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【正論大賞】「“韓国の3点セット”で戦うべき」秦郁彦氏の受賞記念講演要旨

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「“韓国の3点セット”で戦うべき」秦郁彦氏の受賞記念講演要旨

正論大賞更新

 戦後の日本では「戦い」という言葉にアレルギーを起こす人がいる。そのため歴史戦とはなんとなく暗いテーマという印象があるが、本来は明るい論争であるべきだろう。外国人とも議論でき、共通のテーマをめぐって自国の有利不利を超えた議論となる。歴史の事実を検討し合うことは、本来は楽しく意見交換することなのだ。それが「論より証拠」という歴史家同士の戦いでなく、「証拠より論」という政治、イデオロギーの戦いになっている。

 隣同士だからといって、韓国とは仲良くできるというわけではない。かつて全斗煥元大統領が「千年の友情」と話していたが、それから20年もたたないうちに「千年の恨み」(朴槿恵大統領)となってしまった。中国の方が理にかなった歴史戦を仕掛けており、孫子は「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とし、「内通者がいれば勝てない」ともする。日本には内通者だけでなく、外国とつながる外通者もおり、やっかいだ。

 現在の歴史戦での主戦場はアメリカ本土で、標的は韓国、テーマは慰安婦問題だ。何を武器に争うか、その武器は「証拠」だ。わかりやすくしつこく証拠を突きつける。慰安婦問題の核心は2点。ひとつは「強制連行」で、命令違反とか個人的な犯罪を除き、慰安婦の強制連行はなかった。

 もうひとつは慰安婦が性奴隷といわれるほど過酷なものではなかったということだ。どちらも私は証拠を持っている。戦時中の「慰安婦大募集」という新聞広告で、雇い主は朝鮮人で、月収や前借りの金額まで記されている。兵隊さんが月収10円の時代に300円稼いでいた。新聞広告で集まってくるのに、強制連行の必要はあったのか。

 最近では米大手教育出版社「マグロウヒル」の教科書で問題が起きた。先の大戦を扱ったコラムで「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」と、明らかな虚偽内容となった。私も含めた有識者19人で3月、明確な事実誤認部分の8カ所について訂正を求めた。

 慰安婦問題はもう打ち切るべきで、それが難しいならば“韓国の3点セット”で戦うべきだ。ひとつは朝鮮戦争での韓国軍の慰安婦部隊、そして在韓米軍基地村の米軍慰安婦、さらにベトナム戦争での韓国軍の強姦、虐殺行為だ。