2014年05月31日

2014ユースチャンピオンシップ予選「河崎羽珠愛(イオン)」

1日目2班では、昨年度チャンピオンの河崎羽珠愛選手が、格の違いを見せつける演技を見せた。

この数回のコントロールシリーズで、著しい成長を見せていた河崎選手としては、ユース予選は、正直、パーフェクトな出来の演技とは言えなかったように思う。クラブでは落下もあったし、どことなく緊張感の見える演技だった。 それでも、動きの大きさや勢いには、他を圧倒するインパクトがあり、それは得点にも如実に反映されていた。

古井選手同様、大会2日目には代表選考競技会の2種目、3日目にはユース決勝2種目+代表選考の2種目を演じるというハードな日程となっている河崎選手だが、若さと勢いで乗り切れれば、ユースの連覇と世界選手権代表も見えてきそうだ。

<撮影:末永裕樹/赤坂直人>

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2014年05月31日

2014ユースチャンピオンシップ予選「古井里奈(名古屋女子大学高等学校)」

ユースチャンピオンシップは、途中までの速報が出ないため、1日目予選を終わった時点での正式な点数や暫定順位がわからない。

なので、正確な順位とは異なるとは思うが、初日に演技を終えた女子1~4班で印象に残った、または活躍が目立った選手をピックアップしてみる。

まず、女子1班では、古井里奈(名古屋女子大学高校)選手だろう。

軽快で楽しいサンバの曲にのって踊りまくるクラブで見せる明るさ、かわいらしさ。そして、小柄な体が大きく見える動きの思い切りのよさ。

クラブは、この選手の良さを十二分に引き出す作品になっている。

ボールでは、一転して、ドラマチックな曲を使い、やや重い苦しい雰囲気も見せつつ、その分、大人びた表情も魅力的な演技を見せた。

ユースチャンピオンシップと代表決定競技会が同時開催される明日からの2日間は心身ともにハードだろうとは思うが、それでも大丈夫そう! と思える演技だった。                                          <撮影:末永裕樹/赤坂直人>

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2014年05月29日

2014京都の陣<下>

2014京都の陣<下>

網野高校と紫野高校。
どちらもいいチームだ。

単に「うまい」「強い」ではなく、部活動としての本分、をよくわきまえた活動をしている、という点でもとても好感がもてるところも共通している。

どちらも、ジュニアから新体操一筋というような選手はほとんどいない。新体操は、高校から始めたという子も少なくない。

そんな選手たちが、たった2年でこんなに成長する。
だから、新入部員も入ってくる。今は何もできなくても、頑張れば先輩たちのようになれるかも、と思える空気があるからだ。

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それでも、競技人口の少ない男子新体操だけに、部員不足に悩む年もある。その苦労も知っているだけに、今のようにたくさんの部員で活動できるありがたさを彼らは知っている。

そんな好感度の高い2校だけに、インターハイ予選でどちらかが敗退するのが本当に残念でたまらない。
そして、両校の演技を見てきた私には、どちらが勝つかという予想がとても難しくなっている。

「どちらも勝たせたい」という情ゆえではない。

この2校の演技は、あまりにも違っているのだ。
ミスが出れば、勝負は決めやすいだろう。
しかし、もしも、どちらもいいパフォーマンスをしてしまったら(それは素晴らしいことなのだが)、かなり審判泣かせな勝負になるのではないだろうか。

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網野高校の作品は、最初に、軽く流しているのを見たときに、すでに泣けた。 静から始まり、動へと変化、最後にはまた静かな旋律で終わる曲がまずいい。人の心をぐっとつかむ音楽であり、彼らの動きはその音を見事にとらえていた。 音楽に、動きが加わると、フロア上に物語が見えてくる。 私の頭の中には、はっきりとひとつの物語が、情景が浮かんできた。 それはあくまでも私の妄想だが、そういう妄想が浮かぶ演技というのはそう多くない。
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つまり、それは「何かが伝わっている」ということなのだ。 私に伝わってきたのは、彼らの「故郷への思い」だった。 京都とはいえ、華やかな都会ではない。日本海に面した海辺の小さな町。それが網野だ。網野高校のすぐ近くにも海がある。 彼らにとっては、海は日常的な場所だ。 それも、普通の海ではない。どこまでも雄大で、美しい日本海。 彼らはここで育ち、いずれは出ていく。 でも、きっと戻ってきたくなるときがある。 そんなとき、この海は優しく迎えてくれるに違いない。
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この作品のスローパートは、私に、「海」を思い起させた。 彼らの故郷である「日本海」を。 技術も十分高くなっている。 動きの美しさも磨かれている。 そして、彼らは、情感を作品から醸し出すこともできるようになった。だから、この作品は、こんなにも人の心を動かす。
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一方。 紫野高校の作品は、「何か」をイメージさせるのではなく、あくまでも「彼らそのもの」だ。 男子高校生6人が、全力で、彼らの大好きな新体操をやっている。 それ以外の何ものでもない。
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ただ、その「ありのまま」が、とてつもなくいい、のだ。 あまりにも運動量の多い演技で、リスキーな感じもするが、そこには、木学監督のポリシーがあった。 「高校生なんだから、演技に休憩できるところを作るとか考えず、やれることを精いっぱいやる演技にしたかった。」 「一生懸命やる姿」にこそ、人の心は動くもの。 木学監督はそう考えているのだ。
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紫野高校の選手たちを見ていると、新体操が大好きなんだなあ、というのが伝わってくる。私が取材に行った日も、厳しい柔軟のあと、団体練習をハードに行ってからさらに、個人演技の練習もしていた。インターハイ予選には全員個人にも出るそうだがら、当然といえば当然なのだが、団体がこれほどの大一番となると、個人はそこそこにしておく、という選手がいてもおかしくない。
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しかし、彼らは、個人も必死に練習していた。 京都には、早川一矢(花園高校)がいて、個人で代表枠をとるのはかなり難しいということもわかっているだろうに、勝つために、ではなく彼らはおそらく個人演技も「好きだからやっている」。 そんな新体操大好きな6人が、いや、6人だけではない。 外でサポートしているメンバーも、気配り上手で明るいマネージャーたちも、まだバク転練習中の新入部員も。それから、卒業しても顔を出し、後輩たちのよき見本になっている卒業生たちも。 長い間、「新体操好き」を育ててきた、この紫野高校に、今いるこの6人が、1年前の自分たちを超えるべく、休むことなく、走り続ける。この作品は、その疾走感にあふれている。 rg-lovers-486005.jpg


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彼らの、新体操愛、紫野愛、そして、もう1つ、重い扉を開いて先に進もうとするエネルギー。
そんなものが、まじりあって、見るものをワクワクさせる。

それが今年の紫野高校の作品だ。

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決戦の6月1日まで、あと2日。 そこには、確実にひとつのおわりがある。 いずれにしても、6月1日が過ぎれば、彼らの目に映る景色は変わってしまうだろう。 ただ。 素晴らしい2チームだからこそ、この言葉を覚えておいてもらえればと思う。 今、NHKの朝ドラ効果で再び話題になっている「赤毛のアン」。 その中に出てくる一節。 「一生懸命やって勝つことの次にいいことは、 一生懸命やって負けること」 この戦いは、勝っても負けても、誇れる戦いになる。 「京都の男子新体操は侮れない」 そう言わせる戦いになる。 私はそう確信している。 ※京都府インターハイ予選は、5月31日~6月1日に、向日市民体育館にて行われます。団体競技は6月1日。お近くの方は、ぜひ足をお運びください。 また、網野高校、紫野高校がそろって出場する、高体連近畿ブロック大会も、同じ向日市民体育館で、6月14日~15日に行われます。京都だけでなく、大阪、兵庫、そして女子のレベルも高い今の近畿大会は、かなり見応えあるはずです。ぜひ足を運んでみてください。


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2014年05月27日

2014京都の陣<中>

2014京都の陣<中>

網野高校を訪ねた翌日から2日間、京都市で行われた西日本インカレを取材し、5月22日には、京都のもう片方の雄・紫野高校を訪ねた。

紫野高校に行くのは、約1年ぶりだった。
昨年の近畿大会での演技が話題になった紫野高校を、インターハイ前に一度見ておきたいと思い、昨年7月に訪ねて以来だったのだ。

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この日は、テスト期間中で、紫野高校の体育館にはマットが敷いてなかった。そのため、部員たちは練習を始める前に、女子マネージャーも含めた全員でマットを敷き始めた。 4月に新入部員7名(1人はマネージャー)を迎え、総勢17名になった紫野高校新体操部の手にかかれば、マット敷きも早い。手慣れた様子で、またじつに楽しそうに彼らはマットを敷き終えると、ストレッチを始めた。 rg-lovers-485600.jpg


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試合前であり、またテスト期間であまり長い練習ではないにもかかわらず、このストレッチには、思いのほか長い時間をかけていることに私は驚いた。昨年見た、あの紫野高校の演技からは、あまりイメージできない練習だったからだ。

木学監督やマネージャーが補助をして、負荷をかけられている選手は、「ぎゃー! やばいー!」と大げさな声をあげ、笑いをさそっている。しかし、その叫び声をあげていた当人が、ストレッチのあとは、普段より可動域が広がっていることを確かめるように、鏡の前でポーズをとって、満足そうな表情を見せていた。

たとえ叫び声はあがっても、これは彼らにとって「手ごたえあり」の練習なのだ。

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この日は、マットの下にスプリングが入っていなかったため、タンブリングを入れた練習を見ることができなかった。 が、今年のレギュラーメンバーも、6人中5人は、中学時代に体操競技経験があるという。昨年のインターハイを経験しているメンバーも残っている。 このチームも、タンブリングは間違いなく強い。 それは想像に難くない。 rg-lovers-485604.jpg


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作品の部分練習が始まり、私はそのスピード感に圧倒された。
とにかく動きが速い。そして、力強く、大きい。

このパートは、とくに速いパートなのか。

そう思って見ていたが、次のパートも速い。
どのパートも速い。

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これは疲れる演技だ。 そう感じた。 それだけ、「攻めている」演技だとも思った。 昨年のインターハイ8位は、正直快挙だったと思うが、それで満足しているわけではないのだ、とこの演技から感じとれた。 rg-lovers-485645.jpg


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いや、インターハイでの結果に満足していないというよりは、この京都での戦いがあるために、安穏とはしていられない、という側面も強いのだろう。

木学監督に、網野高校について話を振ってみた。とくに、教え子である廣庭捷平が網野の参謀になっていることについて、どう思っているのかと聞いてみた。

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「捷平が、新体操に関わり続けてくれることは、嬉しかったので、網野で教えると聞いたときも、いいんじゃないかと思いました。ただ、こんなに短期間で脅威になるとはね。」 木学監督は、苦笑いを浮かべた。 でも、やはり、嬉しそうだった。 思えば、網野の小倉監督もそうだった。 どちらもインターハイ出場を逃したくはないはずだ。 負けたくない! その気持ちは強いはず。 rg-lovers-485649.jpg


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しかし、どこかで。
「京都」という土地で、ある意味、全国一ハイレベルな代表争いができることを、嬉しく思っているような、誇らしく思っているような、そんな雰囲気をどちらの監督ももっていた。

昨年は、網野に勝ち、インターハイでも健闘した紫野高校だが、木学監督は「今年も当然勝てる」とは思っていない。
だから、いっさい手を抜くこともなく、無難に流れることなく、この「疲れる演技」でインターハイ予選に挑むのだ。

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そんな監督の思いは、選手にも伝わる。 彼らは、自分たちには、タンブリングでのアドバンテージがあることはわかっているはずだ。 しかし、そこにあまんじようとはしていない。 きつい柔軟にも耐えているのは、その表れとも言える。 タンブリング以外も、「やるな」と思わせる演技をする! 彼らのそんな決意が、この演技からは見える。 rg-lovers-485653.jpg


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昨年の紫野高校の演技は、たしかにインパクトがあった。
それは、インターハイ前に練習を見せてもらったときにも十分感じられた。
ただ、それが評価されるかどうか。

私は、そこに確証はもてなかった。
そして、木学監督も同様の不安は抱えていたという。

「タンブリングだけ強くてもね…」
そう言われてしまうかもしれない。
正直、徒手などには、粗さがあるチームであることは、木学監督も認めていただけに、確固たる自信はもてないままのインターハイだったのだ。

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しかし、結果的に紫野高校の演技は、高い得点を勝ち取り、ジャパンにも出場した。 これは、男子新体操の流れを少し変える出来事だったように私は思っている。 男子新体操特有の「味わい」や「ニュアンス」。 それはもちろん、大切なものだ。 だが、一方で、タンブリングや個人であれば手具操作など、誰が見ても「できているもの」「難しいもの」の価値をなかったことにはできないはず。そう考えれば、昨年の紫野高校の演技が評価されたのは、男子新体操がスポーツである証明だったように思う。 rg-lovers-485657.jpg


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今年のチームも、去年にひけをとらない。
徒手や動きなどは、さらに向上しているようにも思う。

このチームもまた、インターハイまでの成長を見たい。
そして、インターハイでの躍動が見たい。
そう思わせるチームだ。

しかし。

網野高校の作品もまた、「インターハイ」という舞台にふさわしいものに仕上がりつつあった。
この2チームのどちらか片方しか、インターハイで見ることができない。
そのことが、あまりにも惜しい。

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こんなしのぎを削るような「インターハイ予選」が、京都では行われる。 団体競技が行われるのは、5月31日。ちょうどユースチャンピオンシップと同じ日だ。 東京体育館での戦いも熱いが、京都の戦いは、もっと熱い。                                            <つづく>


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2014年05月25日

2014京都の陣<上>

2014京都の陣<上>

男子新体操が盛んな地域、といえば、どこを思い浮かべるだろうか。
東北? それとも九州?

もちろん、それは否定しない。
だが、今、絶対に忘れてはならないのは、「京都」だと思う。

ああ、花園大学が強いからね。

そう思う人は多いだろうが、「京都=花園大学」だけではない。

京都いう場所は、なぜか新体操とは縁が深い。
花園大学の近年の活躍はもちろんだが、そうなるべくしてなったといえる地盤が、京都にはある。

昨年のインターハイで、強力なタンブリングを武器に8位入賞した京都市立紫野高校を見てもそれはわかる。

紫野高校からは、それまでも数多くの名選手が育っている。ただ、個人では強い選手を輩出するが、団体ではもう一歩、そんな印象があったが、昨年のチームは違っていた。中学時代には体操競技の経験があるという選手たちが集まり、男子新体操としては破格のタンブリング力と、スピード感あふれる攻めの演技構成で、得点をもぎとった。

今年の西日本インカレでも、花園大学Bチームには、西村統真、福岡大学チームには、八木洸征という紫野高校を卒業したばかりの選手たちがいた。それほど力のある選手たちがいたのが、昨年の紫野高校だった。

しかし、その紫野高校をもってしても、インターハイへの道は楽なものではなかった。昨年も、そして今年もだ。

京都には、京都府立網野高校がある。
近年は、紫野高校の後塵を拝することが多かったが、以前は強豪校だった。また、国体で男子新体操が行われていたころは、紫野と網野の選手で京都選抜チームを組んで全国でも上位の成績をおさめていた。

その網野高校が、昨年も今年も元気だ。

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網野高校は、今年の3月、岐阜で行われた高校選抜大会に久しぶりに団体で出場した。結果は、17.275の9位と入賞まではあと一歩だったが、「その時点での力は出し切った演技だった」と小倉監督は言った。 rg-lovers-485193.jpg


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私は、選抜大会前の取材として1月の終わりに初めて網野高校を訪ねたのだが、あれから4か月弱が過ぎた5月19日、再び網野を訪れた。

京都府のインターハイ予選は、5月31日~6月1日だと聞いて、インターハイ予選前の彼らを見ておきたいと思ったからだ。

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3年生が引退していた1月でも、網野の新体操部員は10名いて、男子新体操部としてはそこそこの大人数だった。そして、みんなとても元気で明るく、のびのびとしていた。 さらに、4月に新入部員も入ってきて、人数もいちだんと増え、部はますます活気づいてきた。 おそらく、選抜大会での健闘で、「もっと上までいける!」という手ごたえを自分たちでも感じていたのではないか。 1月よりも、さらに、彼らは意欲的に動いていた。 意識の高まりも、ひしひしと感じられた。 rg-lovers-485199.jpg


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さらに、変わったことがもう1つあった。
昨年、ときどき網野高校に顔を出しては指導をしていた廣庭捷平が、今年も、網野高校近くの中学で講師として働くことになり、昨年以上に頻繁に指導に来れるようになったのだという。

廣庭も、大学を卒業して2年目となり、中学講師の仕事も、新体操の指導も経験を重ねてきた。少しずつ、指導者として自分のやりたいことやスタイルもつかめてきたようだ。

そして、網野高校監督である小倉とのコンビネーションも、かなりよくなっているように見えた。

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「紫野高校出身の捷平が、なんで網野に来てくれたんだろう」と、昨年は半信半疑といった様子だった小倉も、すっかりこの助っ人を頼もしく思うようになっていることも感じとれた。 そして、なによりも生徒たちにとって、自分達とはまったく違う、そして、惹かれずにはいられない動きのできるこの先輩の存在は、大きいのだと思う。その証拠に、彼らの動きは、1月に見たときとは確実に違ってきていた。 rg-lovers-485205.jpg


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技術的な変化がどれほどあったのか、は私にはわからない。
もちろん、進歩はしているには違いない。

だが、できないことができるようになった、とかミスが少なくなったというような変化や進歩ではない「なにか」が、明らかに変わっていた。

強いて言うならそれは、「伝える力」とでもいうべき部分だろうか。

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1月に見たときには、彼らにとっては初めての全国大会となった選抜に出られることがうれしくて、うれしくて張り切っている! そんな選手たちに見えた。 それが、今回は、この演技で「なにか」を成し遂げようとしている顔をしていた。その「なにか」は、もちろん、インターハイ出場! なのだろうが、おそらくそれだけではない。 選抜大会で演じた昨年の作品以上に、今年の作品に懸ける思いが大きいのではないかと思う。昨年かすかに芽生えた自信が、選抜大会を経ていい形で、「欲」に成長してきているようにも見える。 rg-lovers-485212.jpg


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昨年のインターハイでは8位入賞した紫野高校だが、高校選抜では、メンバーを1人欠いた5人編成となり、15.950で12位だった。しかし、1名欠けたことによる減点1.500がなければ、17.450。17.275だった網野高校を上回る。やはり、それだけの力を紫野高校はもっているのだ。

網野の進境も著しいことは間違いないが、紫野も急に力を落としているとは考えにくい。
6月1日に行われる京都府インターハイ予選では、どんな決着がつくんだろうか。

彼らの演技を見ているうちに、なんだかドキドキしてきた。
今のこの雰囲気のままで、インターハイまで練習し続けることができれば、彼らはどんなに化けるだろう、と思うと、なんとしてもインターハイ出場を勝ち取ってほしいと思わずにはいられない。

その可能性は十分にある!
ただ、そのためには、紫野高校を倒さなければならない。
が、それは決して簡単なことではないだろう。

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競技人口の少ない男子新体操では、強豪と言われている学校でも、じつはインターハイ予選では楽をしている場合が多い。1つの都道府県には実質1校しか男子新体操部がない、ということが少なくないからだ。たとえ怪我人がいて、6人編成ではなくても、新しい作品が完成していなくて昨年の演技で間に合わせることにしても、新しい作品がこなしきれていなくても。 「インターハイまでに間に合わせればいい」 というチームも多いなかで、京都では、6月1日のインターハイ予選に全てが懸かっている! という厳しい代表争いがあるのだ。 競技人口の多いスポーツなら、ごく当たり前のことではあるが、そうではないところも多いことがわかっているだけに、今、網野高校が置かれている状況に、胸がしめつけられるような気がした。 「インターハイ出場を目指して」過ごせる日々は、彼らにはあと2週間ししか残されていなかった。 6月1日を過ぎたら、「インターハイを目指して」の日々になるか、そうでなければ、「インターハイには出場できない」という現実と折り合いながらの日々になる。 この日見た、彼らのひたむきさや輝きは、そんな貴重な日々だからこそ、のものだったのかもしれない。                                         <つづく> ※参考※ 2014年3月に掲載した高校選抜大会前の網野高校の記事はこちら↓ http://www.plus-blog.sportsnavi.com/rg-lovers/daily/20140321


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2014年05月21日

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部 団体結果

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部 団体結果


男子団体 速報
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※見づらいかと思われますので追記。  実施・構成・減点・得点の順。 花園大学A   9.625 9.775 0.100 19.300 花園大学B   9.225 9.500 0.000 18.725 福岡大学    8.725 9.300 0.100 17.925 大阪体育大学 6.550 8.150 1.600 13.100 女子団体総合 速報
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女子団体 クラブ10速報(5/20実施)
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女子団体 リボン3・ボール2速報
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2014年05月21日

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部 個人総合結果

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部 個人総合結果

男子個人総合 速報
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男子個人 クラブ
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男子個人 ロープ
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女子個人総合 速報
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女子個人 クラブ
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女子個人 リボン
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2014年05月20日

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部・第一日目

第64回西日本学生体操選手権大会 新体操の部・第一日目

男子個人総合前半2種目(スティック・リング)
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男子個人 スティック
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男子個人 リング
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女子個人総合前半2種目(フープ・ボール)
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女子個人 フープ
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女子個人 ボール
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2014年05月19日

「ルーキー」(東日本インカレ)

「ルーキー」(東日本インカレ)

今年の東日本インカレには、昨年の佐能諒一のようなスーパールーキーはいなかった。
しかし、その代わり、いかにもルーキー! といった初々しさと一生懸命さ、そして、「これからが楽しみ」なのびしろを感じさせるルーキー達がいた。

●浪江誠弥(国士舘大学2年)

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まず、2年生ながら、東日本インカレは初出場の浪江誠弥。 長野東高校出身の彼は、1年生のときは、学連のメンバーとして、インカレでは大会役員として走り回っていた。今でも覚えているのは、全日本インカレの公式練習のとき、競技フロアで役員として働いていた彼が、「こうして見ていると、やっぱやりたくなります」と言っていたことだ。 そして、その言葉とおりに、昨年はまず社会人大会に出場。 3月の新潟演技会でも集団演技だけでなく、個人演技も披露と、徐々にチームの中での存在感を増してきていた。 もともと癖のない素直で美しい体の線と動きをもった選手だが、なにしろ試合経験も乏しく、手具操作が拙かった。しかし、練習を積めば積んだ分、克服していけるそれらの課題が急速にクリアされつつある彼の演技は、昨年の社会人大会のときとは見違えるようになっていた。 国士舘大学のOBで現在はアルフレッサ日建産業所属の鈴木駿平を彷彿とさせる大きくのびやかな体操は、その美しさに磨きがかかってきた。雄大で美しいその動きには、ときに空気を動かすような力がある。 今はまだ、演技を通すことに必死になっている様子も垣間見えるが、もう少し余裕が出てきたときには、彼のもつ魅力がさらに発揮され、面白い存在になってきそうな予感がする。
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●増田大海(国士舘大学1年)
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文字通り「面白い存在」なのが、この選手だ。 稲取高校からこの春、国士舘大学に進学してきた増田は、今回の東日本インカレでは、団体と個人を兼任していた。 久々に団体を2チーム組んだ今年の国士舘だが、メンバーに余裕はなく、どちらのチームにも補欠はいなかった。いや、補欠どころかBチームは、個人にも出場する増田を入れなければ6人にならなかったのだ。 増田の団体、個人兼任は、どういういきさつで決まったのかは知らないが、練習ぶりを見ている限り、彼はそれをまったく苦にしているようではなかった。 個人の練習時間には、ひたすら個人の練習をし、終わったとたんに団体が始まれば、当たり前のように団体メンバーとして動く。 それをごく当然のことのようにこなしていた。 正直、入学時点では、決して上手い選手ではなかった。 今も「上手い」とはまだ言えない。 しかし、その驚異的なスタミナ、エネルギーによって、この短期間で彼は部内でも一目置かれる存在になった。そのがむしゃらとしかいいようのない取り組み姿勢で、見るたびに目を見張るほどの成長を見せてくれる選手なのだ。こと、個人に関しては、4種目すべては演技をもっていないところからのスタートながら、東日本インカレでは、ノーミスでの通しがいくつかあった。 余計なことを考えず、ただ目の前にあることを懸命にやる。 そんな増田は、今大会ではまったく緊張しなかったという。 ある意味、メンタルの強さも持ち合わせた、野性味あふれる選手。 そんな彼の、これからの成長が楽しみでたまらない。
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●左右木星斗(青森大学1年)
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半田中出身だけあって、基本的な線や動きの美しさはもった選手だが、青森山田高校時代は、なかなかチャンスに恵まれなかった。団体でも個人でも、大きな試合への出場機会はほとんどなかった選手だ。 それでも、青森大学に進学し、さらに個人をやりたいというのは本人の強い希望だったと聞く。 やや線が細く、繊細な印象の動きからも、「強さ」はあまり感じられないが、芯の強さはおそらくもっているに違いない。今はまだ「実績」こそないが、だからこそ「ここからだ!」という気持ちは誰よりも持っているのではないか。 女子同様、男子も昨今は、ジュニア時代からお腹いっぱいになるまで新体操をやり尽くして大学生になる選手も増えてきた。 そういう選手たちは、「大学生になったから」と、新たな目標を見つけることが難しい場合もある。新体操を続けてはいても、辞めそびれただけ。そんな選手もいる。 しかし、彼はそうではない。 大学生になり、個人選手としてのスタートを切った「ここから」の自分を信じようとしている。余分なものは持たず、「ここから」頑張ろうという気持ちだけで走る。そんな選手は、大学で伸びる。青森大学では、昨年のルーキー・塩田もそうだった。
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超高校級のスーパールーキーが、1年生ながらガツンと頂点を極めるような演技を見せる。それはたしかに爽快だし、ワクワクする展開だ。 しかし、ルーキーならではのひたむきさや必死さで、自分がどこまでいけるのか、どこまで変わっていけるのかに挑んでいく姿には、また別の良さがある。 東日本インカレの男子は、出場者数が少なく、やや寂しい大会ではあったが、このルーキー達の存在は、キラリと光っていた。 「次の舞台」での、彼らにおおいに期待したいと思う。                                          <撮影:清水綾子>


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2014年05月18日

AGG演技会のお知らせ

AGG演技会のお知らせ

新体操によく似た今注目の競技「AGG」の演技会が行われます。
今年度の世界選手権に出場するチームJapanの演技が見られます。

日時:5月18日(日)13時〜
会場:東京女子体育大学教育センター
観覧無料(どなたでも観覧できます)

当日告知になってしまってすみません。
とても美しく、将来性も感じられるAGGをぜひ多くの方に知っていただきたいので、多摩地区の指導者の方はとくに、ぜひ足をお運びください。

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