ネバネバしない納豆できた!消費減少食い止めねば~

2015年4月19日6時0分  スポーツ報知
  • 粘りが少ない新商品「豆乃香」(左の女性)。従来の納豆と比べると一目瞭然(東京・銀座の茨城マルシェで)

    粘りが少ない新商品「豆乃香」(左の女性)。従来の納豆と比べると一目瞭然(東京・銀座の茨城マルシェで)

 納豆の生産地で知られる茨城県がこのほど、粘りの少ない納豆を新たに開発した。全国的に消費量が減少傾向にあるという納豆のマーケットをネバネバが苦手という人や外国人にも広げていくのが狙いだ。ブランド名は「豆乃香(まめのか)」。今月1日から販売が開始された。県内の製造会社5社が県と連携し、納豆のみならず、納豆のペーストやワッフル、ドレッシングなども合わせて商品化。茨城県発の「NATTO」がグローバルな健康食品へと進化しそうだ。

 粘りの少ない新しい納豆「豆乃香」は、1日から東京・銀座にある茨城県物産のアンテナショップ「茨城マルシェ」で発売された。全国で売っているのは現時点でここだけだ。担当の中野雅士さんによれば「納豆嫌いな友達へのお土産にしたい」、「パッケージがスタイリッシュで納豆っぽくない」と若い女性に人気だという。

 納豆の代名詞とも言える粘りを少なくした新ブランド。誕生の裏側には国民の納豆離れにあった。全国納豆協同組合連合会によれば、2014年の世帯当たりの国内年間消費額は、10年前に比べ約17%減少。安売り競争と原材料の高騰で、中小メーカーの廃業が増えているという。

 そこで約5年前、海外へ販路の目を向けたのは、納豆メーカー「朝一番」(土浦市)の小河原一哲取締役だ。海外の和食ブームに乗ろうと狙ったが、受注は思うように伸びなかった。「従来の糸引き納豆は外国人に腐っていると勘違いされ、食べてさえもらえなかった」と振り返る。

 小河原取締役は12年、茨城県工業技術センターに「粘り気の少ない納豆菌を開発してほしい」と依頼し、センターの職員が13年から開発に着手。遺伝子組み換えなどの人工的な手段を使わずに、糸引きが弱い菌だけを抜き出す手法を発見し、豆乃香の誕生となった。センターによると、豆乃香は従来品に比べ、粘り成分を4分の1、かき混ぜた時の抵抗は3分の2ほど減らすことに成功。納豆の栄養成分は従来通りだという。

 1月にフランス・リヨンで開かれた世界最大級の食品見本市に出品し評判は上々だったという。「朝一番」は、北米、欧州、ブラジルとすでに商談を始めている。

 問題は、従来の製品と違う工程で製造するため大量生産ができないこと。現在は菊水食品(日立市)など2社のみの製造で、菊水は1回の注文で40個限定しか受け付けられない。こうした理由から販売も銀座の茨城マルシェだけにとどまっている。価格も1パック(90グラム)216円(税込み)と従来品と比べ高めの設定で売られている。5月1日からは、朝一番などの3社でも販売開始する予定で、浸透までには粘り強さが必要になりそうだ。

 ◆混ぜても混ぜても粘り気出てこない

 銀座の茨城マルシェへ行って「豆乃香」を試食した。

 個人的に納豆は大好きだ。オシャレな容器から取り出してみると、見た目はいつも食べているものと何の変わりもない納豆だ。しかし、混ぜても、混ぜても粘り気が出てこない。ハシで持ち上げようとすれば、パラパラとこぼれ落ちてしまう。臭いは、若干抑えめだ。

 まずはタレを付けずに3、4粒食べてみた。粘り気がない分、大豆そのものの味に集中できる。いつも食べている納豆ではあまり意識しなかった豆本来の風味に気付いた。続いてタレを付けて食べた。正直、味はいつも食べている納豆と変わらない。つまり、おいしい。ただ、粘りがない分、物足りなさを感じたことは確かだ。

 私は、納豆をアレンジした「納豆チゲ」や「納豆カレー」はあまり好きではない。汁物やルーとは、あのネバネバがマッチしないように思うからだ。しかし、すっきり感のある納豆なら…? 今度は是非、豆乃香をチゲやカレーに投入して試してみたい。(甲斐 毅彦)

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