トヨタは「ドライブ」、資生堂は「美容」、伊勢丹は「ファッション」。会社概要や製品情報を紹介する従来のサイトとは異なり、仕事や生活に役立つ記事やニュースを発信する「オウンドメディア(企業自らが運営するメディア)」を立ち上げる企業が相次いでいる。感度の高い潜在顧客との接点をつくるための新しいマーケティング手法だ。その中でも、グループウエアのサイボウズが運営する「サイボウズ式」が注目を集めている。製品の売り込みはナシ。時には「炎上」するほどの型破りな記事で話題を集め、販促効果を高めている。
■社会問題を提示する企業メディア
サイボウズ式のメーンテーマは「オフィス内でのチームワーク構築」。取り上げる話題は働き方、漫画、食事、育児など幅広い。2014年末から15年にかけて「働くママたちに、よりそうことを。」と題した2本の動画をサイボウズ式のスタッフが中心となり、公開した。主役は子育て中の働く女性。仕事と育児を両立すべく、奮闘する母親の苦悩をリアルに描いた。公開直後から議論が巻き起こり、多数のブログが取り上げた。ソーシャルメディア上でも拡散し、1本目の78万回、2本目は16万回再生と「炎上」した。
宣伝動画にありがちなサービス紹介やサービス名の連呼はない。最後に「サイボウズは応援します」という言葉が表示されるだけだ。サイボウズ式の藤村能光編集長は「私たちがやりたいのは問題解決ではなく問題提起。議論が起きることは大歓迎」と話す。少子化、働き方、家事、マタハラ(マタニティーハラスメント)からPTAまで、さまざまなテーマで課題を投げかけるのは、「世界中のチームワーク向上に貢献する」という同社の理念にもとづいたものだ。
そのため編集方針も独自のものだ。「製品を売り込まない」「競合情報も面白ければOK」「サイボウズ批判もOK」の3つ。「サイボウズの企業姿勢を見せることが価値につながっている。企業の姿勢、目指したい世界が記事ににじみ出て、伝わっていく。だから、公明正大、嘘をつかないことに一番こだわっている」と藤村編集長は説明する。
■売り上げ横ばいの打開策
サイボウズ式がスタートしたのは12年5月。同社の売り上げは07年から40億円で頭打ちとなり販促方法を見直していたところだった。同社の販売戦略は、グループウエアの導入決定権を持つ企業や団体の情報システム部門を対象に広告やイベントでアピールするというもの。さらなる売り上げのためにはもっと多くの人に認知を拡大する必要があった。そこでのちに初代編集長となる大槻幸夫さんがオウンドメディアに目をつけた。
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