20年目突入の「午後のロードショー」の秘密に迫る!
サメ特集や宇宙生物特集が高視聴率を取る理由とは!?
テレビ東京で放送されている『午後のロードショー』(毎週月曜~金曜 午後1:35)が4月で20年目に突入した。地上波で映画をレギュラー放送する番組が視聴率の低迷を理由に次々と姿を消す中、2014年度は平均視聴率3.5%を記録し、2011年度に比べ1%以上の伸びを見せるなど、地上波映画番組として孤軍奮闘。さらに、「サメ特集」や「地球の危機特集」など独創的なくくりや、海外のTVムービー(テレビ放送用に製作された映画)など日本未公開作品なども積極的に取り上げるラインナップが、ネットを中心に話題を呼んでいる。同番組の夏目健太郎プロデューサーを直撃し、オリジナリティー溢れるラインナップの背景や、意外な(!?)高視聴率の要因を聞いた。
――番組は4月で放送20年目に突入。CSチャンネルなどで映画番組が増え、反対に地上波での映画放送が減る中で、長く視聴者に愛されてきた理由をどのようにお考えですか?
「なんとなく他局のニュース番組やワイドショーなどを見る気分ではないときに、〝テレビ東京をつければ映画をやっている〟という安心感が長く続ける中で視聴者に生まれてきました。午後ロードはCSの映画専門チャンネルのように映画マニアを対象とするのではなく、お昼になんとなく地上波のテレビ番組を見ている普通の人々が楽しめる編成を目指してきました。それが広く愛されてきた理由だと思います」
――『午後のロードショー』は、ゴールデンタイムの映画番組にはない個性的なラインナップで知られています。例えば、2014年7月は「7月の木曜日は〝サメ〟!!!」と題したシリーズで「ジョーズ」や「シャークネード」などの作品を放送し、同2月は「2月の木曜日は〝地球の危機〟!!」というシリーズで、「ダンテズ・ピーク」や「アウトブレイク」などが登場しました。特別映画に詳しくない視聴者にはなじみの薄い作品も多いと思うのですが、これらの作品をあえて編成されているのはなぜですか?
「午後ロードの視聴者は、テレビをなんとなくつけていて、色々なチャンネルをザッピングして途中から映画を見る方も多いんです。なので、途中から見ても楽しんでもらえるように、巨大動物がでてきたり、隕石が起きてきて地球に激突したりするなど、絵的になんとなく続きが見たいという作品を選んでいます。映画番組という形にこだわらず、1日の生活でテレビが大きなウエイトを占めている視聴者の方が、何か一つコメントが残るものがあればいいな、という狙いです。それは、なにも一本の映画として深い感動を与えるというだけでなく、映画に登場する衝撃映像に驚いたり、あるいは〝くだらねーな〟と友達と話すネタになったりすることでもいいんです。こういったラインナップの作り方は映画好きの視聴者を対象としたCSなどの映画専門チャンネルにはない、地上波の映画番組としての午後ロードならではのカラーになっているのではないでしょうか」
――2014年度は平均視聴率3.5%を記録し、2011年度から1%以上アップ。日によっては、他局の番組よりも高視聴率を記録することもあります。地上波の映画番組が苦戦する中で視聴率としても健闘されています。
「2012年4月から、毎週木曜日を通しての企画というのを始めました。最初は俳優などのくくりでした。「トレーマーズ」の一挙放送が受けたこともあって、巨大生物や宇宙生物など、くくりとして曖昧だけど、キーワードとして興味をそそる方向に舵を切っていきました。一本一本の映画ではなく、〝こんな作品あるのか〟という形で、視聴者にラインナップ自体で一週間楽しんでもらえるようになってきていると思います」
――『午後のロードショー』の歴代視聴率ランキングを見ると、1位は「ゴールデン・チャイルド」(6.8% 04年12月29日)、2位は「刑事エデン 追跡者」(6.7% 96年5月2日)、3位は「大追跡サバイバル・ロード」(6.0% 97年4月30日)、4位は「スーパー・マグナム」(5.7% 03年11月13日)、5位「マジェスティック」(5.6% 03年11月1日)と続き、出演者も作品傾向もばらばらです。2015年でいうと、2月5日に放送された「ミスト」が5.4%を記録しました。高視聴率を取った映画に共通点などはあるのでしょうか?
「いや、それがわからないんですよ(笑)。歴代視聴率1位の「ゴールデン・チャイルド」は、昔他局のゴールデンタイムに放送されたんですが視聴率は良くなかったし、出演者もエディ・マフィーなどそんなにひきがあるわけでもない。僕も不思議なんですよ。でも、お昼の番組は外的要因にも左右されることが多くて、例えば、「ミスト」が高視聴率を取った日は、雪が降ると言われていて降らなかった日なんですよ(笑)。雪を警戒して外出を控えた人が見てくれたのだと思います。もっとも、視聴者の方に〝テレビ東京ではお昼に映画をやっているな〟というのが浸透しているというのは前提にあるんですが。」
――『午後のロードショー』は20年目突入された4月から新たな挑戦を始めました。3月までは月曜日から木曜の放送でしたが、金曜日も放送を開始しました。4月の金曜日は「一挙放送!リーサル・ウェポン」と題して同作を1作目から4作目から放送し、5月の金曜日は「金曜版5月はエア・パニック!!」と題して「エアポート77・バミューダからの脱出」や「エアポート80」などが放送予定。個性的なライナップが続きますね。
「見ていただける方が増えてきたこともあって、17年ぶりに月曜から金曜までの放送になります。一週間通して視聴者に楽しんでいただけるように頑張っていこうと思います。引き続き木曜日の通し企画も、「4月の木曜日は美女」「5月の木曜日はアナコンダ」と午後ロードらしいものを用意しています。ぜひご期待ください!」
取材・構成 テレビ東京担当 渡辺康史
【番組情報】
「午後のロードショー」
毎週月曜日~金曜日 午後1:35~3:35 テレビ東京にて放送中