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医療データを開示させて自ら脳腫瘍を発見した患者

2015年04月16日(木) 小林 雅一
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〔PHOTO〕Thinkstock

患者がカルテを見て異常個所を推定

自分のメディカル・レコード(カルテ)を医師に開示させ、これを研究して自分の脳腫瘍を発見した患者が米国で話題になっている。

●"The Healing Power of Your Own Medical Records" The New York Times, MARCH 31, 2015

上記NYT記事によれば、この驚くべき行為を成し遂げたのはSteven Keatingという26歳の男性。Keating氏は今から8年前に、ボストン市内の病院で脳の断層写真を撮ってもらった。が、異常な個所は見当たらず、担当医師からは「特に心配する必要はありませんが、念のため、今後も継続的に検査していきましょう」と言われた。

実際、それから2010年までKeating氏は病院で様々な脳検査を受けたが、いずれの検査でも異常は発見されなかった。しかし自らの体調について「何かおかしい」という違和感を拭い去ることができなかったKeating氏は、渋る医師を説得して自分のメディカル・レコードを開示させた。そして自身でも医学の勉強をして、これを基に自分のメディカル・レコードや自覚症状を研究した結果、「自分の脳は、嗅覚中枢(olfactory center)に異常があるのではないか」という結論に至った。

このことを担当医師に知らせ、(今回も渋る医師を説得して)異常があると予想される個所を中心にMRI(核磁気共鳴画像法)検査をしたところ、テニスボールほどの大きさの腫瘍が本当に見つかった。大急ぎで摘出手術を受け、Keating氏は事なきを得たという。

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