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 リチャード・ローレス元米国防副次官が17日、都内で朝日新聞と行ったインタビューの主なやりとりは次の通り。ローレス氏は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設が合意された2006年の日米交渉に、米政府代表として直接関わった。

 ――翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事が17日、安倍晋三首相と初めて会談し、「絶対に辺野古新基地はつくらせない」などと語り、辺野古移設に強い反対姿勢を示しました。日米で辺野古移設を決めた2006年のいわゆるロードマップ合意の交渉当事者として、現状をどう見ますか。

 「コメントしたいことがいくつかある。まず第一に、沖縄の政治状況とは関係なく、安倍政権がこの合意を実施すべく努力を続けているということだ。

 日本政府の義務は、日米両政府の合意を実行することだと考える。したがって、沖縄の政治状況が多少変化しても、安倍政権に合意を完全実施する義務があるという事実とは何の関係もない。

 思い出してほしいのは、この合意は、米軍の沖縄に対する影響を軽減するとともに、駐留状況全般を改善するために考案されたニーズと一連の変更に基づくものだったということだ。それによって新しい施設が利用可能となり、普天間は日本に返還されるということだ」

 ――沖縄での辺野古移設に対する反対が強まり、政治状況が悪化したのはどうしてだと思いますか。何が問題なのでしょう。

 「沖縄で何が問題となっているのか、私には全く見当もつかない。米国が日本の地方政治について論評するのは適切ではない。

 日米両国は、合意を実行しようとしているだけだ。

 思い出してほしいが、(普天間飛行場を)辺野古へ移設するというこの案は、日本政府が示したものだったということだ。米国側は、のめる解決策を示してほしいと求めた。それに対して日本側が示したのがこれだった。米国の案ではないのだ。

■辺野古移設は「絶対に可能」

 何が問題だったのか。思い切って私の意見を言おう。

 この合意は当初のスケジュールに従って、進められるべきだった。小泉政権下で合意ができてから、今の安倍政権まで、9年の間に実に6人の首相が相次いで誕生した。それが問題だったのだ。理由は何であったにしろ、この間、日本政府は両国で合意したスケジュールを守らなかった。もし歴代政権が当初のスケジュール通りに合意を実行していれば、今、我々がこんな状態に立ち至ることはなかった」

 ――辺野古移設を決めたロードマップ合意の実施、すなわち普天間代替施設の辺野古での建設は、今なお実現可能だと思いますか。

 「絶対に可能だ。もし、知事が沖縄の米軍プレゼンスを減らし、再配置したいと考えているのなら、この合意がベストの解決策だ。飛行場の移設、米軍プレゼンスの相当程度の削減、利用価値の高い土地の返還など、沖縄側が求め、日本政府が支持した広範な利点があるからだ」

 ――5年前の前回インタビューでは、辺野古移設以外に「プランB」(代替案)はないと言っていました。今も同じ考えですか。

 「今もそう思っている」

 ――翁長知事が求めているのはまさに「プランB」です。

 「そうだ」

 ――翁長氏は、日米安保条約そのものに反対しているわけではない、と言っています。改善、解消を求めているのは、沖縄の過剰な基地負担です。本土の住民も含めた日本国民全体で公平に分かち合うことを求めているわけです。妥当な議論では。

 「実際、ある程度、同感する。しかし、もし知事が本気でそう思っているのなら、この合意を実行すべきだ。なぜなら、この合意は沖縄に駐留する米軍の態勢を相当程度、変更するからだ。これは事実だ。だからこそ日米両国政府はこの合意に至ったのだ。あえて繰り返すが、飛行場を移転し、嘉手納以南の利用価値の高い土地を大量に返還する。相当数の海兵隊を沖縄から出す。そうした点は、沖縄県が優先的に求めてきたことだったのではないか。

 プランBはないか、という質問だった。プランBはある。海兵隊の飛行部隊が今いる基地に駐留を続けるということだ。普天間基地の運用が、永久に続くということだ」

■沖縄の重要性、9年前より高まった