投資家たちが株を買うため証券会社から借りた金が過去最高額に達した。15日の証券会社信用融資額は7兆759億ウォン(約7756億円)で、それまで最も多かった2007年6月26日の7兆105億ウォン(約7684億円)を上回った。今年初めの5兆ウォン(約5480億円)台から4カ月にして2兆ウォン(約2192億円)近く増えたというわけだ。これは、株式市場が強い回復傾向を示しているのを受け、個人投資家たちが借金をしてでも「買い」に走っているためだ。KOSPI(韓国総合株価指数)は17日、過去最高の2228まであと85ポイントと迫る2143で引け、コスダック指数は7年ぶりに700台を突破した。
経済展望が好転して株式市場に長期投資金が流入、それにより株式市場が活況を呈するのは望ましいことだ。各企業は投資資金の調達が容易になり、投資家の消費余力も増える。
しかし、最近の株式市場回復傾向は、景気回復の兆しではなく「金の力」によるものだ、というのが専門家らの見方だ。欧州が先月から金を追加で増やしており、韓国も史上初めて基準金利を年1%台に引き下げたことから、株式市場に資金が流入している。だがその一方で、実物経済は消費も輸出も不振を免れられず、今年の成長率は2%台に低下するとの見通しもある。
今後、株価が下落に転じれば信用融資を返済するため株は売られ、株価がさらに暴落し、経済に大きな不安要因を与える可能性がある。個人投資家たちは株価が下がって金を失うだけでなく、借りた金の返済まで重なり二重苦にさいなまれる。2008年の世界金融危機前には信用融資額が過去最高を記録したが、危機後は株価指数が急落、元金を失う「担保不足口座」が続出した。
政策担当者らは、現在の株式市場上昇に浸って不安要因に目をつぶってはならない。07年には大統領や首相までが「借金投資」の危険性の警告に立ち上がった。信用融資が再び増えた11年には、金融監督院長が信用融資を自粛するよう証券各社に要請した。景気回復の後押しがない株価上昇は「蜃気楼(しんきろう)」に終わる可能性がある。政府は経済再生に全力を注ぐと同時に、借金投資の危険性も事前に警告して株式市場に健全な投資ムードを広めなければならない。