ビジネス電波腕時計、10年で価格4倍のワケ

国内企業が見出した海外ブランドへの対抗策

左からセイコー「アストロン」、シチズン「アテッサ」、カシオ「オシアナス」

新年度を迎え、新品の腕時計を身に着けた新社会人の歩く姿が目立つ。

GfKJapanによると、国内ブランド腕時計の平均価格は、近年右肩上がりとなっている。国内主要メーカーが広告宣伝費を最も重点的にかける中高級モデルが、価格押し上げに貢献してきた。

海外のブランド腕時計といえば、技術はすでに成熟化しており、価格の根拠が不透明という印象がある。が、国内のビジネス腕時計は、この10年間、技術面で「世界初」を目指し各社がしのぎを削り、付加価値を向上させてきた。

電波腕時計は2003年に登場

最初の契機が腕時計の電波時計化だ。電波時計は1993年に商品化されていたが、メタルケースが電波を反射してしまうため、腕時計には導入されていなかった。

その課題をクリアしたシチズン時計が2003年に世界初のフルメタル電波ソーラー腕時計「アテッサ」を発売。これを皮切りに、2004年にはセイコーウオッチが「ブライツ」、カシオ計算機が「オシアナス」ブランドで、電波腕時計を投入した。カシオのオシアナスは、電波ソーラー腕時計で世界初のクロノグラフ搭載モデルだった。セイコーも世界初の針位置自動修正機能を搭載した。

当初、電波腕時計は5万円程度だったが、それでも当時は各社の販売部門で「こんなに高い価格設定で本当に売れるのか」という危惧が出るほどの挑戦的な価格だった。だが、ふたを開けてみれば、売れ行きは絶好調。技術競争は激化していく。

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