中国のアフリカ進出にはもう一つ狙いがある。それは、中国企業のグローバリゼーションの後押しだ。中国企業の輸出先を広げ、現地でのブランドイメージの確立を図ろうとしている。
例えば、自動車会社「中国第一汽車集団公司(FAW)」は、今や多くの車をアフリカに輸出し、知名度も上がってきた。中国製品は(他国の製品ほど)高性能ではないが、価格が手頃なのでアフリカで競争力がある。しかし、中国企業の多くは国外でのビジネス経験が乏しいため、海外投資を促すには政府による支援がいると見ているのだ。
こうした中国のアフリカ進出について、欧米には「ネオ・コロニアリズム(新植民地主義)」との批判があるが、私はその議論にはくみしない。
まず、新植民地主義という概念は政治的な支配関係を指すものだが、中国は、アフリカ諸国を政治的に支配するために経済力を使ってはいない。
新植民地主義には、経済的にも自立できずに、資金面などで旧宗主国への依存が続くといった意味合いもある。製造業が発展せず、天然資源頼みから抜け出せないような状態だ。しかし中国は、アフリカでの製造業や、セメント、建築資材などのインフラ業界への投資に関心を持っている。ネオ・コロニアリズムと呼ぶのは単純すぎる。
実際、アフリカ各国の政府レベルでは、中国の進出について良いイメージが持たれてきたといえるだろう。中国が新たな選択肢になっているからだ。アフリカ側は、西欧諸国からの(人権尊重といった)条件付き援助を好まず、もう少し尊敬の念をもって接して欲しいと願っている。アフリカの普通の消費者も、中国からの輸入でより安い商品が増えたことを歓迎している。
では、中国の進出に問題がないかといえば、そうではない。
まず、中国の投資の質に問題がある。アフリカで事業をしている中国企業は、環境や安全の基準が十分でない。低賃金も大きな問題だ。アフリカ人の労働者に十分な賃金を払っていない。中国はアフリカ進出の際に、自分たちの国内問題を持ち込んでしまっているのだ。労働基準は少しずつ改善されてきてはいるが、例えば日本のレベルと比べると、まだまだ差が大きい。
また、アフリカの工場経営者や流通関係者の中には、激しさを増す中国企業との価格競争を懸念する声もある。アフリカ南部では、現地の経済界が中国企業に脅かされていると感じている。南アフリカの工場や建設会社の経営者には、中国企業との競争にさらされることに不快感を表す人が多い。彼らは中国企業がフェアな競争をしていないと不満を持っている。ザンビアでは、地元市場で農作物を売り始めた中国人の農業従事者と地元の農業者の間で競争が始まった。
私は3年ほど前から、アフリカの民間レベルで、対中感情が悪化している印象を受けている。中国進出の様々な問題点を取り上げるメディアの影響もあるだろう。人々は中国人の大量入国にも不安を感じている。これは移民問題であり、外国人恐怖症のようなものだ。
中国とアフリカの関係は、ハネムーンが終わり、現実的な同居生活が始まる段階に達した。一緒に暮らしていけば、お互いの良い点も悪い点もすべて見えてくる。そこで、引き続きうまくやっていけるのかどうか。中国側も試される局面にきている。
(訳・構成 国際報道グループ記者 金成隆一)