安保法制:後方支援、日米安保が中核…政府が概要提示

毎日新聞 2015年04月17日 13時18分

 政府は17日午前、新たな安全保障法制の整備に関する与党協議会で、法案の概要をまとめた「安保法制の検討状況」を提示した。周辺事態法を改正する「重要影響事態法案」については、法案の目的に「日米安全保障条約の効果的な運用に寄与することを中核とする」との規定を明記。事実上の地理的制約だった「周辺事態」の定義は撤廃するが、自衛隊による米軍などへの後方支援の目的を日米安保条約に絞る表現にすることで、適用範囲が無制限に広がることを懸念する公明党に配慮した。【飼手勇介、青木純】

 「検討状況」には、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」を創設する武力攻撃事態法の改正▽国際紛争に対処する他国軍を後方支援する「国際平和支援法」(恒久法)の制定▽国連平和維持活動(PKO)以外でも海外で住民保護などの「国際連携平和安全活動」を行えるようにするPKO協力法の改正−−などが明記された。協議会では強い異論は出ず、自民党の高村正彦副総裁は協議会後の党役員連絡会で「少しずつ意見が収れんしつつある」と述べた。

 重要影響事態法案ではこのほか、自衛隊による後方支援の対象に「国連憲章の目的達成に寄与する活動を行う外国の軍隊、その他これに類する組織」を盛り込み、これまで米軍に限定していた支援対象を拡大。日米安保条約の効果的運用以外の目的でも他国軍への支援が可能と解釈できる。何らかの国連決議があれば他国軍を後方支援できる国際平和支援法案との違いが不明確になりかねない。平和支援法案で自衛隊を海外派遣する際の国会承認の扱いも先送りされた。

 存立危機事態については、武力攻撃事態法改正案で「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と規定。集団的自衛権の行使に当たり政府が国会承認を得る際に提出する「対処基本方針」の記載事項として「日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、武力の行使が必要である理由」を明記することを盛り込んだ。政府が昨年7月の閣議決定で定めた集団的自衛権の行使を可能とする新3要件のうち「他に適当な手段がない」との要件を事態の定義にしない形で法案に明記する方針だ。

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