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 統一地方選後半の町村議選で、候補者不足が深刻になっている。立候補予定者が定数に届かない自治体が相次ぎ、群馬県上野村では駆け込み的に定数削減に踏み切った。背景には議員報酬の低さや若い人が敬遠しがちといった事情があり、議会改革を探る動きも出ている。

■再選挙の危機、誘っても「仕事がある」 群馬の高山村・川場村

 9日、群馬県高山村役場で村議選(定数10)の立候補予定者の事前審査があった。だが、訪れたのは現職5、新顔1の計6陣営だけで、定数を4下回った。「再選挙になるかもしれない」。村の選挙管理委員会は慌てて準備に取りかかった。

 公職選挙法は、定数の6分の1を超える欠員が出たときは再選挙をしなければならないと定める。高山村の場合、2人以上の欠員のまま21日の告示日を迎えれば、50日以内に補充のための再選挙になる。県選管によると、「県内では首長選を含め例がないのではないか」という。

 高山村では、前回11年の村議選でも定数と同数の候補者しか立たず、無投票になった。今回はさらに深刻だ。「村民からどんな批判を受けるか」。当の議員たちも村当局も頭を抱えた。

 村では今回、多くの現職が「長いこと議員をやったから」「他の仕事が忙しいので」などと立候補の辞退を表明した。だが、後継者探しが難航し、ここに来て引退を翻意する現職も出ている。現職の一人は「体もきついので辞めるつもりだったが、区長ら地域のみなさんに連日説得されたので」。ただ、再選挙を回避できるかどうかは、なお微妙だという。

 川場村議選(定数10)でも、立候補に必要な書類を取りに来たのは9陣営にとどまっている。うち2陣営は不確実で、最悪の場合、再選挙の可能性がある。

 現職議員らが候補者探しをしているが、新顔がなかなか見つからない。若い農業者には「議員になれば経営規模を縮小しなければならなくなる」と断られた。別の男性も「仕事があり、自分は議員に向かない」と応じなかったという。

 候補者不足の理由について、村議の一人は定数削減で当選ラインが上がったことを挙げる。終戦直後の22から次第に減り、2007年から現行の10に。「以前は140~150票で当選できたが、いまの当選ラインは200票前後。それが重荷になっている」