(英エコノミスト誌 2015年4月11日号)
ぼんやりしたスローガンの霧を通して中国のアジア構想の輪郭が見えてくる。
中国の習近平国家主席は、自身が率いる中国共産党を浄化することと自国を改革することに飽き足らず、アジアの経済的、政治的秩序も作り直したいと思っている。
中国の指導者たちが共有する、簡潔だが、どこか不可解な表現を生み出す天賦の才能によって、習氏の大陸構想は「一帯一路」という公式用語に要約されている。
習氏の説明によれば――直近では、先月、ダボスのスキー場を真似た中国の熱帯ビーチ版「ボアオ・フォーラム」で説明した――、この一帯一路構想は「地域的、世界的な協調を求める我々の時代の要求に応える」ものだ。
誰もが納得しているわけではない。これをただの空虚なスローガンと見る人もいれば、アジアの支配的大国として米国に取って代わろうとする見え透いた策略と見る人もいる。
どちらの批判も的外れのように思える。習氏はこの構想に真剣に取り組んでいる。そして、これは「策略」というより公のマニフェストだ。
「一帯一路」の本気度
習氏は2013年、カザフスタンで初めてこの構想を口にした。その際、何世紀も前に絹商人などが、中国から中央アジア、ロシアを通って北部欧州やアドリア海のベニスへ、そしてこれらの地域から中国へ商品を運ぶために使った陸路のネットワークだったものの主要部分に沿って、整備されたインフラの「シルクロード経済ベルト」構築を提案した。
インドネシアでは、「21世紀の海のシルクロード」を提案した。こちらは、中国南東部沿岸の都市からベトナム、インドネシア自身、インド、スリランカ、東アフリカ、スエズ運河を通って海路で欧州に至る輸送回廊だ。