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老人ホーム化する刑務所、「出るのが怖かった」−高齢化で医療費増も

Bloomberg 4月16日(木)6時32分配信

循環

高齢犯罪者は矯正施設の出入りを繰り返している。家族がいなかったり、金銭的支援がなかったり、障害があったりして地域社会から見放されているからだ。累犯防止に対応するため、日本政府は、帰る場所のない高齢出所者を支援するプロジェクトを進めている。

法務省によると、65歳以上の犯罪検挙は2013年度に4万6243件、20年前と比べると4倍以上に上る。高齢者犯罪の74%は窃盗で、刑務所人口のほぼ5人に1人が60歳以上だ。

「刑務所によっては老人ホームのようなところもある。受刑者が食事を作って食べさせてあげたり、歩けない人を支えてあげたりする。雑居房では体が痛くてうなされていたり、認知症で夜中に徘徊(はいかい)したりする人もいる。ひどいと排せつ物を投げたり、わざと布団に粗相をしたりする受刑者もいて、刑務官の負担が増加している」と、全国の刑事施設を半世紀以上にわたり慰問を続け、大スターながら法務省特別矯正監も務め、矯正施設の環境改善に尽力する杉良太郎氏は述べた。

コスト

高齢受刑者に対して刑務所に代わる意味のある対応策を見つけることは、日本にとって喫緊の課題でもある。国内総生産の240%以上の債務を抱え、先進国の中において最大の債務超過国だからだ。

刑務所など矯正機能を充実させる14年度の予算額は約2300億円。法務省によると受刑者1人当たりの年間コストは約320万円、生活保護を受けた場合のほぼ倍に相当する。安価な商品の万引きなどのささいな犯罪でも再犯を繰り返せば最長で5年の実刑判決を受ける可能性もあるので、その場合、単純計算で5年間で1600万円かかる。

「こんな公費の使い方をしても誰も幸せにならない。効率的な財政運営をするのであれば別の方法を考えるべきだ」と障害者施設を運営する社会福祉法人南高愛隣会顧問・理事で最高検察庁参与の田島良昭氏は言う。田島氏は厚生労働科学研究「罪を犯した障害者の地域支援に関する研究」の代表を務めた。

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最終更新:4月16日(木)6時32分

Bloomberg

 

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