中国人の私が帰化して新宿区議選に出る理由
「当選すれば、民主主義のない中国は大打撃」
――中国や韓国など、日本は今、隣国との関係がよくありません。そのような中、街頭での政治活動は問題ありませんか。
まったくありません。もちろん、街頭で話をしていると「中国に帰れ!」と言ってくる人が毎日10人ぐらいはいます。また、「本当に外国人なのか」と思ったのか、じーっと私を見つめ近寄ってくる人もいます。確かに気分はよくない。
それでも、毎日新宿を歩いてみると、私をきっかけに政治に関心を持ち始めた人がいることを実感します。たとえば、オフィスなどに入ってあいさつをすることがあります。中には、外国人が多いオフィスもある。すると、「あの李小牧さんですね。公約、読んでいますよ」と言ってくれるオフィスが少なくはない。そこで働く人のなかには、帰化して投票権がある人も、投票権がない外国人もいますが、私の政治活動を記したチラシなどを読んで話しかけてくれるんですよ。
――投票権がある外国人の、日本の政治に対する関心はどの程度でしょうか。
正直言えば、これまで「われわれにはまったく関係ない」というのが本音でしょう。日本に中短期に滞在し、カネを稼ぐためだけにいる。それさえできればいいという外国人が多いし、私もそれは理解できます。
でも、投票権のある外国人でさえ政治への関心がない。一票を投じることができるのに、日本の選挙がどんなものか、あるいは実際に投票とはどうするものかさえわからずにいる人が多いのです。それが、私が立候補したことで、「投票どころか立候補もできるのだ」とわかった人もいるのです。
「投票は1人でできるの?」と真顔で聞く知人
こんなことがありました。ある中国人でもう何十年も前に帰化した人ですが、投票の意味がわからない。「団地である政党の人と握手してしまったけど、実際の投票には違う人を書いてもいいのかしら」と言ってきた人がいます。また、「投票は1人で行ってもいいのか、誰か付き添わなければいけないのか」と言ってきた人もいます。実は私もかつて、「投票は1人でできるのか、誰に投票したのか本当にわからないのか」と心配していました(笑)。
私が日本国籍を取得した時、瞬く間に30人ぐらいが「どうしたら帰化できるか」と相談にやってきました。彼らが帰化したいと思うのは、日本が好きだからこそなのです。好きな国だからこそ長くいたい。であればこそ、合法的に、そして日本の人とともに長く住めるようになりたいと願っているのです。それならば、日本で長く住めるルールを教え、日本人とどう共生できるかも伝えたい。これも、私が立候補してアピールしたい一つなのです。