指定廃棄物:東電施設に処分場、千葉市と環境省が最終調整

毎日新聞 2015年04月17日 20時36分

 東京電力福島第1原発事故により発生した放射性物質で汚染された焼却灰などの指定廃棄物を巡り、千葉県分の処分場を千葉市中央区の東電千葉火力発電所内の敷地に建設する方向で環境省と同市が最終調整していることが17日、分かった。来週中にも同省が市側に正式に打診する。

 同発電所は東京湾に面した京葉臨海工業地帯の一角にある。敷地内でも海側への建設を検討し、住宅地との距離を3キロ以上確保するという。市関係者などによると、建設候補地として県内数百カ所を精査した結果、「最も安全性が高い」と評価された。東電側も受け入れ姿勢を見せているという。安定的に長期間管理するため、建設地は国が買い取るとみられる。

 原発事故後、千葉県では昨年12月時点で県内の汚染焼却灰は3687トン発生。特に柏、松戸、流山の3市だけで2500トン超を占めている。約2年前から手賀沼終末処理場(我孫子・印西市境)で500トン以上を一時保管してもらっていた3市は、昨年12月から順次、同処理場から焼却灰を持ち帰って各自で仮保管していた。

 千葉市の熊谷俊人市長は「環境省からまだ話を聞いていないので現時点でお話しできることはない。まずは話を聞かせていただく」とコメント。東電広報部は「指定廃棄物処理に関し、国や県、市からの協力要請があれば真摯(しんし)に検討する」と話している。

 環境省は、指定廃棄物の仮置き場が切迫している宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県でコンクリート製の処分場を新設する方針。宮城、栃木両県では候補地を選定したものの、住民らの反対が強く建設のめどが立っていない。【荻野公一】

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