韓国大統領の弾劾には、国会議員3分の2以上の賛成が必要でハードルは高いが、2004年には選挙法違反などで当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領への弾劾訴追案が可決、盧氏の大統領職務が停止している。
李首相に対しては、野党どころか与党・セヌリ党内からも辞任を求める声が上がり、予断を許さない状況が続いている。
政権への不満は高まるばかりで、韓国の世論調査会社リアルメーターが13日に発表した調査結果をみると、朴氏の支持率は前週から2・1ポイント下落の39・7%、5週間ぶりに30%台に低迷した。逆に不支持率は2・9ポイント上昇の54%と過半数に達している。
国政、世論ともに見放されつつある朴政権。この急場を乗り越える術はあるのか。
日韓関係に詳しい新潟県立大学大学院の浅羽祐樹教授は「朴氏は、司法当局と連動し、前政権のスキャンダルを暴くことで、政権浮揚につなげようとしたが、もくろみは完全に失敗した。『親朴ゲート』の疑惑がどの程度、真実味があるかは今後の検察の捜査次第ではあるが、返り血をもろに浴びた格好だ」と指摘し、こう続ける。
「現段階で大統領の弾劾は現実味はないが、李首相が辞任に追い込まれれば、政権のダメージは計り知れない。彼は、セウォル号沈没事故での対応の不手際が批判され、今年2月に辞任に追い込まれた鄭●(=火へんに共)原(チョン・ホンウォン)前首相の後任。人事を一新し、政権の再出発をアピールするために選んだ人物がコケれば、朴氏に残された手駒はいよいよなくなる。政権与党のセヌリ党執行部も『反朴派』が多数を占めており、『親朴派』は少ない。執行部が朴氏を完全に見限れば、いよいよ政権は危ない」
朴政権の命運は、風前のともしびだ。