羽生名人が20回目の最優秀棋士賞「棋士の存在意義」語る
2015年4月17日18時4分 スポーツ報知
昨年度、好成績を残した棋士に与えられる第42回将棋大賞の表彰式が17日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、3年ぶり20回目の最優秀棋士賞に輝いた羽生善治名人(44)=王位、王座、棋聖=が受賞者代表あいさつで「棋士の存在意義」について触れた。
将棋大賞は各賞それぞれの表彰状に選考委員による長文の選考理由が記されるのが特徴のひとつ。最優秀棋士賞とともに名局賞(挑戦者・豊島将之七段を相手に防衛を果たした第62期王座戦第5局)を受賞した羽生は、日本将棋連盟・谷川浩司会長(53)から授与される際に「羽生善治殿 あなたはフルセットとなった5番勝負で精神力の強さを発揮し、見事防衛を果たしました。第5局の終盤での、なりふり構わぬ姿で勝利への執念を見せたことは多くのファンに伝わり、感動を与えました」と読み上げられると、照れ笑いを浮かべた。
その後のあいさつで「賞状の文章が長いと言われていますが、今回も確かに長いなあと思いました」と他の受賞者らの笑いを誘いつつ、棋士に対してメッセージを述べた。「最近はコンピューターが非常に強くなってきまして、棋士の存在意義というものが問われている時代になっているのかなあと思います。だからこそ、棋士は将棋を指す上で、賞状の文章に書き切れないくらい内容のこもったものをいかにたくさんつくっていけるか、ということなのではないかと思っています」
今月11日に終了した棋士とコンピューターによる5対5の団体戦「電王戦FINAL」では、3勝2敗とした棋士側が初めての勝ち越しに成功したが、コンピューターの弱点を厳しく突く指し手を選択する棋士に対し、コンピューター開発者から「棋士の存在意義を脅かす」という声が上がっていた。