日本史と世界史の溝(日本史教員必読)
私も前から問題にしている、日本史の概説や資料集における日本町や朱印船関連の地図に間違いが多いという問題を、蓮田隆志氏が詳しく書いてくれた。日本史の先生や教科書・資料集の編集者は必読である。
電子版は以下で読めるとのこと。
https://niigata-u.academia.edu/TakashiHasuda?hc_location=ufi
いつもの悪口で言えば、これらの図の何重にも絡み合った間違いは、日本史の研究者や出版社が東南アジアとの関係について、たっぷり70年遅れていることを象徴する(中国史も全般にはそれよりちょっとましという程度)。
東南アジアなんかどうでもいいと言うなら仕方がない。
そうでなければ、こういう問題については最低限東南アジア史専門家に校閲を依頼すべきである。
しかしそうすると、日本には信用できる東南アジア史の専門家がすごく少なくて(史学系の専攻に教員がほとんどいない。国際系・外語系にはいたとしても、歴史教育などにはタッチしにくい)、日本史や中国史の巨大な需要に応えられずに苦労していることがわかるだろう。
そこでどうするか。東南アジア史の史学系教員のポストを増やす後押しをするのでなかったら、こういうことに必要なレベルの知識を「副専攻」として身につけているような)研究者を、日本史(中国史も同じの学界や専攻が意識的に養成するしかないだろう。
ちなみにこれも何十回となく言ってきたが、東南アジアは複雑な上に現地語を使った地域研究が発展しているから、ほとんどの大学が「東南アジア史”も”やらせた方がいい」と考えて善意で採用している、「半年の講義を一コマだけ取らせる」仕組みでは、こういう種類の問題に歯が立たない。最低でも副専攻として一連の授業を受ける必要がある。
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