安保法制:他国軍支援広く可能に 「周辺」以外の有事念頭
毎日新聞 2015年04月17日 23時57分(最終更新 04月18日 00時03分)
政府が17日の安全保障法制の与党協議会で示した「重要影響事態法案」(周辺事態法を改正)は、日米安全保障条約の効果的な運用に寄与することを「中核」とする方針を示した。一方、後方支援を行う対象国として、米軍に加え「国連憲章の目的達成に寄与する活動を行う外国の軍隊」も明示した。「極東の平和と安全」のためにある日米安保条約を持ち出して、活動の地理的制約を残したい公明党に配慮しつつ、実際には広く他国軍支援を行うことを可能にする内容だ。【飼手勇介】
政府は、今回の周辺事態法改正にあたり、事実上は日本周辺に適用されると解されてきた「周辺事態」を廃止し、地理的制約の撤廃を図った。ただ、公明党は「周辺事態」の削除には応じるものの、地理的な制約を残すため、周辺事態法にある「日米安保条約の効果的な運用」を残すよう要求。最終的に政府案が受け入れた。同党の北側一雄副代表は政府案について「周辺事態法の性格の本質は法改正によっても変わらないことを明確にした」と評価している。
しかし、「中核」という文言には「必ずしも日米安保に縛られるとは限らない」という意味がある。政府関係者は「改正法が適用される事態は日本周辺で起きる可能性が高いが、それ以外の地域でも起こらないとは限らない」と述べ、「周辺」以外での有事への対処を念頭に置いていることを隠さない。
政府は、中東のシーレーンが封鎖され、日本への原油輸送が滞る場合などを日本に重要な影響を与える事態(重要影響事態)と認定したい考えだ。
政府は17日の協議会で、武力を行使する他国軍を後方支援するための恒久法「国際平和支援法案」についても概要を示した。
国会に承認を得る前に閣議決定する基本計画では、(1)事態の経緯や国際社会の平和と安全に与える影響(2)国際社会の取り組みの状況(3)日本の対応が必要である理由−−を明記することとし、自衛隊派遣の正当性について、政府が説明する枠組みを設けた。
ただ、派遣の際の国会承認についてはこの日の協議会では議論しなかった。