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最終更新:2015年4月16日(木) 19時3分

アシアナ航空の副社長が会見、謝罪

 深々と頭を下げるアシアナ航空の副社長。広島空港で起きた着陸失敗事故を受けて、謝罪しました。

 16日午後4時、広島空港で記者会見した韓国・アシアナ航空の副社長。

 「お客さま、ご心配をおかけしたご家族、関係全ての皆さまに深く心よりおわびいたします」(アシアナ航空・山村明好副社長)

 事故原因については・・・
 「現段階では着陸可能な最低限以上の視程だったと聞いている」(アシアナ航空・山村明好副社長)

 広島空港で着陸に失敗したアシアナ航空の旅客機。

 「事故を起こしたアシアナ航空機の前に来ています。車輪の方に目を向けますと、着陸誘導装置の一部と見られるものが巻きついていて、パンクしています」(記者)

 事故から2日、機体は今も滑走路の脇に残されたまま、運輸安全委員会の事故調査官が調査を続けています。

 滑走路の325メートル手前にある高さおよそ6.4メートルの着陸誘導装置のアンテナに接触し、滑走路の左に大きくそれて逆向きになって停止した事故機。15日、現場の状況を見た事故調査官はこう語りました。

 「いわゆるアンテナにぶつけたということで、ちょっと今回は異質だと感じています」(運輸安全委員会・日野和男調査官)

 なぜ、「異質」なのか。通常の着陸の場合、滑走路の手前では高度30メートルほどで進入していきます。しかし、今回は高さおよそ6メートルの設備に接触していて、滑走路に進入しようとしたその高さが「異質」なのです。

 「事故機はなぜ通常よりも高度を下げたのかが調査の焦点となっています。このフライトシミュレーターでその状況を再現してみようと思います」(記者)

 コックピットから見える夜の広島空港を再現した様子です。通常の高度で滑走路に着陸しようとしたとすると・・・

 「滑走路の左側には、進入角を示すライトが見えています。このライトなんですけれども、今、白、白、赤、赤と並んでいます」(記者)

 これは、滑走路への進入角度が適正かどうかを知らせる「PAPI」と呼ばれる装置です。

 広島空港の実際の滑走路脇にも設置されていることがわかります。装置には、4つの明かりが連なり、適正な場合は、白2つ、赤2つで表示されています。

 しかし、かなり低い位置から進入すると・・・

 「滑走路の左に見える明かりですけれども、今、4つすべて赤に見えています」(記者)

 この装置により、高さが低過ぎることがわかるわけです。しかし、もし濃い霧が発生していた場合には・・・

 「光は見えてこないですね。あっ、今ようやく滑走路の光が見えました。と思ったら、もうここで着陸です」(記者)

 関西航空地方気象台によると、アシアナ機が滑走路に進入する直前の午後8時4分、滑走路の東側の視界は1.3キロ先まで見える状態でした。しかし、その2分後には、わずか300メートルと、視界が急激に悪化していたことがわかりました。広島空港は霧が発生しやすく、霧などが通った可能性もあります。

 「雨、若干視程も悪かったと聞いている。その辺も含めて乗員に話を聞ければ、何か見えてくると思う」(運輸安全委員会・日野和男調査官)

 視界が急激に悪化したとしても、問題はなぜ、機体の高度が通常より下がってしまったのかということです。

 「滑走路がちらっと見えると、もう少し滑走路を見ようと思って、人間の心理で前のめりにしてしまう。そうすると自分も操縦かんを下げてしまう」(航空評論家・小林宏之氏)

 専門家は、パイロットが前をのぞき込む動きに合わせて操縦桿を動かしてしまい機首が下がる「ダックアンダー」という現象が起きた可能性もあると指摘します。

 運輸安全委員会は、パイロットからの聞き取りや飛行記録の解析などを進める方針です。(16日17:55)

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