不正に入手した他人のIDとパスワードを使って大手インターネット接続業者にアクセスしたとして、警視庁サイバー犯罪対策課は13日までに、ネット管理業者「中都商事」(東京・豊島)社長、劉伝聞容疑者(34)ら中国人の男2人を不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕した。同課によると、2人は「身に覚えがない」と容疑を否認している。
中都商事はネットへの接続を中継する「プロキシサーバー」の管理業者。プロキシサーバーを経由すると、ネット上の番地に当たる「IPアドレス」が置き換わり、端末が特定されないため、ネット犯罪の温床になっていたとみられる。
サイバー犯罪対策課は、劉容疑者らが同社のプロキシサーバーが不正行為に使われることを認識していた疑いが強いとみて捜査を進める。
同課によると、同社のプロキシサーバーは昨年3~6月、楽天銀行のインターネットバンキングのIDなどが盗まれ約260万円が不正送金された事件や、海外渡航時の携帯電話レンタルを手掛けるエクスコムグローバル(東京・渋谷)の顧客のカード情報約10万件が流出した事件などで、使われていたという。
中都商事は2010年7月に電気通信事業者の届け出を総務省に提出し、都内や埼玉県などの事務所にプロキシサーバーを設置。これまでに少なくとも560人の中国人顧客から4千万円以上を売り上げていたという。
劉容疑者らの逮捕容疑は昨年10月、男性のIDとパスワードを入手し、不正アクセスした疑い。
プロキシサーバーは不正アクセス事件の捜査の障壁になることが多い。同課は、他にも悪質な管理業者が国内に多数存在するとみており、通信事業者などとも連携し、今後も摘発を進める。
中都商事、プロキシサーバー、不正アクセス、エクスコムグローバル、楽天銀行