東西送電能力:300万キロワット…経産省、目標引き上げ

毎日新聞 2015年04月03日 20時20分(最終更新 04月04日 02時45分)

国内の周波数の境界線
国内の周波数の境界線

 経済産業省は3日、周波数が異なる東日本と西日本の間で送電できる能力を、現在の120万キロワットから2.5倍の300万キロワットに増強する方針を決め、電力需給を検証する同省有識者委員会に示した。東日本大震災直後、東日本で深刻な電力不足が生じた教訓から、全国規模で電力を融通しやすい態勢を作る。有識者委の検討を踏まえ、電力広域的運営推進機関(広域機関)が周波数を変換する設備などの具体的な建設計画を策定する。【中井正裕】

 周波数は東日本が50ヘルツ、西日本が60ヘルツと異なっており、東西間で送電する場合、周波数を変換しなければならない。しかし、震災当時は変換設備や送電線が不足し、東西間の送電能力は120万キロワットしかなかった。このため西日本では電力に余裕があっても、東日本では計画停電しなければならない事態となった。

 経産省の有識者研究会は2012年4月、東西間の送電能力を20年度をめどに210万キロワットに増強し、できるだけ早期に300万キロワットに引き上げるよう提言。電力大手9社も210万キロワットへの増強に向けた取り組みを始めたが、さらなる増強の検討は具体化していなかった。

 300万キロワットは原発3基分に相当し、経産省は、大規模災害時でも最低限必要な電力を確保できる、と見ている。

 経産省の有識者委は今後、送電能力を増強するための費用や効果を検証。これを受けて、広域機関は変換設備の建設時期や送電線のルートなど具体的な計画を検討する。ただ、東西間の送電能力を90万キロワット増強するには10年間の工期と1500億円規模の費用が必要とされる。

 コストは電気料金に上乗せされ、利用者の負担が増す可能性もあるが、経産省は「全国的な電力の安定供給態勢を確保するために必要」と説明している。

 ◇電力広域的運営推進機関(広域機関)◇

 全国規模の電力融通の司令塔となる組織で、電気事業法に基づく認可法人。政府の電力システム改革の第1弾として4月に発足した。電力大手10社や新規参入事業者約600社など、すべての電力事業者に加入義務がある。運営費用は、送電線の利用料金に上乗せされ、電気料金に含まれている。

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