2015-04-17
石器時代も「武器工場」や「武器商人」が…。「石の成分」や「DNA」のような飛び道具で歴史が塗り変わるのはすごいね
石器時代の大規模な「武器工場」を発掘 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/041500051/
「ここは巨大な屋外の作業場だったのです」。アルメニア考古・民族学研究所の考古学者、ボリス・ガスパリアン氏は言う。この山の斜面の「工場」で作られた無数の剣、手斧、削器、のみ、矢尻、槍の穂先などは、最古の記録よりもはるか昔に存在した、広大な交易ネットワークにより流通した。
ガスパリアン氏らが、こうした黒曜石製の道具の起源を正確に判断できる最新の技術(特定の火山の、どの溶岩脈のものかまで追跡できる)を用いて調査を進めた結果、アルテニ山は、石器時代の大規模な武器工場の中心地であったことが判明した。この場所で作られた武器は、北はカフカス山脈を越えた現在のウクライナ、西はアナトリアを越えて約2500キロ離れたエーゲ海でも見つかっている。
(略)
ガスパリアン氏によると、石器時代に黒曜石がユーラシア大陸を移動したルートは、それから3000年以上後の古代ギリシア時代や中世の貿易大国が使ったものと驚くほどよく似ており、その一部はかの有名なシルクロードとも一致するという
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「石器」なんて、どこでどう作っても同じような気がするがもちろんそんなことはない。黒曜石で熟練の軍需産業?が作った武器は圧倒的なわが軍の優位さを生むのだ…ろう。
だから武器商品も暗躍する。想像してみたまえ、
毛皮をまとって、ウホウホと商談する「ブラック・ゴースト」を。「ヨルムンガンド」を。「マッコイじいさん」を。
しかしだ、武器商人というとやっぱり「死の商人」という心無い蔑称を投げつけられたりするが、案外「いや、この相互の抑止力が平和を保つのだ」「武器によってこそ弱者が強者に対抗できるのだ」との信念を持って石器を作っていたのかも…しれませんぞ。
戦いに関する名言・格言・発言 @Meigen_in_Fight
神は男を作りました。更に神は女を作りました。そしてサミュエル・コルトは彼らを平等にしました。- 不詳:サミュエル・コルトはリボルバー拳銃を普及させたことでよく知られている
https://twitter.com/Meigen_in_Fight/status/394936237527543808
「黒曜石のナイフは、ひとびとを平等にしました」でもある。前も書いたけど小松左京が、「宇宙人が世界史を報告する」という形式で書いた本でも、武器によって筋骨りゅうりゅうの大男に小男が対抗できるようになった、というシーンを書いている。
武器一つを遠くから仕入れる、こんなことを石器時代から熱心にやる人類って…
自分は以前書いたっけかな…築城された巨大な城壁を攻略する時、より巨大な「攻城やぐら」を作っていた、それも紀元前に、という絵を見たときに、人間の無駄すぎるエネルギーを感じたことがあった(笑)。
たとえばこれね。
偏見で語る兵器bot
@heikihenken
攻城塔 城壁が硬くて破れないんだったら、別に壊さなくても上に登って乗り越えたらいいじゃん。と身も蓋もない解決策を実現するための移動式タワー。梯子より防御力が高いぞ!タワーデフェンスってこういうことかと思ってたのは秘密。
膨大な労力、財力、技術や計算を駆使して巨大な城壁を築き、それを攻めるためにそれ以上の高さの移動式櫓を設計して…って、この膨大なコストとエネルギーをもっと有用なことに使ったら…と言いたいところだが、おそらく逆に、こういうムダをやっていたからこそ人間が進歩したところはあったのだろう。これが無かったら、別に進歩する必要も無かった……。
そんな矛盾を、上のを見るたびに感じて微苦笑する。
「成分で、どこの石か詳しく特定可能です」はDNAと並んで画期的!こういうブレイクスルーは数十年前、予想もできなかった…
……従来の検査行程では、費用と時間がかかり過ぎた。発掘現場から遠く離れた特別な研究室まで足を運んだ上で、サンプルを細かい粉末にする必要があったからだ。
そこでフラム氏は、携帯型蛍光X線分析装置(pXRF)を使うことにした。この装置なら手持ちドリル程度の大きさと重さだし、石器を砕くことなく、その化学組成を約10秒間で分析できる。
(略)
2014年、ミネソタ大学岩石磁気学研究所で、さらなる革新的な分析方法を編み出した。彼らのチームが注目したのは、黒曜石に含まれるマグネタイト(磁鉄鉱:磁性を持つ酸化鉄)の黒い粒だ。フラム氏によると、磁気測定を行うと「ある『黒曜石流(黒曜石の元になるマグマ)』のなかでも、場所によってマグネタイトの粒の大きさ、形、配置がどう違うかまでわかる」のだという。
こうした測定方法を用いれば、原料が採掘された場所についての非常に精密なデータが得られ、それは同時に、この道具を作った人々の仕事ぶりを探るヒントにもなる
自分も、石の成分を分析することで、石器は原住民が地元にある石をテキトーに割って作ったんじゃなく、本当にとある産地の石が珍重され、積極的に”輸出入”されていたことは知っていたのです。
にしても、それは上の記事にあるように、たぶん旧式の成分分析であって、それがさらに精密になったらまた結果が変わってくるんだろうね。今後、すでに調査されたさまざまな石器が、もう一度この最新技術で再検査されて、新発見もあるのかもしれない。
それは80年代ぐらいからか?日本人がどこから来たか、みたいな議論の中で「母方から伝わるミトコンドリアの形が」とか「Tなんとかウイルスの保持者の数が」みたいな最新の議論が出てきた。
このへん、かなり怪しげかつ、恣意的な切り張りをしていたようなのだが、栗本慎一郎がそんな最新情報をいろいろ広める役割を果たしていた。進化論とかも含めてね。
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人の伝来や起源はそれまで「神話が○○の点で共通してる」とか「建築様式が○○」とか、そんなふうにやってきたじゃない。
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そして「おれはイカダで大西洋を渡れた!だから古代人もあそこからこっちに来たはずだ!!」みたいな力技を、いい年した某ハイエルダール教授とかがやったわけだよな(笑)。
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そんな積み重ねをやってきたところにだ。
「先祖から継承されるDNAの種類が分かるようになっちゃいました。AからBへの遺伝的関係が確認できます。」
「同じ種類の石でも、地域ごとの成分が分析できるようになりました。あそこの地域のものに間違いありません。」
とかいうのはね……「おのれ、武士の神聖な決闘に飛び道具を持ち出すとは卑怯な!!」みたいな感じを覚えざるを得ないのですよ(笑)。
あるいは「冷凍冬眠を繰りかえして宇宙の果てに行こうとしていた宇宙船の乗組員が、数百年の眠りから目覚めると、その後に地球ではワープ航法が開発されていて子孫がとっくに先回りしていた」みたいな…このアイデアの作品、なんだっけ??(「ウラシマの帰還」「遙かなるケンタウロス」「勇者の賞品」「老年期の終わり」などの作品があるという)
しかしこれって結局は繰り言であるし、また、ただの一庶民が手にした火縄銃で、先祖代々の騎士の鎧を打ち貫くのにも爽快感があるわけであります。
それに「真実はいつもひとつ」。神話の類似性やらであれこれと「火の民族」「日の民族」とか「奈良のピラミッド」とか言ってるより、DNAではっきり分かったほうがいい。
今は言語の源流は、そういう部分ではたどれず、日本語の源流とかはまだ分からない。このへんはまだ、貴重なロマンなのかもしれない(笑)。数年前、「言語の変化を進化論流にたどることが出来て、そこで朝鮮語と日本語の近縁性も証明された」みたいな話も読んだ記憶があるのだが、あれはどうなったのかな。
そんなわけで「石器時代から武器工場と、兵器の流通が存在した」「石の成分が詳しく分かることで、どこまで交易の範囲が広がってるかが分かるようになった」という、この記事にある二つの内容とも、自分にとってはなんとも複雑に感慨深い話なのであります。
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