自衛隊派遣:「国連決議の活動」要件を新たに規定

毎日新聞 2015年04月16日 21時56分

 ◇政府方針、与党に提示 「国際平和共同対処事態」として

 政府は16日、安全保障法制のうち他国軍を後方支援するために自衛隊の海外派遣をいつでも可能とする「国際平和支援法」(恒久法)について、自衛隊の派遣要件を満たすケースを新たに「国際平和共同対処事態」と規定する方針を与党に示した。また、武力攻撃事態法改正案で、集団的自衛権の行使について「国民を守るために他に適当な手段がない」との要件を明記する方針も示した。

 国際平和支援法は、国際紛争に対処する他国軍に、給油や物資輸送など後方支援を行う自衛隊を派遣する法律。政府は派遣が可能となる要件を(1)支援対象国が、国連決議や関連する国連決議に基づいて活動している(2)国会の事前承認を基本とする−−と規定。この要件を満たした場合を「国際平和共同対処事態」と位置付ける考えだ。

 ただ、自民党は国会承認について、緊急時は事後承認を認めるよう主張しているが、公明党は難色を示している。同党の漆原良夫中央幹事会長は16日の記者会見で「例外なき事前承認」を求める考えを示した。

 一方、政府は昨年7月の閣議決定で定めた集団的自衛権行使の新3要件のうち、「日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない」との全文を、武力攻撃事態法の改正で盛り込む方針を示した。閣議決定を法律で明文化し、自衛隊活動に一定の「歯止め」をかけたい公明党の主張に応じた。

 また、周辺事態法を改正して策定する「重要影響事態法」で、日米安保条約の効果的な運用に寄与する米軍の活動を支援している他国軍については、自衛隊の支援を可能とする規定を盛り込む方針も示した。2段構えで米軍以外の他国軍の支援も可能とするもので、適用範囲を安保条約が想定する「極東」に限定したい公明党に配慮した。【飼手勇介】

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