震災教訓:「津波、家に戻るな」…データベースで共有

毎日新聞 2015年04月18日 10時48分(最終更新 04月18日 12時25分)

 ◇東北大災害科学国際研究所 ウェブサイトを公開

 「津波避難では家に戻らないことが鉄則」「緊急時の声かけは自治体や町内会単位ではなく、隣近所によるものが説得的かつ効果的」−−。東北大災害科学国際研究所は、東日本大震災の経験を踏まえた避難の心得や、必要な事前対策などの教訓をまとめたウェブサイト「3・11からの学びデータベース」を公開した。大規模災害に備えた防災計画への活用が期待される。

 データベースには、同大の教授ら約40人が東日本大震災の調査や研究から導いた教訓約100件を掲載。津波避難▽災害医療▽健康問題−−などのカテゴリー別に整理されていたり、自治体▽住民▽医療機関−−など対象者別に検索できたりする。フリーワード検索も可能。

 たとえば「子ども」に関する教訓を調べると、津波を経験したり、居住環境に変化があったりした場合、アトピー性皮膚炎や心の健康への支援が必要な子の割合が高まることが分かる。「女性」で検索すると、女性特有の月経に伴う症状などが災害によって助長される場合があることなどが紹介されている。生理用品を用意するだけでなく、プライバシーに配慮した配り方などをあらかじめ検討しておくことなど解決策にも言及している。

 同研究所の佐藤翔輔助教は「研究によって得られた知見を端的にわかりやすくまとめることで、『あの時の教訓は何だったのか』ということを一般の方と共有できる」と期待する。教訓のデータは今後の研究を踏まえ、増やしていく。データベースのアドレスはhttp://311manabi.irides.tohoku.ac.jp。

 併せて明治・昭和三陸地震津波や阪神大震災など過去の震災に関する報告書や学術論文約4000件を収録した「震災教訓文献データベース」(http://edbunken.irides.tohoku.ac.jp)も公開した。【近藤綾加】

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