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【中高生のための国民の憲法講座】
第87講 百地章先生 憲法に国の教育権明記を
最高裁は国家教育権
原告側は教育権の主体は国民であって、教育内容の決定権は親にあり、国は教育内容にまで立ち入ることはできないと主張(国民教育権説)、この理論的支柱となったのが日教組講師団の面々でした。
これに対して、国側は教育権は国に属し、国に教育内容についての決定権があると主張、その根拠として、国が責任を持って全ての子供たちに平等な教育を行うのが「公教育」であり、近代国民国家においては国民の教育を国が行うのは当然であるとしました(国家教育権説)。
この間、最高裁大法廷は昭和51年、旭川学力テスト事件において、教育権の所在について判断、親や教師にも一定の範囲内で「教育の自由」を認めた上で、「それ以外の領域においては、国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施す…るため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する」としました。
学説の多くはこの判決を「折衷説」と説明していますが疑問です。というのは、問題は教育全体のことでなく「公教育」における教育権の所在であって、判決から分かるように、公教育については国に教育権を認めているからです。