細長い水晶が集まった大きなクラスターを床に落とした。
それはオレが26歳の時に、とある大学の教員からもらった物だった。
「折れちまった……」
「ああ、綺麗な水晶が……1つ、2つ……4つも」
唖然とするオレの前で、奴は折れてしまった数本の水晶を拾った。
愛着のあるものだったのでガッカリした。
だがクラスターを落としたのはオレだった。それの敷物がオレの服の金具に引っかかって、取った瞬間に床に落下した。
「針みたいだ」
オレは奴の手のひらの上に並べられた水晶を見てそう言った。
「そうだね、特にこれ。先がとても尖っている」
奴はそう言って、一番細身の水晶を摘んで自分の指先を軽く突いた。
「痛くないか?」
「ちょっとね」
「どれ」
「ほら、このぐらいだよ」
奴はオレの頬に水晶の先を軽く押し当てた。
チクリと繊細な痛みを受けて、オレはその冷たく硬い感触に恍惚感を覚えた。
「気持ち良い」
オレがそう呟くと、奴は赤い唇に笑みを浮かべて水晶をツっと動かした。
水晶は鋭利な感触をもってオレの頬の上を滑り、オレはますますマゾヒスティックな心地良さを覚えて背筋をゾクゾクとさせた。
「冷たいから余計に刺激的だ」
「そう……。お前が気持ち良いって感じているのが判るよ。オレをじっと見ているから」
「そうか。オレは物欲しそうな顔をしているか?」
「いいや、もっと冷たくして欲しいってオレに望んでいる」
奴はオレの目を見詰めたままシャツの上からオレの胸元を撫でた。
そして胸の突起を探り当てて、そこに水晶の先端を押し付けた。
ゆっくりと奴の手に力が加わり、それと共にオレの乳首に水晶の先が食い込んだ。
じわじわと、やがて鋭く、オレの左側の乳首は深い痛みに襲われた。
「目元を細めたね」
「そりゃあな」
「痛いなら許してって言ったら?」
「言えない」
「どうして」
「こうなったから」
オレは奴の手を取り、服の上から自分の男根に触れさせた。
その昂ぶりを確認して奴は微笑んだ。そしてオレの耳元で囁いた。「じゃあお前のシャツを脱がして直接こうしようか」
奴はオレのシャツのボタンを外した。
そして水晶の先を乳首から胸へ、胸から首筋へと辿らせていった。
再び頬に鋭利な感触を押し当てられた時、オレは自ずと「もっと力を入れて動かしてくれ」と言った。
「切れかもしれないよ」と奴は言ったが、オレは昂ぶりの余りにそうされる事を望んでいた。
「傷付けてくれ」
「ここに? こんな目立つところに傷を付けたらオレのものだって印になるね」
「そうしてくれ」
「また会社で変な想像をされるよ?」
「構わない。傷付けてくれ」
オレは首を後ろに逸らして目を閉じた。
冷たい水晶がオレの頬を切る瞬間を待ち、それが皮膚に食い込めば食い込むほど恍惚となり、それだけで射精しそうになりながら。
だが奴は傷付けなかった。
理由は過去に言っていた事──オレに痛みを与えるのは好きだが傷付けるのは好きではない。──そのせいだったのかもしれない。
「……傷付けてくれないのか」
「水晶はいくら尖っていても切れそうにないよ」
「つまらない」
「これでも?」
オレが不満を漏らすと、奴は露出させた乳首の中央に水晶を押し付けた。
十分な痛みだった。
オレは快感と苛立ちに掻き立てられながら自ら男根を取り出して扱きはじめた。
「すぐにイっちゃいそうな顔をしている」
「どんな顔をしている?」
「物凄く眉間に皺を寄せて悩ましい顔をしているよ」
「出して良いか?」
「うん、今日だけは特別に出したい時に出して良いよ。そのお前の顔が気に入ったから、その顔で射精するのが見たい」
奴はオレに床に横になるようにと言った。
そしてオレの身体の上にかぶさり、オレの顔を見下ろしながら水晶で乳首を刺激し続けた。今度は突き刺して痛みを与えるのではなく、優しくなぞってオレの肌を粟立たせて。
「いくぞ」
「ああ、良いよ。思い切り出して自分の顔にまで飛ばして」
「無理だ」
「残念……」
オレが達する瞬間、奴はオレの左腕を掴んで床に押さえ付けた。
それによってオレは奴に征服される感覚に包まれて、とても気持ち良く精液を放つことが出来た。
奴は満足したと言ってオレの胸を舐めた。けれどそこは傷と血の味がすると言った。
どうやら少し皮膚が切れてしまったようだが、オレはそれに深い陶酔を覚えた。
自分の肉体を傷付けるのは奴の本望ではなく、何やら歯止めが効かなくなりそうでオレ自身も怖い。しかしこうした衝動というのは理屈で済まされることではない。
「凄く良かった」
「完全に満足した?」
「ああ」
「そうか……じゃあ、もうしたくない?」
「え?」
それまでオレの胸や首筋に優しくキスをしていた奴だったが最後の質問の後にオレの乳首に歯を立てた。
どうやら急にその気になってしまったようだった。奴は達したばかりのオレの男根の上に跨がって耳元で囁いた。「もう一度感じて」
当然だがオレは付き合った。
床に奴を組み敷いては可哀想なのでベッドまで抱き上げて、奴が心から楽しんで満足するまで全身で尽くした。
奴が望む通りに激しく。
愛していると言い続けながら後ろからも前からも欲情に任せた激しいピストンで揺さぶった。
だが、奴が急にそんな風に興奮するのは珍しい事だった。
まさかオレに傷を付けてそれを舐めたからだろうか? などと自分に都合よく想像するのは罪かもしれない。
しかし、そんな期待を持ってしまう事をどうか許して欲しい。
オレは貴方に傷付けられたい衝動をいつも持ちあわせているのだから。
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という訳で、
長く続いた多忙と緊張のせいか、オレの加虐されたい衝動は悪化するばかりだ。
猫屋敷を築く事がオレ達の夢だが、その屋敷の一室を拷問部屋にしたい欲求も芽生えてきてしまったぜ。
皆さんも様々な欲求を抱く事があるかと思うが、それら全てが叶えられるように応援しております(だからオレの欲求の応援もよろしくお願い致します・笑)
週末を迎えて明日は土曜日だが、オレも珍しく明日の土曜日は休日だ。
今夜は金曜日の夜に相応しく奴と会社帰りデートをしてきた。明日にでもそれをノロケさせて頂きます。
では、皆さんも楽しい週末を。
今夜も良い夢が見られるように祈っています。
おやすみ。
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