東京電力福島第1原子力発電所の事故で発生した放射性物質を含む焼却灰などの「指定廃棄物」の処分場建設をめぐり、環境省は17日、千葉市中央区にある東電の千葉火力発電所内の敷地を候補地に選んだ。来週にも市などに示し、施設の受け入れを正式に打診する。同発電所は住宅地から離れており、水源からも遠い点などを評価した。
東電の火力発電所は、東京湾に面した京葉工業地域の一角にあり、面積は約76ヘクタール。周囲は埋め立て地に鉄鋼や化学などの大規模工場が立地。住宅地からは数キロ離れている。受け入れが決まれば、発電所の敷地の一部に処分場を建設する計画だ。
千葉市の熊谷俊人市長は17日、「まずは環境省の話を聞かせていただきたい」とのコメントを出し、受け入れの可否への言及はなかった。国は今後、近隣の住民らに対し安全性などを丁寧に説明していく方針だ。
指定廃棄物は2014年末時点で、12都県で約16万トンを保管している。千葉県内には約3700トンある。国は11年に12都県の各区域内で処理することを閣議決定した。仮置き場が逼迫する宮城、栃木、茨城、群馬、千葉の5県については最終処分場を1カ所ずつ建設する方針を掲げた。
国と千葉県内の自治体は昨年4月、処分場を1カ所つくる方針で合意した。環境省はまず、必要な面積が確保できる県内の約5千カ所を抽出。自然災害の恐れがある地域や環境保全地域などを除き、住宅地や水源からの距離、指定廃棄物の保管量などを参考に候補地選びを続けてきた。
指定廃棄物は放射性物質濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える焼却灰や下水汚泥など。事故後に作られた放射性物質汚染対処特措法に基づき、国が処分に責任を持つと決められている。
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