振り込め詐欺グループに自分の銀行口座を貸し、被害者が振り込んだ8200万ウォン(約900万円)を引き出して詐欺グループに渡したとして、ソウル松坡警察署は17日、全羅南道のある教会の担任牧師(52)を逮捕した。この牧師は詐欺グループの犯行に協力した見返りに81万ウォン(約8万9000円)を受け取ったという。
警察によると、この牧師は1通のスパムメールを受け取ったことで、犯行に加担するようになった。牧師は当時、およそ180万ウォン(約20万円)の月給と信徒60-70人からの献金に頼って生活を維持していたが、最近になって電気代や水道代を払えないほど生活が苦しくなったという。子ども3人の大学の学費を出すため借金した牧師は、都市銀行からさらに融資を受けようとしたものの、融資を拒否されたという。
このような中、牧師の元に今月2日「低利で融資する」という内容のスパムメールが届いた。牧師は3日間悩んだ末、わらをもつかむ思いで電話をかけたが、電話に出た男は「あなたの銀行口座にお金が入るようにしてあげるから、そのお金を引き出し、渡してくれたら、引き出した金額の1%を謝礼として渡す」と持ち掛けた。この男は貸金業者ではなく、振り込め詐欺グループのメンバーだった。
それから4日後、男は「銀行口座にお金が入っている。ソウル市内でそのお金を引き出し、渡してほしい」と求めた。牧師は直ちにソウルへ向かい、松坡区の銀行2カ所で8200万ウォンを引き出して、それを男に渡し、手数料として81万ウォンを受け取った。牧師の通帳に振り込まれた8200万ウォンは、男らが被害者2人から振り込め詐欺でだまし取った金だった。牧師は2013年にも、振り込め詐欺グループから金を受け取り、自分の口座を貸したとして、罰金刑を言い渡されたことが、警察の調べで分かった。