40歳以上になった時点でやせ過ぎていると、老後の認知症リスクが高まることが分かった。
英ロンドン・スクール・オブ・ハイギエーヌ・アンド・トロピカル・メディシンのナワブ・クズルバシュ氏らの研究グループが、有力医学誌の糖尿病と内分泌分野版、ランセット・ダイアベーツ・アンド・エンドクリノロジー誌において2015年4月9日に報告している。
これまでの仮説と反対の結果
認知症と肥満は重要な健康問題になっている。中年での肥満は老後の認知症につながると言われている。
研究グループは、BMIと認知症のリスクの関連を検証した。
英国の「臨床診療研究データリンク」の情報に基づいて、1992年から2007年の間にBMIが記録されている40歳以上の195万8191人分のデータを分析した。
追跡は、対象となった人の死亡、転院、あるいは認知症と最初に診断を受けるまでのいずれかとした。既に認知症の記録がある人は除外した。
「ポワソン回帰分析」と呼ばれる方法を用いて、BMIの範囲別に認知症の発生率を算出した。
対象となった人の平均年齢は55歳。平均追跡期間は9.1年だった。認知症は4万5507人が発症し、1000人年当たり2.4人だった。人年という単位は、人数と追跡した年数を掛け合わせた単位。例えば、100人を10年追跡調査すると100人×10年で1000人年となる。
太っているほど認知症の発生率が下がる
BMIが20から25の範囲にある健康な体重の人と比べて、BMIが20以下のやせている人は認知症のリスクが34%高かった。さらに、BMIが増えるほど認知症の発生率は下がり、BMIが40以上の肥満の人では健康な体重の人と比べて29%も低かった。この傾向は追跡期間中の20年で変わらなかった。
「なぜこのような結果になるのか、さらに研究を進める必要がある」と研究グループは指摘する。
やせればよいというわけではないかもしれない。
文献情報
Qizilbash N et al. BMI and risk of dementia in two million people over two decades: a retrospective cohort study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Apr 9. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25866264
コメント0 件のコメント
▼コメントを開く