぜひ足をお運びください。


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2013年12月19日

久々のBLUE TOKYO

久々のBLUE TOKYO

ちょうど1週間前になるが、立川の映画館・シネマツーで行われた「FLYING BODIES」のスペシャル上映イベントに行ってきた。

7月に行われた三宅一生プロデュースによる青森大学の公演を準備期間から追ったノンフィクション映画「FLYING BODIES」は、もちろんすばらしかったが、このスペシャル上映では、BLUE TOKYOのミニパフォーマンスも見ものだった。

なんと言っても、踊るスペースが狭い!
ほんとにここで踊るの? まさかバク転はしないよね?
くらいのスペースだったが、彼らはしっかりその環境で踊ってくれた。

バク転どころか、組みから飛んだり、手具も使うなど、ちょっとひやひやするくらいの迫力の演技だった。

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●松田陽樹&椎野健人
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●増田快雄
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●大舌恭平
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私にとっては、男子新体操を夢中になって見始めたころに、バリバリの現役選手だった彼らが元気に動いている姿を見られたことが、なによりもうれしかった。 それぞれにさまざまな舞台を経験して、新体操選手だったころとはまた違った魅力を身につけてきた彼ら。 今後、ますますの活躍を期待したい。 なお、映画「FLYING BODIES」は、テアトル新宿にで明日(12/20)まで上映中! また、2014年1月3日には、BSフジでの放映も決定! まだ見ていない方は、ぜひご覧ください。                                            <撮影:清水綾子>


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2013年12月17日

2014テレビ信州杯事前企画③ 吉村翔太(科学技術高校)

2014テレビ信州杯事前企画③ 吉村翔太(科学技術高校)

テレビ信州杯のエントリーに彼の名を見つけて、とてもうれしかった。

吉村翔太。

今年のインターハイで4位。
全日本選手権にも出場した選手である。

じつは、3月の選抜大会にも出ているし、そこでも4位になっている。
いかんせん、今年の高校3年生は、「TOP3」の小川晃平、永井直也、五十川航汰がジュニア時代から抜けていた。

そのほかの選手には、なかなかスポットが当たらない。
そんな学年に、吉村翔太はいた。

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高校選抜で4位になったところで、それほど話題にはならなかった。 しかし。 インターハイでは違った。 個人総合の終わった日に、多くの人が言った。 「福井の子がすごかった」 「科学技術、うめえ!」 吉村翔太という名前さえ覚えてないような人たちもみんな、彼の演技には魂を奪われた。 小柄な選手なのだが、インターハイでの彼は、どこまでも大きく見えた。それほどに、動きが大きく、さらに、体だけでなく、周辺の空気まで動かす、そんな力を持っていた。 小川や永井のような「いかにも」な表現力があるわけではない。 「なにか」を見せようとしているわけではなく、むしろ無骨なまでに、自らの体操を追求している、そんな演技だ。 ただ、そのあまりにもひたむきな演技、体操は、会場全体をひきつけた。
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佐賀で行われたインターハイ。 神埼清明や佐賀女子のときは、会場全体がうなるような歓声、どよめきに包まれた。 そして、男子で優勝した小川晃平の演技には、会場が静まりかえった。 が、あの会場をしんとさせたのは小川だけではなかった。 小川と同じかそれ以上に、吉村の演技のときは会場は水をうったように静かだった。 そこに、彼の動きが風を切る音だけが響き、彼の呼吸だけが聞こえていた。 社会人や大学生の名選手がひしめく全日本でも、それは同じだった。 彼の演技は、不思議なくらい人を気持ちをつかむ力をもっている。 高校3年生。 テレビ信州杯は、おそらく彼の「科技高生」としての最後の試合になる。 高校最後の1年で大ブレイクした吉村翔太だが、高校1年のときは団体の補欠も経験しているし、個人でもいきなり上位だったわけではない。そんな彼の演技を、テレビ信州杯で見られるのが、ここ数年、とても楽しみだったことを思い出す。 高校卒業後は、大学で新体操を続けるという吉村翔太。 長野での演技にぜひ注目してほしい。                                           <撮影:清水綾子> 【関連記事】※2012年長野カップ記事より http://www.plus-blog.sportsnavi.com/rg-lovers/daily/20120211 ※ジムラブに、「全日本選手権/Re:make」がアップされています。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/17/2013remake/ ※ジムラブに、「豊田国際/山室光史」を、ギャラリーにアップしました。 http://gymlove.net/gl/topics/gallery/2013/12/19/post-16/ ※ジムラブに、「豊田国際/大会のひとコマ①②」を、ギャラリーにアップしました。 http://gymlove.net/gl/topics/gallery/2013/12/19/post-17/ http://gymlove.net/gl/topics/gallery/2013/12/19/post-18/


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2013年12月16日

「少しずつ」でいい

「少しずつ」でいい

2013年もあと半月で終わろうとしている。
いろいろなことがあり、できた! と思えることもあれば、
「まだまだだ」と思うこともある。

でも。

やり残しがいくらたくさんあっても、少しでも前進できていればよし! かな、と思う。
それも、自分の足でしっかり進めていれば、なおよしかと思う。

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この写真は、先だっての全日本選手権決勝の日にフロアから見た観客席だ。 観客が増えた…と思う。 正直、昨年よりは少ないかもしれない。 昨年は、全日本の直前に青森大学が「金スマ」に出演して、大会の告知もさせてもらえた。代々木第一体育館への問い合わせの電話も多かったと聞いている。 テレビ告知の効果は絶大で、昨年の決勝のときは、2階席のいちばん上の席まで観客が入っていて、驚いたものだった。 今年は、それよりは少ないかとは思う。 が、一昨年と比べたら?  それ以前と比べたら? 確実に観客数は増えていると思う。 いろいろな人たちの努力が、少しずつでも実ってきているのだと思う。 その「いろいろな人」の中には、僭越ながら私も入っている、と思っている。 指導者も選手も保護者もファンも、みんな新体操の発展を願って頑張っている。 私だって同じだ。 どんなに小さな力でも、ないよりはまし。 なにもないよりはましなはず。 そう信じてやってきたことは、観客増のたしに少しはなっているだろうと、自己満足かもしれないがそう思いたい。 「少しずつでいい」から、来年も前に進みたい。 私も。 そして、新体操も。                                             <撮影:清水綾子> ※ジムラブに「花園大学演技会」が、アップされています。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/15/23heavens-divide/ ※ジムラブに「FLYING BODIESスペシャル上映 in 立川」が、アップされています。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/16/flying-bodiesin/ ※ジムラブに「豊田国際2日目レポート」がアップされています。 http://gymlove.net/gl/topics/report/2013/12/16/post-15/


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2013年12月15日

2014テレビ信州杯事前企画② 杏樹R.G.クラブ

2014テレビ信州杯事前企画② 杏樹R.G.クラブ

「無垢」

10月に長野県内のいくつかのクラブを訪問した。
その中のひとつ、この「杏樹R.G.クラブ」は、千曲市の体育館を主な活動場所としているクラブだった。

代表者である滝澤清己先生が、このクラブを立ち上げてから、10年ちょっとになると思う。このクラブの立ち上げ時のメンバーに知人がいたので覚えているのだが、長く続いているクラブの多い長野県の中では、比較的新しいクラブだ。

しかし、立ち上げ当時の話を知人から聞いたこともあるが、もちろん、指導者や保護者の努力の賜物とはいえ、会員数の増えるのが早かったことには驚いたことを覚えている。冬の寒さが厳しい長野では、屋内スポーツが人気だとは聞いているが、それにしたって、だ。
もともと長野には100人超規模のクラブチームがたくさんあるうえに、新しく立ち上げたクラブでも数年で100人超まで成長するということに、長野県での新体操の浸透ぶりを認識させられたことを思い出す。

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そんな杏樹R.G.クラブの練習を初めて見させてもらったのだが、このクラブの練習ぶりは、私が長野県に持っているイメージそのものだった。 「生真面目で清々しく、すこしシャイ」 私が訪ねた日、じつは杏樹R..G.は、発表会を目前に控えていた。 そう聞いていたので、おそらく基礎トレーニングは軽めにして、演技練習、作品練習に入るのだろうと思っていた。 rg-lovers-451198.jpg


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ところが。
練習はじめの挨拶が終わり、軽くストレッチをすると、バーレッスンが始まり、バーレッスンが続き、バーレッスン!!!
それも、滝沢先生とサポートのコーチの2人がしっかりついて、子どもたちポーズの小さな歪み、ずれなどを修正していく。
バーレッスンを単なる準備運動扱いにせず、しっかりと基礎つくりの時間と位置付けているレッスンぶりだった。

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それだけに子ども達も真剣だ。 新体操をやっている子ども達の柔軟性、可動域をもってすれば、バレエの動きは、ともすれば簡単で楽なので、雑になってしまいがちだ。とくに年齢の小さい子ども達には、バレエの難しさや意義はわかりにくいので、適当に流れてしまう。退屈してしまう子も少なくない。 しかし、このクラブの子たちのバーレッスンには、驚くほどの生真面目さがあった。「できるからいいもん」ではなく、よりよく、より正しく、という意識をもって取り組めているのだ。 rg-lovers-451203.jpg


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その後の柔軟やアップを見ても、その生真面目さは変わらなかった。
できることもできないことも、得意なことも苦手なことも。
彼女たちは、じつに真剣に取り組んでいた。
たとえ歩みが遅くても、地道に進んでいくことの大切さを知っている練習ぶりだ、と感じた。

それは、指導者の姿勢を映しているのだろう。
と、私は感じた。

杏樹R.G.クラブは、残念ながら、長野県内ではまだ「強いクラブ」とは言えない。クラブのレベルは着実に上がってきていることはたしかだが、なにせ今の長野は強い。ほかのチームの強さの前に、まだ結果は出せずにいる、というところだろう。

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それでも。 いや、だからこそ、なのかもしれないが。 「基礎を疎かにすることなく、どの子もしっかり見る」 という基本的な部分を、本気で大事にされている指導者であり、クラブなのだということがこの日の練習ぶりから伝わってきた。 ここのクラブの子どもたちは、人間として、新体操選手として、「一番大切なこと」を、日々教えられているのだ、と思う。それは、大会での結果や点数に現れるものではないので、ときには価値を見失いそうになるかもしれないが、なくてはならないものだ。 発表会が近いのなら、とりあえずは目先の発表会作品の完成度を上げる練習にしてしまうこともできるだろうに。 それでも、「これだけはやっておかねば」と、思うことがこんなにもある指導者。 おそらく、試合前でもこうなんだろう。 目先の試合で結果を出すためのやり方、というものはたしかにある。 それを知らないわけでもないだろうが、それを選択はしない指導者なんだろうと思う。 rg-lovers-451208.jpg


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そして、「試合の結果最優先」ではないからと言って、手を抜いたり、あきらめたりは絶対にしない指導、だということもよくわかる。
自分のクラブでやっている間に、もしくは新体操をやっている間に結果が出なくても、絶対に子ども達の力になるものを、じっくりとつけていく、そんな指導を、じつに根気よくやっているのだ。

短い期間で、会員数が増えたのも納得だ。
このクラブは、おそらく親が安心して子どもを預けられるクラブなのだ。
新体操の技術はついたけれど、大会で結果は出せたけれど、心や体を病んでしまうようなこともなく。
自分に力がついた分、できない子を見下すようなこともなく。

日々、自分なりの成長を少しずつでもしていけるように。
そんなごく当たり前の目標に向かって、その子なりのペースで進んでいく。努力することや、仲間を大事にすることの大切さを知る。
親なら子どもに望むだろう、そんなことを実現してくれるクラブなのではないか。

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強豪クラブでは、ない。 それでも、こんなにも存在意義を感じさせる指導をしているクラブがある。そんなクラブが存続し、発展もしている。 長野の新体操の奥深さを、ここでも感じることができた。
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※ジムラブに「2013全日本選手権/花園大学VS青森大学」をアップしました。 http://gymlove.net/rgl/topics/report/2013/12/14/2013vs/ ※ジムラブに、「豊田国際1日目レポート」をアップしました。 http://gymlove.net/gl/topics/report/2013/12/14/post-14/


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