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原発作業員の緊急被ばく限度引き上げを4月17日 20時24分
原子力発電所で重大な事故が起きた場合に備え、作業員の被ばく線量の上限を引き上げるか検討していた厚生労働省の有識者会議は、緊急事態の場合は今の100ミリシーベルトから最大で250ミリシーベルトまで引き上げられるようにするとした報告書をまとめました。
原発事故など緊急時の作業員の被ばく線量の上限は、100ミリシーベルトまでと定められていますが、東京電力福島第一原子力発電所の事故では、上限に達する作業員が相次ぎ、一時的に引き上げて対応したことなどから、厚生労働省の有識者会議は、同様の事故に備え上限を引き上げるか検討してきました。
17日に取りまとめられた報告書によりますと、原発事故の中でも、周辺住民が被ばくするような重大な事故が起きるなどの緊急事態の場合や、放射線量が高く限度内で作業することが困難な場合は、厚生労働大臣が被ばく線量の上限を最大で250ミリシーベルトまで引き上げられるようにするとしています。
対象者は電力会社の社員など原発の施設の中で事故対応にあたる人のうち同意が得られた人に限定し、放射線を防護する器具などについて事前に訓練を受けさせることを事業者に義務づけるとしています。厚生労働省は報告書をもとに労働安全衛生法の規則の改正を行うことにしています。
17日に取りまとめられた報告書によりますと、原発事故の中でも、周辺住民が被ばくするような重大な事故が起きるなどの緊急事態の場合や、放射線量が高く限度内で作業することが困難な場合は、厚生労働大臣が被ばく線量の上限を最大で250ミリシーベルトまで引き上げられるようにするとしています。
対象者は電力会社の社員など原発の施設の中で事故対応にあたる人のうち同意が得られた人に限定し、放射線を防護する器具などについて事前に訓練を受けさせることを事業者に義務づけるとしています。厚生労働省は報告書をもとに労働安全衛生法の規則の改正を行うことにしています。
緊急時の被ばく線量限度見直しの経緯
原発事故など緊急時の作業員の被ばく線量の上限を見直す議論は、4年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故を教訓に始まりました。
国内では、緊急時の被ばく線量を累計で100ミリシーベルト以下に抑えることが、原子力規制委員会と厚生労働省が所管する2つの法令で義務づけられています。4年前の事故では、発生直後から被ばく線量が上限に迫る作業員が相次ぎ、国は、事故の収束作業に支障が出るとして、特例として、発生の3日後からおよそ9か月にわたり、上限を250ミリシーベルトに引き上げました。
しかし、健康へのリスクの説明もないまま急に引き上げられたことに、労働団体や作業員から批判や戸惑いの声が上がりました。
原子力規制委員会は、去年7月の定例会合で、田中俊一委員長が、「作業員の被ばく線量が100ミリシーベルトを超える事故が起きる可能性を完全には否定できない」と述べ、上限の見直しを検討することを決めました。去年12月の会合では、国際機関の勧告や基準を踏まえ、どのような健康上のリスクがあるのかを事前に伝えて、緊急時の作業への同意を得ることや、被ばくを防ぐための教育や訓練を行うことを、電力会社に求める方針を決めました。そのうえで、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトに引き上げることを軸に議論していくことを決め、事務局の原子力規制庁に詳しい検討を指示していました。
一方、労働者の保護の立場から同じく上限を定めている厚生労働省も、去年12月から、専門家の検討会で上限の見直しについて議論を進めていました。
国内では、緊急時の被ばく線量を累計で100ミリシーベルト以下に抑えることが、原子力規制委員会と厚生労働省が所管する2つの法令で義務づけられています。4年前の事故では、発生直後から被ばく線量が上限に迫る作業員が相次ぎ、国は、事故の収束作業に支障が出るとして、特例として、発生の3日後からおよそ9か月にわたり、上限を250ミリシーベルトに引き上げました。
しかし、健康へのリスクの説明もないまま急に引き上げられたことに、労働団体や作業員から批判や戸惑いの声が上がりました。
原子力規制委員会は、去年7月の定例会合で、田中俊一委員長が、「作業員の被ばく線量が100ミリシーベルトを超える事故が起きる可能性を完全には否定できない」と述べ、上限の見直しを検討することを決めました。去年12月の会合では、国際機関の勧告や基準を踏まえ、どのような健康上のリスクがあるのかを事前に伝えて、緊急時の作業への同意を得ることや、被ばくを防ぐための教育や訓練を行うことを、電力会社に求める方針を決めました。そのうえで、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトに引き上げることを軸に議論していくことを決め、事務局の原子力規制庁に詳しい検討を指示していました。
一方、労働者の保護の立場から同じく上限を定めている厚生労働省も、去年12月から、専門家の検討会で上限の見直しについて議論を進めていました。