昏睡強盗の罪に問われている“声優のアイコ”こと神いっき被告(30)の第4回公判が16日、東京地裁で行われた。性同一性障害で普段は男性の姿で生活し、犯行時だけ“女装”姿で男性に近づき、睡眠薬入りの酒を飲ませて金品を奪った5件で起訴されている。

 予定時刻から異例の“45分押し”で始まった裁判は、異様な雰囲気だった。スエット姿で出廷した神被告は頬がこけ落ち、見るからにフラフラ。「被告人は証言台へ」と促されると両脇を刑務官に抱きかかえられてやっと証言台に立った。

「名前は」と聞かれても答えない。裁判官が再度「名前は」と尋ねると、弁護人の顔をじっと見つめ、弁護人がうなずいたのを合図に「ボクのお兄ちゃんは神いっきです」と幼児のような舌足らず声で仰天発言した。これまで意識して低音ボイスを出すなど男性としてのアイデンティティーを固持してきた姿とは一転した姿だった。

「今、裁判所に来ているのが分かりますか? 我々が裁判官なのが分かりますか」と聞かれ、園児のように「ハイ!」と元気よく答えたかと思えば、目をカッと見開き口を大きく開けたまま傍聴席を“ねめ回す”など異常行動に出た。

 この日から、1人だった裁判官が3人に増員された。筆頭の裁判官は木嶋佳苗被告の公判を担当したベテラン。弁護人と被告が打ち合わせできなかったことを理由にわずか5分で閉廷となった。

 退廷の瞬間、神被告は女児の声で「お兄ちゃんは悪くありませんっ!」と絶叫した。心神喪失状態を装っているのか、タレント志望だった神被告の幼児キャラも演技なのか。

 閉廷後、弁護人にその真意を直撃したが「審理中なので何も話せない」と繰り返すばかりで、開廷が遅れた理由も語らずじまい。被害者男性たちをダマした演技力で、裁判官の目もあざむく作戦なのかもしれない。