コミュニティマネージャー職を作ったよという話

弊社では、メディア系の事業と、サービス系の事業の2つがあります。メディアとは、コンテンツによってユーザーに価値を届けるもので、サービスは、ユーザーが動きやすい場を作ることで、価値を届けるプラットフォームを提供する、という住み分けです。

そんな中で、サービス系でも、コミュニティをきちんと作るのが大事だということで、コミュニティマネージャー職というものを作りました。専門職は、エンジニア、デザイナー、エディターしかない弊社ですが、4つ目の職というイメージです。

そこで、この記事で、どんな職かを紹介したいと思います。

コミュンケーションとコミュニティの違い

まず、コミュニティとは何か?からです。混合しやすい、「コミュニケーションとコミュニティの違いは何か」から説明します。

コミュニケーションとコミュニティはそれぞれ

  • コミュニケーション・・・線
  • コミュニティ・・・場

と定義しています。文字面が似ているので混合しやすいのですが、全く性質が違うのですね。

コミュニケーションは人と人が線のようにつながり、やり取りをすることです。面と向かっての会話はもちろん、電話やメールもそうですね。となると、LINEなどのメッセージアプリは、コミュニケーションをするためのものです。

コミュニティは場です。場があり、そこでコミュニケーションをするのです(もしくは、しなくてもいいかもしれません)。場とは、文字通り、場所のことなのですが、それはリアルでの場所でもいいですし、インターネット上での場所でもいいはずです。もしくは、概念的な場でもいいのかもしれません。少なくても3人以上が、何らかの共通点により、その場に存在していることをコミュニティといいます。共通点には濃いもの(目的が同じ、趣味が同じ)もあれば、薄いもの(たまたまそこに居合わせた、など)もあります。

コミュニケーションには「場」があってもなくてもいいのですね。お互いに、伝達手段があればいいので。なので、コミュニティマネージャーの見る方向は、コミュニケーションではなくて、コミュニティという場なのです。

コミュニティのおもしろさ

ちなみに、コミュニケーションとは何かという点においては、

>一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きればが充分に成立したとは見なされておらず、人間と人間の間で、《意志の疎通》が行われたり、《気持ちの通い合い》が行われたり、《互いに理解し合う》ことが起きて、はじめてコミュニケーションが成立した、とされている、といった説明を補っているものもある(Wikiepedia)

とか言われたりしますが、要は情報や気持ちなどが伝達していることかなと思っています。

当たり前ですが、コミュニケーションの特徴は、お互いに影響を受けるところだと思っています。相手がいったことによって、自分が発信することが変わってくる。相手が怒っていたらなだめるかもしれないし、相手が弱そうだったら攻撃するかもしれない。そういう補完関係になっているわけですね。

そして、おもしろいのはコミュニティという場では人3人以上いるので、AさんとBさんが行なうコミュニケーションがCさんにも見えたりもします。AさんとBさんのやり取りが、Cさんに影響するというのが、コミュニティの大きな特徴です。それによって絶大な効果を生み出して、うねりを生み出している。

つまり、個々のコミュニケーションによって、全体の場が変化していき、その場によって、コミュニケーションの内容がまた変化していく、という流れがあるわけです。

となると、コミュニティの場を作ってる人は、その大きな流れを見て、場を設計していく必要があるわけですね。当然、人と人がコミュニケーションする場所であり、それぞれの動きは読めないので、思い通りにいくことはほとんどないのですが、大きな流れの変化くらいはつけられるわけです。

その大きな流れをつけるためのあらゆる仕事をするのがコミュニティマネージャーなのです。

どんな仕事?

コミュニティマネージャーの仕事を一つ一つとると、なんだかユーザーサポートに近いようなイメージがあるかもしれません。たとえば、ユーザーとのやり取りに参加して意見を吸い上げたり、グッズをつくて配ったり、、などです。

しかし、グッズを配るというのはどういうことか?まで考える必要があるのがコミュニティマネージャーです。単にファンを増やします、では意味がないわけです。グッズをもらったユーザーは、そのコミュニティに貢献しようとして、その貢献活動によってコミュニティがどういう風に変容するのか?まで考える必要があります。

それも短期的に考えてはいけないわけです。長期的でないとダメです。短期的には、ファンにしまくってユーザーに動いてもらうほうがいいかもしれませんが、長期的にはユーザーが固定化して新規ユーザーが入ってきづらくなるかもしれません。そのあたりまで考えて行動しないといけない職です。

どんな人が向いているか

訓練である程度なんとかなる部分もありますが、生まれ持っての性質はあるのかもしれません。

まず、場にいる人たちに対する強烈な興味と愛情がないと無理です。これは必須条件になります。これが持てる人がそもそも少ない。ここさえ持っていれば他はなんとかなる。

そして、人と人の個別のやりとりに引っ張られないタイプが向いています。AさんとBさんが喧嘩していたら、それをどうとめるか?それぞれの人がどういう思いで、どういう風にしたらこの人は喜ぶのか?を考えるのではなく、「AさんとBさんが喧嘩していたら、場にとって、どういう影響があるのか?」を考える人でないといけないわけです。

AさんとBさんで、Aさんのほうが正しい場合でもAさんを追い出したほうがコミュニティによってはいい効果がある場合は、Aさんを追い出すほうがコミュニティマネージャーの仕事としてはいいわけです。

一方で、それをやるには、AさんBさんなどの個別の性質を知っておく必要もありますし、それらの人たちを個々で見るのではなく「こういうタイプの人たち」と分類・整理する力も必要となります。大変だ。

15年近くコミュニティ運営などをしてきて、それぞれ手伝ってくれた人がいて、みんな素晴らしく優秀でしたが、コミュニティマネージャーとしてやれそうな人は、ほとんど出会いません。このあたりは才能というか、性質がレアすぎるのかもしれないですね。

というわけで

このあたりはまだまだ僕も言語化できていません。しかし、このコミュニティの場に対する考え方などは、15年近くずーと考えている僕がいるわけなので、どんどんと発信していき、現場のコミュニティマネージャーに伝えていきたいと思っています。