【小寺信良の週刊 Electric Zooma!】
第707回:なるほどそう来たか! ソニーとは違う、スマホ合体カメラ「OLYMPUS AIR A01」
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邦画初Dolby Atmos、実写版「パトレイバー 首都決戦」を体験。光学迷彩装備の敵を音で描く
(2015/4/17 11:15)
「機動警察パトレイバー」の実写化プロジェクト「THE NEXT GENERATION パトレイバー」。その集大成と言える長編新作映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」が5月1日に公開される。その内容だけでなく、AVファンにとって注目は、同作品が邦画初のDolby Atmos採用作品である事。公開に先駆け、4月16日にマスコミ向けの試写会が開催されたので、サウンド面を中心にレポートする。
「機動警察パトレイバー」は、'88年以降、コミックやテレビアニメ、アニメ映画、小説などのメディアミックス展開を行ない、人気を集めた作品。ゆうきまさみ、伊藤和典、出渕裕、高田明美、押井守が参加したクリエイター集団「ヘッドギア」が原作。ロボット技術を用いた「レイバー」と呼ばれる作業機械が一般化した東京を舞台に、レイバーを用いた犯罪に対処するため、警視庁に作られた「特車二課・パトロールレイバー中隊」(通称パトレイバー)の活躍を描いたもの。
レイバー同士の迫力あるアクションと、特車二課の面々の生活感溢れる描写の対比が強烈。ロボットアニメでありながら独特のリアリティを持つ作品として支持された。
THE NEXT GENERATION パトレイバーは、押井守総監督の下、総製作費22億円をかけた実写プロジェクト。登場するのは、現在を生きる3代目の特車二課メンバー。全長8mの実物大98式イングラムやリボルバーカノン、指揮車などのメカや、レイバードッグを併設した二課棟を実体化させた事も話題を集めている。
既報の通り、全7章のエピソードが既にBD/DVD化、劇場上映されており、その流れの集大成として作られたのが、5月1日公開の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」だ。
あらすじ
20世紀末、レイバーと呼ばれる人間型ロボットの急速な普及に伴う犯罪に備え、警視庁は、警察用レイバーを擁する特車二課パトレイバー中隊を設立した。
しかし、彼らが活躍した時代は過ぎ、バビロンプロジェクトが一段落ついた2013年東京。長期的不況により手間とお金のかかる「レイバー」はお払い箱になり、特車二課の第一小隊は解散。第二小隊は“レイバー運用経験の継続”という名分のもと、かろうじて存続している状況。そんな時代に取り残されたように、「98式イングラム」だけは栄光の初代、無個性の二代目、そして“無能の三代目”と引き継がれていた。
特車二課存続問題が見え隠れする中、奮闘する三代目の特車二課。その面前に、最新鋭の戦闘ヘリを自衛隊から強奪して、首都1,000万人を人質にしたテロリスト集団が現れる。
機関砲、対地ロケット、ミサイルで完全武装をした上に、最新の熱光学迷彩を身にまとった“見えない戦闘ヘリ”グレイゴーストは、レインボーブリッジへの攻撃を皮切りに、上空500メートルに潜み、首都を蹂躙していく。警察最後の砦となった特車二課は、テロリストの暴挙を止めることができるのか!? そして、テロリストの目的とは!?
姿の見えない敵を音で描くDolby Atmos
試写会はTOHOシネマズ日本橋 スクリーン8で行なわれた。あらすじにあるように、特車二課が対決するのは、機体に液晶パネルを隙間なく搭載し、周囲の風景をリアルタイムに表示する事で“目に見えない戦闘ヘリ”だ。しかし、ヘリである以上、テールローターが回転するブオンブオンという“音”は聞こえる。この音が、Dolby Atmosにおける大きな“聴きどころ”だ。
文字通り、目には見えないヘリはどこから襲ってくるかわからない。劇中、その機能を存分に発揮し、姿を消したまま頭上や背後にローターの音だけが近づいてきて、登場人物達が息を殺して“グレイゴーストの居場所を音で探す”シーンがあるのだが、まさにDolby Atmosの効果を発揮するためにあるようなシーンだ。
従来のチャンネルベースのミキシング方式と異なり、Dolby Atmosはオブジェクトベースのダイナミックなオーディオミキシングを活用する事で、音の定位や移動が精密に表現できるのが特徴だ。
映画ではこれを活かし、グレイゴーストが頭上や背後などを不気味に飛び回る様子がリアルに聴きとれる。移動中の音像もシャープで移動感も明瞭なので、恐ろしさに磨きがかかる。
ヘリだけでなく、銃撃戦のシーンもDolby Atmosならではの迫力。押井守作品は銃器の描写や発砲音などに並々ならぬこだわりがあるのはファンにはお馴染みだが、今作の銃撃戦のサウンドは格別。低音がしっかり効いたトランジェントの良い発砲音が、そこら中から響き渡るが、その定位や動きが激しいアクションシーンの中でも曖昧にならず、明瞭だ。「右後ろの斜め上から撃たれてる!」など、方角もしっかりとわかるため、スクリーンの中で応戦する主人公達のアクションと頭の中でマッチングしやすく、視点が変わっても状況が理解しやすい。
激しいシーンだけでなく、砂埃が舞うような屋外の風の音、水族館で会話する際の独特のこもったような音場の表現なども見事で、作品のリアリティを下支えしていた。
作品としてはどうなのか
肝心の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」という作品はどうなのか? という点だが、ネタバレを控えながら端的に表現すると、アニメ版の劇場版第2作「機動警察パトレイバー 2 the Movie」へのオマージュというか、リブートというか、それを非常に意識した作品となっている。物語の展開、アングル、会話の内容なども含めて、セルフパロディと表現しても過言ではないだろう。
そのため、アニメ版はセリフを暗記するほど観ている私のようなファンは、序盤からニヤニヤしっぱなしだ。リアリティを追求するあまり、「アニメでやる意味があるのか」とまで言われた「パトレイバー 2 the Movie」を、まさか本当に実写映像で見る日がやってくるとは思っていなかったので、内容がどうこう以前に感慨で胸がいっぱいになる。押井監督の実写作品が今ひとつ馴染めないという人も含め、とりあえずパトレイバーファンならば見ておいて損はない。
良い意味で予想を裏切られたのは、アクションシーンがある程度盛り込まれており、エンターテイメント性も備えているところだ。一筋縄ではいかない押井監督作品なので、当然レイバー同士の激しいバトルがあるとは最初から思っておらず、もしかしたらレイバーは最後までトレーラーからジャッキアップせず、第二小隊の後藤田隊長が海辺でハゼ釣りしながら喋るだけで終わるのではと覚悟していたが、杞憂に終わった。特に華麗なカーシャのガンアクションは必見だ。
パトレイバーファンには懐かしくも新しく、アニメの世界と実写の世界が時折クロスするような不思議な感覚が楽しめるだろう。パトレイバーを知らない人が観ても、日常生活が続く東京の街が、何者かによって次々と破壊されていくショッキングな展開に引きこまれていくだろう。
前述の通り、Dolby Atmosでより魅力的に鑑賞できるため、できればDolby Atmos対応のスクリーンでの鑑賞をオススメしたい。TOHOシネマズ日本橋 スクリーン8、TOHOシネマズ 新宿 スクリーン9、TOHOシネマズららぽーと船橋 スクリーン4、イオンシネマ名古屋茶屋 スクリーン10、TOHOシネマズ くずはモール スクリーン1など、全国17カ所に導入されており、今後も拡大予定だ。将来的にBlu-ray化する際はもちろん、Dolby Atmos対応ソフトとしてのリリースも期待したいところだ。
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