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【埼玉】中国人中傷 消そう 日中住人協力、アートに変身へ
外国人が暮らしやすい環境をつくろうと、川口市芝園町の都市再生機構(UR)「川口芝園団地」で十七日、中国人を中傷する落書きを日中両国の団地の住人や大学生が協力して消し、アートとして生まれ変わらせる取り組みが始まった。企画した一人の早稲田大三年、土井寛喜(ひろき)さん(21)=東京都文京区=は「外国人との共生に一役買えれば」と期待を寄せている。 (竹内章) 芝園団地は、高度経済成長期に首都圏での住宅供給を目的に建設され、一九七七年から入居者受け入れを始めた。アジア系外国人が多く働いている池袋と交通アクセスが良いことなどから、近年は外国人の住人が急増。URによると、現在約二千五百戸あり、中国人を中心とする外国人が入居者の約三割を占めている。 一方、団地の自治会によると、二、三年前から、中国人を誹謗(ひぼう)中傷する内容の落書きが団地内のベンチなどに目立つようになった。いつの間にか消されていることもあったが、そのまま残っている場所も。今回の取り組みは、以前から団地の行事にボランティアで協力している土井さんらが落書きの存在を知り「どうにかしたい」と企画。URもペンキを用意するなど協力する形で実現した。 この日は、土井さんら大学生二人と日中両国の住人ら計約十人が、団地内の共有スペースに設置されている木製の机やベンチに青色のペンキを塗り、油性ペンで書かれた落書きが見えないようにした。後日、乾いたペンキの上に手形を付けるなどして「アート」として生まれ変わらせる予定だ。 土井さんは、国内で生活する外国人が増えている現状を背景に「日本でも多文化共生を避けては通れない。小さな活動だが、外国人と仲良く暮らせる足掛かりになってほしい」と力を込めた。中国人の住人の武玉会(ぶぎょくかい)さん(37)は「落書きは気分が良いものではなく『どうして?』と思いました。私はこの団地が大好き。この活動はとても良いと思います」と笑顔を見せていた。 PR情報
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