2014年05月18日

「新星の実力」<下>

「新星の実力」<下>

半田中での練習の後半は、高校生の個人演技の練習に費やされていた。
18日の県予選では、個人競技も行われ、武豊高校からは14人も出場するのだそうだ。

次から次へとフロアに入り、通しを行う彼ら。
とはいえ、フロアはスプリングの入っていない女子用マットなので、タンブリングは抜いている。だから、いざ本番になってタンブリングを入れたときに、彼らの演技がどうなるのか? それは私にはわからない。
中には、タンブリングが弱くて、この日見た練習での通しよりも、何割か出来が悪くなってしまう選手もいるのだろうとは思う。

しかし、それを抜きに考えても、彼らの個人演技は、とても高いレベルにあった。
いや、「レベルが高い」という言い方は正確ではない。
「私好み」と言ったほうが正しい。

そう。
もちろん、一人一人、個性は違っているし、現時点での能力差もある。
ただ、おしなべて言えるのは、彼らのやっている、またはやろうとしている新体操が「美しい」ということだ。

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どの選手の演技を見ても、なんだかほっとするような「美しさ」がある。
おそらくそれは、彼らの見せる「のび」や「ため」に起因しているのだろう。

昨今の男子新体操は、技術向上が目覚しく、タンブリングの難度や手具操作の巧緻性が高まっている。それはスポーツとしての進化という意味ではきわめてまっとうなことだと私は思っているし、その進化に対してはきちんと評価してほしいと思う。

しかし、得るものがあれば失うものもある。
タンブリングや手具操作が高度化することによって、本来男子新体操のもっていた「美しさ」を堪能できる演技は、消滅しつつあるように感じていた。
ダンスもどきの作りこまれた「かっこよさ」ではなく、「人の体が本来持っている美しさを最大限に引き出した」そんな美が見える演技は、今、あまり多くない。

ところが、それがここには脈々と生き残っていたのだ!
そのことに驚き、感動した。

●安原尚輝(2年)
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●榊原直之(2年)
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おそらくそれは、指導者の信念や美意識が反映されているから。 と、同時に、全員が中学から始めたという状況も無縁ではないと思う。 小学生のころからやってきた選手たちに比べれば圧倒的に少ない時間の中で、彼らはまず「美しく動くこと」を優先して練習してきたのだろう。そしてその「美しさ」は、どこまでものびやかにやわらかく、大きく。それを徹底してきたに違いない。 だから、程度の差はあれ、みんなが美しい。 少なくとも美しくあることを目指していることはわかる。 それ以上のことを身につけるには、彼らにはまだ時間が足りていない、とも言えるように思う。ただ、だからこそ、今のシンプルな美しさがあり、それが私を感動させたのだ。 まだ高校生だ。今はこれでいい。心からそう思った。 ●青木祐太(2年)
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●巽 晶寛(2年)
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この先、大学生や社会人で、新体操を続けてくれたならば、より高度なことにも、より個性の生きる新体操にも挑戦できるだろうから。彼らには、その下地がしっかりできている。余計な色をつけたりせずに。 ●岩本 司(2年)
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●城 和真(2年)
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個人では、エース格の岩本司は、高校選抜大会で6位になり、ジャパンの出場権を獲得している。しかし、1年前に見たときは、そこまでの選手ではなかったように思う。これと言って悪いところはないが、いわゆるこじんまりまとまっている選手、に見えていたのだ。それが、1年で変わった。成長した。そういう伸び方は、他の選手たちにも期待できると思う。 ここは、おそらく「原石の宝庫」だ。 いつかきっと、どこかで。 「ああ、あのときに半田中で見た!」 と見違えるようになった彼らを見て、思う日がくるに違いない。 できることなら、今の彼らがもっている良さを損なうことなく、より進化した姿が見たい。 「のびて」「ためて」「美しい」・・・そんな新体操が好きな私は、心からそう願っている。
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「大好物」であるそんな新体操を堪能できて、本当に幸せな半日を過ごすことができた。 個人でも、団体でも。 県予選での彼らの健闘を祈りたい。


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2014年05月17日

「新星の実力」<上>

「新星の実力」<上>


今年の高校選抜大会で、男子団体6位に入った愛知県の武豊高校。
今までインターハイや選抜などの団体ではほとんど名前を見たことのない学校だ。
それがいきなり6位入賞。それも、メンバーは全員1年生(選抜大会当時)というから驚いた。

よくよく聞いてみれば、全日本ジュニアの常連である半田市立半田中学校の選手たちの多くが武豊高校に進学したのだという。
それなら、突然の6位入賞もうなずける。

しかし、実際のところ、武豊高校には新体操の練習ができる設備がなく、彼らは練習日には、自転車で40分ほどかかる半田中に移動しているのだとも聞いた。さらに昨年は、半田中の体育館も建て替え工事中で、満足に使うことができなかったというから、半田中から進学してきた新体操経験者がいたところで、決して恵まれた条件でやっているチームではないのだ。

それでも。
選抜大会6位になった武豊高校の練習を一度見てみたいと思い、初めて半田市を訪ねてみた。

2014年5月17日。
彼らが練習しているという半田中の体育館に足を踏み入れて、私はまず、その人数に圧倒された。

半田中学の生徒達も一緒に練習していたとはいえ、ゆうに30人は超えている。
この中で、高校生は14人だとのことだったが、それでも少ないほうではない。

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まずは、中高校生一緒に、縄跳び(これがかなり長い!)したり、柔軟、筋トレ、さらにはアイソレーション、ダンスなどを行う。タンブリング練習は、中学生と高校生で分かれて行うが、それでもかなりの人数だ。全員が中学に入ってから新体操を始めた子ばかりという中学生は、まだバク転にも苦労しているような子もいる。が、これだけの人数いれば、練習も楽しそうだ。
真剣に取り組んではいるのだが、合間には笑い声も上がる。誰かが高度な技を成功させれば、みんながわく。「俺だって…」と張り合う空気にもなる。

それは、「部活」として、とても健全な状態に見えた。
半田中の今年の新入部員は、20名超えそうだという。全員が未経験者。
まだ新体操をやったことがない子20人に「やってみたい」と思わせることがすごい。

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そんな半田中の新体操部から武豊高校に進学し、団体メンバーになっているのは、この6人だ。 高校選抜と同じメンバー。岩本司、安原尚輝、城和真、高橋淳、榊原直之、巽晶寛。全員が2年生になった。 rg-lovers-482917.jpg


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この日は、翌日に愛知県インターハイ予選を控えていたため、団体の練習は軽めだった。
さらっと流して、タンブリング抜きでの通し。
細かいところを、詰めて合わせるような練習はしていない。

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なので、私には、彼らが明日のインターハイ予選でどのくらいの精度の演技をするか、はわからない。 しかし、今日の軽い練習を見ただけでも、このチームの良さは、十分に感じることができた。 rg-lovers-482921.jpg


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ジュニアから新体操をやってきて、高校生になるころにはすでにキャリア10年。
そんな選手が増えつつある時代において、全員が中学に入ってから新体操を始めたという半田の選手達は、個人差はあるにせよ、素直でのびやかな体操をする。

そんな選手達が6人集まれば、それは間違いなく気持ちのいい演技になる。

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思い返してみれば、彼らは中学3年生だった年の全日本ジュニアで団体3位になっている。 しかし、この年は抜群の実施力をもった恵庭RGが、18・200のハイスコアで優勝した年で、それに比べれば、半田中はまだ粗も目につく演技だったように記憶している。 rg-lovers-482925.jpg


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それもそのはず。
中学3年の10月では、彼らは新体操部に入ってまだやっと2年半だ。
「まずは前転から」始めての2年半はあまりにも短い。
それでも全日本ジュニアに出てきて、3位にまでなるだけでもすごいことだが、じつは全日本ジュニア時の彼らは、まだまだまったくの発展途上だったのだ。

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半田中の卒業生には、全国の強豪チームで活躍してる選手も多い。 それは、ここで身につけた基礎がよそに行ってからも通用するという証明ではあるが、ジュニアから一貫して育てたときに、ここではどんな選手達が育つのか、ぜひ見てみたいと思った。 つまり、そう思わせる演技を彼らの団体チームはしていたし、じつは、団体の後に見た個人がなおさらそう思わせてくれたのだ。 rg-lovers-482929.jpg


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半田中で永年、新体操の指導に携わり、現在は武豊高校も指導している杉江先生は、口癖のように「あせらない」と言う。ここにいる選手達は、経験値ではまだまだ上位の選手達と競えるレベルではない、とわかっているのだ。
ただ、それはこの先もずっと勝てないと覚悟したり、あきらめたりするということではない。

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言葉通り「あせらない」で育ててきた選手達が、ここまで仕上がってきた、ということなのだ。 まずは、インターハイ予選、東海ブロック大会で、力を出し切り、代々木第一で行われるインターハイでも、彼ららしい、のびやかな体操を見せてほしい。


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2014年05月14日

「女子の底力」

「女子の底力」

東日本インカレの楽しみには、各大学から複数チームが出場できることがある。
今大会は、男子も青森大学、国士舘大学とも2チームが出場。
女子に至っては、東京女子体育大学、日本女子体育大学、国士舘大学が3チーム出場という賑やかさだった。

しかも!
どの大学も、「Bチーム」「Cチーム」のレベルが高い!
そのことにおおいに感動した東日本インカレだった。

ちょっと前までは、Aチームはすごくても、BやCとなると、「参加することに意義がある」といった雰囲気のチーム、演技、ということも少なくなかったように思うが、今は違う。

それぞれのチームが、それぞれのカラーをもち、その日の出来いかんでは勝っても負けてもおかしくない、そんな拮抗した戦いを繰り広げている。

たとえば、日本女子体育大学Cチーム。
リッキー・マーティンの「Cup of life」にのせたどこまでも明るく、軽快ではじけた演技は、見ているほうまで楽しくなってしまう演技だった。

踊っている選手たちもきっと楽しかったんだろう。
その彼女たちの「楽しい気分」が、演技から伝わってきて、なんだか涙が出そうになった。

新体操をやっていると、つらいこともきっと多いだろう。
それだけに、こういう「楽しい!」瞬間に見せる選手たちの笑顔は、本当に輝いて見えるから。

わが子でもなければ、教え子でもないが、「よくここまで頑張ってきたね~、やってきてよかったね~」という思いがこみあげてきて、泣きそうになってしまったのだ。

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さらに、東京女子体育大学Bチーム。昨年のAチームが演じていた「クラブ10」の作品だったが、あの難しく、ドラマチックな演技を、決して遜色ないレベルでやってのける、このBチームの能力の高さには感服するしかなかった。 4年生の多いこのチームには、もしかしたら、「これが最後」という思いで、この試合に臨んだ選手も多かったのかもしれない。 それだけに、彼女たちの演技は、技術を超えた力をもっていた。 観客席からの応援も、Aチームに勝るものがあった。
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いずれにしても、彼女たちの演技に感動したのは、その背景によるものだけではなく、作品を作品として完成させるだけの能力が伴っているからだ。 「東日本インカレに出られてよかったね!」だけで終わらない、という強い思いをもって練習してきたんだろうと思う。 「どうせ勝つのはAチームだから」とくさることなく練習してきたんだろうと思う。 そして、同じように3チーム出してきている他大学に負けたくない! という意地もあったのかもしれない。 結果として、どの大学も3チームずつ出していても、どのチームも見応えのある演技ができるレベルに達していた。 「Aチームは強くても他は問題外」という大学はなかった。 女子の新体操全体のレベルアップは、確実に進んでいる。 そのことを頼もしく、うれしく思えた東日本インカレだったが、それは、こういったBチーム、Cチームの健闘による部分が大きいと思う。 女子の底力は本当にすごい。                                  <撮影:清水綾子>


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2014年05月13日

スポーツナビにコラム掲載!

スポーツナビにコラム掲載!

先日の全日本体操のコラムがスポーツナビに掲載されました。
体操競技よりは、新体操のほうをずっと追ってきた私ですが、ここ数年は、体操競技も大きな試合は大体見ています。
そんな中で感じているのは、日本の体操は、確実に世界に誇れるレベルなのに、内村航平のようなスーパースターもいるのに、なぜもっと人気が出ないんだろう? ということです。


新体操だって、私から見ればとてもステキ! 魅力いっぱい!
でもなかなか認知度が上がらないのは、「世界でメダルがとれないから」みたいに言われてきました。たしかにそれはあります。
でも、じゃあ、メダルとれれば人気爆発なのかといえば、決してそうではない。残念ながら体操を見ているとその現実を思い知らされます。

もちろん、新体操よりは観客動員しています。テレビなどへの露出も多いです。
でも、その実力や実績から考えれば、「なんでこの程度なのか」と思ってしまう。

もっともっと多くの人に、体操競技にも関心をもってほしいな、と思います。新体操をやっている人たちにとっては、学ぶことも多いと思うし。
「世界で戦い、そして勝つ」・・・日本の体操は本当にすごいです。
ぜひぜひもっと注目してほしい!
そんな思いを込めて書いたコラムです。
読んでみてもらえれば、感謝です!

●スポーツナビ全日本体操コラム
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/other/all/2014/columndtl/201405120015-spnavi?page=1

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2014年05月11日

東日本インカレ1日目

東日本インカレ1日目 (追記あり)

女子は、山口選手の1種目目ボールに少しミスがあり、2種目を気持ちのこもったノーミス演技でまとめた三上選手と同点1位という結果になった。
数年前は、ほぼ山口選手が上だったように思うが、今回のように少しでもミスがあれば並ばれる、抜かれかねないという状況は、選手にとっては大変だが全体が向上していることの現れだろうと思う。
山口選手も、2種目目のフープでは、これまでにないような「これが自分!」という強い意思の見える演技を見せた。こういう演技を見ると、厳しい状況、厳しい競争が、選手を強くする。それは本当なんだな、と思う。

三上選手もしかり。
毎回のコントロールシリーズでは、自分の壁を思い知らされることも多いのではないかと思う。気持ちが折れてしまうこともあるのではないか、と思う。それでも、何回も立ち直って、試合では自信満々に見える演技をする。その強さには感服するしかない。

そして、3位に入った成松選手。今の彼女の演技は、見るものの心をおおいに動かすに違いない。
高校から大学にかけて、スランプのような時期もあったが、昨年から見違えるように変わってきた。今年はその変化が顕著になり、4種目すべてが、大人になった成松エリナを体現している。
今の彼女の演技を見ていると、人はいつからでも変わるれるのだな、そして、自分の良さは取り戻せるのだな、と思う。今回は、フープの序盤でミスがあったが、それを引きずることなく、演じきった。そして、2種目目のボールは、素晴らしい演技だった。成松史上最高かも、と思うほどの魂のこもった演技を見せてくれてことに、感謝したいほどだった。

表現力、芸樹性が求められるようになって2シーズン目。女子の新体操は着実に進化してきている。


一方、男子は、ミスの多い試合だった。
結果、ミスなく美しく2種目をまとめた永井選手が初日首位となった。
2位には、今回は珍しく2種目ともミスのあった斉藤剛大選手。
斉藤選手がスティックを落とした瞬間、会場中が息をのんだ。誰もが、「まさか!」と思ったのだ。
ミスひとつで、あそこまで周りを驚かせる、そのことがある意味すごい。

※なんだか中途半端な記事になっていました~。この日、ミライエカップが始まる直前に書いていて時間切れになってしまったのでした。
今さらですが、1日目について追記します。

佐能諒一選手は、1種目目のリングが、大学入学以来初と言っていいほどの「どうしちゃったの?」という演技だった。落下は1回だったが、その処理に時間がかかり全体的に生彩を欠く演技で9.175と、佐能選手としてはありえない得点になってしまう。
いつも淡々とした選手なので、インカレチャンピオンとしてのプレッシャーがあったようにも思えなかったが、やはり「何か」が違ったのだろう。

しかし、すごかったのは2種目目のスティックだ。1種目目を見て、大丈夫なのか? と不安にかられた人も多かったと思うが、その不安を払しょくして余りある会心の演技。これもまた「大学入学以来最高ではないか?」と思うほどの素晴らしいパフォーマンスだった。
1種目目が緊張しすぎていたのか、気が抜けていたのか、それはわからないが、2種目目は、はっきりと「目が覚めた!」という演技だった。

東日本インカレ前に話を聞いたときに、佐能は、「インカレチャンピオンだから勝たなきゃ、というような気持ちはない。だからプレッシャーもとくにない。」と言っていた。
それは嘘ではないと思う。
だが、いざ本番。久々の実戦となったとき、何かが違っていて、おそらく自分でもビックリしてしまったのではないだろうか。

それでも、そのまま「今年は自分、ダメなんじゃないか」という気持ちにならないところが、彼の強さだ。
久々に大きなミスをやらかしてしまったからこそ、「こんな自分では終わらない!」という演技を、同じ日のうちにやってしまうのだから。

リングでのミスが響き、初日は4位に終わった佐能だが、「このままでは終わらないだろう」という予感はあった。

初日3位に入ったのは、畠山可夢選手。
彼の能力や実績からは、驚きの結果ではない。
しかし、東日本インカレ前の彼の様子を知っているだけに、この結果には驚きだった。

東日本インカレ前、彼はかなり体の状態が悪く、満足に練習できない日が続いていた。通しにも入れず、試技会にも不参加。最悪は東ではコールのみ、ということも考えつつ過ごさざるを得ない状態だった。
それでも。
今まで見たことがないくらいに、「できる範囲のこと」で真摯に練習に取り組む様子が見られた。ときには、思うようにならない体へのいらだちからか、悔しそうな表情を見せたり、落ち込んだ様子も見られた。それは、どんなときでも明るく人なつっこい彼にしては珍しいことだった。

それだけ、この東日本インカレに懸ける思いは強かったのだろう。
その思いの強さが、十分な練習ができていたとは言い難い状態での3位という結果となった実ったのだ。

そんな東日本インカレ初日だった。


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2014年05月10日

小山到着!!!

この週末は、全日本体操はあるわ、新体操の東日本インカレはあるわ、
おまけにミライエカップもあるという、超ハードスケジュールです。

そんな状況なので、東日本インカレの事前記事がほとんど書けず、申し訳ないのですが、ここはひとつ、終わってから!!  お待ちいただければと思います。

今日は、小山で観戦してますので、多少の速報はこちらにアップする予定です。
最近は、リアルタイムでツィートされる方も多いので、そこまで急ぎませんが。

大学生にとっては、今年の開幕戦!
みんな、頑張ってほしいです。

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2014年05月04日

「機が熟す」

「機が熟す」

5月6日には、東京では高体連の関東予選が行われるが、私は、今年の東京の団体にけっこう注目している。

今年はインターハイ開催地が東京のため、開催地枠があり、2チームがインターハイに出場できる。
またとないチャンスの今年は、どのチームも力が入っているだろうと思うからだ。

シーズンオフ中に見た試合での感触としては、二階堂高校がリード。続くのは、駒場か? 藤村女子の巻き返しもあるか?
といった感じだったが。

その「2枠争い」の一角に食い込んでくる可能性を感じさせたのが、戸板女子高校である。

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長野カップでは、10.800の12位だったが、4月のハッピーカップでは、12点台にのせてきて6位。 よい実施ができれば、得点を伸ばせるというところまできている。 そして、これまでの戸板に比べると、、あまり大崩れしないチームなのだ。 おそらく、例年よりも「インターハイ出場」という目標が現実味をもっているのではないだろうか。 「本気」を感じさせる勢いのある演技をしているように思う。
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戸板には、文化祭で何回か行ったことがあり、文化祭での発表も何回も見ているが、着実にレベルもあがっているし、いいな、と思わせる演技を見せている。 しかし、試合となると、結果にはまだ恵まれない。 そんな印象があった。 私が見た試合では、けっこうミスも多かったように記憶している。 途中まで素晴らしい演技をしていたのに、最後の何秒かで大崩れ、という演技を見たこともあった。 しかし、今年の戸板は、今までのやや勝負弱いチームとは少し違っている気がする。 東京代表2枠の争いの台風の目になる可能性はある、と私は思っている。 その根拠の1つには、ジュニアチームの充実もある。 戸板のジュニア(戸板女子中学校)も、長野カップでは、10.850で8位。 ハッピーカップでは、11.050で8位になっている。 まだメダル争いとまではいかないが、出場数の多いジュニアの大会でも入賞圏内には届くようになってきている。 中高一貫校の部活動で、中学高校がそろって成績を伸ばしてきているということは、おそらく学校の部活動として充実期を迎えているのではないかと思う。 数年前の文化祭で演じられた「ムーランルージュ」を見て、競技としての新体操というより、表現の手段としての新体操という印象を受けたことを思い出す。 戸板は、競技成績としては、これまであまり結果が出せていないが、芸術性の感じられるステキな舞台を文化祭でやっている、というプラスの印象を私はもっていたのだ。 その戸板が、今年の団体では、じわじわとあがってきている。 文化祭を見る限り、力がないわけではない。 それはわかっている。 ただ、今まで「勝ち気」が、あまりなかったように見えていた。 が、今年は違う。 ついに「機が熟した」のではないか。
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試合は、ましてや団体は、やってみないことにはわからない。 しかし、今年の戸板は、今までになく「期待したくなるチーム」であることは間違いない。


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2014年05月03日

パワースポット・長野 弾丸取材敢行!

パワースポット・長野 弾丸取材敢行!

ゴールデンウィークたけなわ!
長野では恒例の「みんなで合宿」が行われている。
長野県内はもとより、全国各地からこのゴールデンウィークに長野に集結し、みんなで合宿! 体育館をシェアして使うことにより、他クラブの練習ぶりに刺激を受け、学び、大きく成長してきたクラブも数多い、この合宿に、今年は1日だけという弾丸取材にはなったが行ってきた。

3~5日が合宿、6日は松本市民大会が行われるのだからせっかくならゆっくり滞在して、より多くのクラブの練習ぶりを取材したかったのだが、スケジュールの都合がつかず1日だけとなったのは残念だったが、それでも、少々無理してでも行った甲斐あったな、と思えた。

長野は、本当に、私にとってはパワースポットだな、と思う今日このごろ。
今回取材してきたチームについては、おいおい触れていくが、なんと言ってもこれ!!

朝いちばんに訪れた伊那西高校とポーラ☆スターの練習会場で、いちばん最初に目にしたのは、新しいレオタードを作った子ども達が、レオタードを先生に見てもらったあとの、この笑顔!!!!!

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ちょっと照れくさそうな、でも誇らしげな、最高の笑顔に朝の光が降り注いで、神々しいまでのかわいらしさ! もう、これを見られただけで、「来た甲斐あった!」というものだ。 結局、新体操っていかにこの笑顔をたくさん見られるか、なんだよなあ、と改めて思った。
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その後の練習風景ももう、かわいくてかわいくて! うちの娘にも、こんなころがあったなあ、なんて何回も泣きそうになってしまった。 そして、素人カメラマンの私が撮った、この日、最高の1枚がこれ!
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そりゃあ、こんなかわいくて、一生懸命な子ども達を見ていれば、橋爪先生がこんな表情になるのも道理。 長野取材は、出だしから素敵な笑顔との出会いがいっぱい! だった。 おかげで、私も充電完了! これから続く、5月のハードスケジュールも元気に乗り切れそうだ。


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2014年05月01日

新体操が好き!~国士舘大学集団演技「華」

新体操が好き!~国士舘大学集団演技「華」

5月になった!
いよいよ本格的に新体操シーズンが始まる。

まずは、5月10~11日の東日本インカレ!
本番まで2週間を切り、どのチーム、選手もシーズン最初の試合に向けて頑張っているに違いない。

もちろん、私も忙しくなる。
なぜなのかわからないけど、今でもまだ「新体操」を見ずにはいられない。
こんな風に過ごすのは、あと何年なのかわからないけれど。

さて、11月のオールジャパンから、東日本インカレまでが一応、シーズンオフなのだろうが、まあ、その間もいろいろな新体操イベントがあった。
紹介したいと思い、見には行っているのだが、紹介しきれないままシーズンインしてしまうと、お蔵入りになってしまいそうなので、あわてて紹介していきたいと思う。

まずは、3月22日に新潟で行われた「国士舘大学男子新体操部演技会」から、今年の国士舘大学の集団演技「華」をとりあげたい。

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演技会のラストを飾ったこの集団演技は、今年も、国士舘の学生たちが自分たちで選曲し、振付も考えたものだ。

昨年のジャパンのエキシビションで演じられた国士舘の集団演技「Colors」は、私の大好きな作品だった。いや、私だけではなく、あの演技を見た多くの人が、「感動した」と言った。

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そんな名作の翌年の集団演技となれば、普通にプレッシャーがかかるものだろうと思う。
しかも、国士舘はこの新潟演技会は、3年生以下が出演することになっており、4年生は出ない。この年の国士舘の4年生は5人と人数も多いうえに、佐々木智生、弓田速未、小谷笙平、小川悟、池上朋宏という個性の強い、存在感のあるメンバーだった。
この5人が抜け、新入生はまだ入ってきていない今回の新潟演技会は、部員13人と、昨年に比べたら少なくなっている。

年に1回のこの演技会を楽しみにしている新潟の人たちに満足してもらえる演技が果たしてできるのか。

一抹の不安はあった。

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が、結果的に、今年も国士舘の集団演技は、すばらしかった。
人数が減っていたのにもかかわらず、それを「さびしい」とか「物足りない」と感じさせない工夫が凝らされており、おそらく、体力的にはかなりきつかったのではないかと思うが、彼らは演じきった。

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昨年の作品では、だれかがソロを踊っている間、周りの選手たちは座で待機、というシーンもあったように思うが、今年は、その「待ち」の時間がほとんどないように見えた。 入れ替わり立ち替わりしながら、とにかく今回の作品では、どの選手もフロアにのっている時間、動いている時間がじつに長かった。
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聞けば、今回の作品は、学生たちで創作して、指導者はいっさい手直しもしていないのとのことだった。 自分たちのことは、自分たちがいちばんよくわかっている。 だから、できた作品のようにも思える。 rg-lovers-479268.jpg


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多彩な手具操作で見せられる選手もいれば、しなやかな動きで観客を魅了できる選手もいる。
ぞくっとするほど動きを揃えられる選手たちもいる。
高く高く宙に舞い、ダイナミックさを演出できる選手もいる。

そういう「それぞれの強み」を、どうすれば最大限に発揮できるのか。
それがよく考えられ、練られた作品だと感じた。

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メンバーの増減もあれば、個性も違う。
それでも、毎回、こうして人の心を動かす作品を生み出す力は、すごいと思う。

それはきっと、「能力」だけの問題ではないだろう。
この新潟の演技会をよいものにしたい。満足してもらいたい、という気持ちが、国士舘の選手たちには、強いのだと思う。

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昨年は、インカレチャンピオン、全日本チャンピオンが久々に誕生し、よい年となった国士舘大学だが、この新潟の演技会が始まったころは、今の国士舘とはずい分、様子が違っていた。 そのころから、この新潟では、国士舘の男子新体操が熱く迎えられ、温かい応援をもらっていたのだ。 それが、励みになり、自信になった選手たちも多かっただろう。 強くなってきた、強くなりつつある国士舘の、浮上のきっかけはこの新潟の演技会にあったのではないか。私はそう思う。
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新体操を長く見続けていると、目の前の試合でのすばらしい演技だけではなく、何年もかかって選手なりチームが変化していくさまを目の当たりにできることがある。 ここ数年の国士舘大学の変遷を、つぶさに見ていられたことは、自分にとってはとても幸せなことだったと思う。 そして、こんなことがあるから、新体操を見ることをやめられないのだ。
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私はいつまでこうしているのだろう。 わからないけれど。 新体操が好きだと思える限りは、なんらかの形で、きっと見続けるのだろう。 そして、今年も国士舘の集団演技は、私にこう思わせてくれた。 「やっぱり、新体操っていい。新体操が好き!」


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