日本経済新聞

4月18日(土曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

速報 > 国際 > 記事

中国、人民元国際化へ攻勢 IMF準備資産に採用促す

2015/4/18 11:35
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 【ワシントン=矢沢俊樹】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、中国は人民元の国際化に向け攻勢を強めた。ドル・ユーロなどで構成する国際通貨基金(IMF)の準備資産に人民元を採用するよう働きかけを加速。2015年中の人民元採用に前向きな欧州勢に対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)騒動を引きずる日米は慎重な姿勢を崩さなかった。

 IMFの準備資産は特別引き出し権(SDR)と呼ばれ、通貨危機時などに加盟国同士が通貨を交換したりできるようにIMFが割り振る。現在、SDRの基準通貨は米ドル、ユーロ、円、英ポンドの4つしかない。

 自由に売買取引のできない「合成通貨」とはいえ、採用されると事実上主要通貨メンバーの地位が認められる。15年は5年に一度しかない基準通貨の見直し年だ。中国は今回のG20と前後し、IMF加盟国への働きかけを加速しているという。

 G20議長国トルコのババジャン副首相は17日の記者会見で、人民元のSDR加入について「G20全体としては議論していないが、ラガルドIMF専務理事との会談では出た」と述べた。麻生太郎財務相も16日のラガルド氏との会談でSDRを巡り協議したことを明かした。

 ラガルド氏はG20に先立つ3月23日、中国での李克強首相との会談でSDR問題について加入審査に前向きに取り組む意向を伝えた。中国側が根回しに本腰を入れつつあるのを踏まえ、理事会の議決でカギを握る国の態度を探り始めたようだ。

 人民元がSDRに加われば財務基盤の強化にもつながるため、IMF内では「中国のSDR加入を歓迎する声が多数派」(幹部)との見方もある。

 もっともSDR加入に関しては、IMF加盟国の中でも態度未定の国が多い。多くの加盟国が悩むのはSDRの採用基準の解釈だ。IMFはその国が国際通貨にふさわしい一定の貿易規模を備え、かつ「自由に取引可能な」通貨であることが必須だとしている。その「自由」の定義にはあいまいな余地が残る。

 中国側はSDRへの加入条件として思い切った資本市場と金融分野の自由化を進める方針を各国に伝えている。中国当局との接触が多い国際金融当局筋は「SDR審査をにらみ相当思い切った内容の資本市場改革案を出してきそうだ」とみるが、その時期や具体策は読めない。

 AIIB創設メンバーとして参加表明したドイツの金融当局や英財務省の高官らは、人民元のSDR採用を基本的に支持する見解を相次いで表明した。AIIBと併せ、SDR支持が対中外交の有力なテコになるとみているあらわれだ。

 一方、麻生氏は16日「中国は資本規制があり、緩和するのは歓迎すべきことだ」と述べるにとどめた。ルー米財務長官も「SDRの基準を満たすにはさらなる資本自由化と改革が必要だ」と言質を与えない。

 日米内では「中国の資本改革の実効性や国際金融市場への影響が不透明で、拙速なSDR加入は支持できない」(当局筋)との慎重論が多い。日米ともAIIBが尾を引く中で中国のSDR加入を積極的に支持するのは困難なのが実情だ。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

IMF、AIIB、麻生太郎、ババジャン、SDR、G20、ルー、李克強、中国

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 19,652.88 -232.89 17日 大引
NYダウ(ドル) 17,826.30 -279.47 17日 16:35
ドル/円 118.87 - .92 +0.07円安 18日 5:48
ユーロ/円 128.50 - .54 +0.35円安 18日 5:49
長期金利(%) 0.300 -0.025 17日 15:32

人気連載ランキング

4/18 更新

1位
私の履歴書
2位
「ネット20年」その先へ
3位
わかる財務

保存記事ランキング

4/18 更新

1位
マイナンバーこう変わる(7) 医療でも段階的に活用 [有料会員限定]
2位
マイナンバー可能性と課題(中) [有料会員限定]
3位
管理職や役員の報酬、東南アが日本超え [有料会員限定]
日経Gooday(グッデイ)カラダにいいこと、毎日プラス

日経ウーマノミクスプロジェクト
GlobalEnglish 日経版
CollegeCafe 日本経済新聞社の学生向け情報サイト

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について