真の敵は他にいる!? 「セブンVSミスド」ドーナツ戦争の行方を読み解く

■セブンの真の敵とは?
このドーナツ戦争については、セブン-イレブンの真の敵はミスタードーナツではない。セブン-イレブンの敵はセブン-イレブン自身なのだ。

 

それは、セブン-イレブンの歴史は市場開拓の歴史が示している。コンビニという業態から始まり、おにぎり、お惣菜、おでん、クリーニング、公共サービス、チケット発券、クリーニング、セブンミール、そしてコンビニコーヒー。新しいサービスや商品を次々に繰り出し、そのたびに消費者の中での存在感を高めていった。今やセブン-イレブンは単なる小売店ではなく、人々の生活の中心にあるインフラ的存在になっている。

 

今回、ドーナツを発売したことには2つの目的がある。

 

1つ目は、強い集客力を持つコンビニコーヒーを軸に「プラスαの誘客」「プラスαの客単価アップ」につなげる目的だ。ミスタードーナツから顧客を奪うという意識ではなく、自社の強みを活かすという意識なのだ。

 

2つ目は、セブン-イレブン自体の賑わい感を出すという目的だ。毎年約2000商品が開発され、70~80%の商品が入れ替わるセブン-イレブン。歴史も示すように、つねに自ら仕掛け、変化していることで、競合よりも常に先行し、差を広げているのだ。今回のドーナツでは売れることも重要だが、仕掛けることで話題性が作られ、店頭に活気が出ることも大きな目的なのだ。

 

ちなみに、2015年4月にローソンが約8000店舗でドーナツ販売を行うことを打ち出したが、これもセブン-イレブンにとってはあまり気にならない。また、先日発表されたファミリーマートとサークルKサンクス(ユニーグループ)の経営統合について、鈴木敏文会長はほとんど気にならないという趣旨の発言を行っている(コンビニ合併発表をバッサリ! 鈴木敏文会長発言に見るセブン-イレブンの強さの根源)。セブン-イレブンにとって重要なことは、ミスタードーナツ、ローソン、ファミリーマートなど他企業の動きではない。お客さんのためになることをお客さんよりも先回りして提案していくということなのだ。

2015年04月17日

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