総務省は、携帯電話の全地球測位システム(GPS)情報を犯罪捜査に使いやすくする。17日に公表した通信業界向けの指針(ガイドライン)改正案に盛り込んだ。5月まで募集するパブリックコメント(国民からの意見)を踏まえ、早ければ6月にも新たな指針に移行する。
これまでGPS情報を犯罪捜査に使うには、裁判官から令状を取った上で、本人に情報取得を通知する必要があった。ただGPS情報を取得したことが犯人に伝わると、誘拐事件などの場合では被害者に危害が加わる恐れがある。そのため現実には犯罪捜査に使いにくい状態だった。
今回の指針改正案は、本人への通知を求める条項を削除する内容。もっとも、現在普及しているスマートフォンなどは通信事業者などが位置情報を取得する場合に自動的に通知する仕組みになっている。実際の運用開始には、通信事業者や携帯電話メーカー側の対応も必要になる。
携帯電話から得られる位置情報は、通信事業者が設置する基地局の情報とGPSの情報がある。このうち基地局の情報は通信事業者がもともと持っており、裁判官の令状のみで捜査に使うことができた。ただ得られる位置情報の範囲が数百メートルから数キロと広く、ピンポイントで位置が特定できるGPSと比べると精度が劣っていた。
政府は2013年に閣議決定した治安向上策の中で、携帯電話のGPS情報を犯罪捜査に活用する検討を始めることを決めていた。
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