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「ふつう」という小さな箱に押し込まないで! 自閉症の少女が個性の芽をつむ社会に苦言

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「ふつう」という小さな箱に押し込まないで! 自閉症の少女が個性の芽をつむ社会に苦言

自閉症のストーリーテリング活動家Rosie King(ロージー・キング)氏は、万人を「ふつう」という型にはめ込もうとする社会に対して疑問を呈します。若干16歳の彼女が、多様性の芽を摘み取ることの愚かさを語る。(2014より)

【スピーカー】
ストーリーテリング活動家 

【動画もぜひご覧ください!】
TEDMED 2014: Rosie King

」検索の関連キーワード1位は「悪魔」だった

ロージー・キング氏:私が今までにこの話をした人は、多くはありません。でも、私の頭の中には数千の秘密の世界が広がっており、それらは同時に動き続けています。

私は自閉症です。自閉症傾向があると診断されるにあたっては、人々は特定の項目に該当するかチェックされます。チェック項目にはさまざまな種類があります。たとえば私の弟の場合は重度の自閉症で言葉を話せませんが、私は話すのが大好きです。

自閉症と診断された人々は、科学や数学に非常に秀でており、それ以外はできないと思われがちです。しかし中には、非常にクリエイティブな人たちもいるのです。それらはステレオタイプなものの見方です。ただステレオタイプであるがゆえに、それは必ずしも間違っているわけではありません。

たとえば、人が「自閉症」と聞いて、まず最初に思い浮かべるのは映画『レインマン』です。自閉症患者は全員、ダスティン・ホフマンのような人間だというのが共通認識ですが、それは間違いです。

(会場笑)

こういったステレオタイプは自閉症患者に限りません。たとえばLGBTQに対する偏見もそうです。人々は、ふつうとは違った人を恐れます。「変種」とラベルをつけた小さな箱の中に放り込んで、理解しようとしません。

これは私の身に実際に起こったことなのですが、ある日私は、Googleで「自閉症の人は」と検索しました。Googleではキーワードを入力すると、その後によく検索されている言葉が続けて予測表示されます。

「自閉症の人は」に続く言葉で、1番最初に出て来た単語は「悪魔」でした。人々が「自閉症」と聞いて最初に思い浮かべるのはその言葉なのです。……バレてますね。

(会場笑)

自閉症でよかったのは、自分を型にはめずにすんだこと

自閉症であるがゆえに、私はふつうの人にできることができないかわりに、ふつうの人にできないことができます。私は、非常に鮮明な空想をすることができます。もう少し詳しく説明しましょう。

私たちが生きているこの世界の他に、私はもうひとつ、空想の世界を持っています。空想の世界はとてもリアルで、時として現実の世界よりもリアルに感じられることがあるのです。私にとって、空想の世界で自由に遊ぶことはとても簡単です。この社会の枠組みに自分をあてはめることよりもずっと楽です。

自閉症でよかったことのひとつは、ラベルのついた小さな箱の中に自分を押し込めようとする衝動がないことです。自分のやりたいことをやりたいようにする。自分のやりたいことをやれる方法が見つかったら、それをひたすらやり続ける。

もし私が自分自身を小さな箱に押し込んでいたら、私は今までやってきたことの半分も達成できなかったでしょう。

もちろん、自閉症にも問題はあります。空想があまりにも大きすぎて問題になる場合があります。学校も典型的な問題のひとつです。先生に毎日、説明しなくてはいけません。先生の授業が言葉では説明できないほど、ものすごくつまらないので、自分の頭の中の世界にこっそり逃げ込んで、実は授業をぜんぜん聞いていないとか……。

(会場笑)

ラベリングは人を選り分ける手段

また、空想世界での出来事につれて、身体も一緒に動かしてしまいます。頭の中の世界でとてもおもしろいことが起こると、走り回らずにはいられませんし、身体を前後に揺らしたり、時には叫んだりすることもあります。空想が私に素晴らしいエネルギーを与えてくれるので、それを外に出さずにはいられないのです。

私はずいぶん小さい頃から、そういったことをやってきました。両親はそれをかわいらしいと思い、特に問題だとは考えませんでした。でも学校に行くようになると、それはもはやかわいらしい行為とは言えなくなりました。代数学の授業中に叫び続ける女の子と、友達になりたいと思う人はいませんから。

現在でも、自閉症の女の子と友達になりたいという人は多くはありません。自閉症の人間とは関わり合いにならず、自分たちを「正常」のラベルがついた箱の中に入れようとする人がほとんどです。

私はそれで別にかまいません。それは人を選り分ける手段に過ぎないし、それによって私は誰が正直で誠実な人であるかを見極めることができるからです。そこで残った良い人たちを、私は友達として選びます。

「ふつう」は褒め言葉ではない

でも、「ふつう」って何でしょう? 「ふつう」の意味って何ですか? 想像してみてください。あなたが今までの人生で受け取った最大の褒め言葉が、「わぁ、あなたってすっごく『ふつう』ね!」だとしたら。

(会場笑)

人を賞賛する表現というのは、「並外れた」とか、「型破りな」という言葉です。ふつうの人とは違ったことをするから素晴らしい。それなら、この社会で人はどうしてそんなにも必死で「ふつう」になろうとするのでしょう? なぜ1人1人違う素晴らしい個性を、同じ型にはめ込もうとするのでしょう?

人は多様性を恐れるがゆえに、すべての人間を、ふつうでいられない人たちやふつう扱いしてほしくない人たちでさえも、無理やり「ふつう」にしようとします。現代においても、自閉症やLGBTQの人たちを「ふつう」にするための矯正プログラムが存在しているのです。この時代においてさえ人々がそんなことをしているなんて、恐ろしいことです。

それぞれのユニークさを讃えて欲しい

私は自分の自閉症と引き換えに、多くのことを達成してきました。自閉症であるがゆえに、BBCのドキュメンタリーに出演し、本を出版し、このような素晴らしいスピーチの機会も得ることができました。

でも私が達成したこと、人から「達成」と見なされるようなことの中で最も素晴らしい功績は、弟や妹とコミュニケートする方法を見つけ出したことです。さきほど言ったように、彼らは話すことができません。

口のきけない彼らを、価値のない存在とみなす人もいます。でも、彼らは本当に素晴らしい弟妹です。最高の家族です。私は彼らを心から愛しており、何よりも大切に思っています。

最後に、みなさんにこの問いかけをして終わりたいと思います。自閉症かどうかに関わらず、もし誰かの心の中に入れるとしたら、「『ふつう』になれ」と強制するのではなく、そのユニークさを讃えてあげませんか? 想像力をはばたかせている姿を応援してあげてはどうでしょうか? どうもありがとうございました。

※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。

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