G7外相会合:広島、長崎に初言及…核不拡散・軍縮宣言

毎日新聞 2015年04月16日 12時32分(最終更新 04月16日 12時45分)

 【ブリュッセル斎藤義彦】ドイツで15日閉幕した主要7カ国(G7)外相会合は、「核不拡散・軍縮宣言」をまとめた。宣言は、G7として広島、長崎の原爆投下に初めて言及し、「核兵器が壊滅的な結果をもたらすことを厳格に思い出させる」として、戦後70年にあたり再発防止の責任を確認した。また、ウクライナを非核化する引き換えに、主権や領土を尊重するとした1994年の国際合意を「ロシアが破り続けている」と非難した。ウクライナの核を巡りG7がロシアを非難するのは初めて。

 同宣言は、広島と長崎の原爆投下後に核兵器使用がなかったことを「歓迎」し、再発防止に「すべての国が責任を持つ」と確認した。また、核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が「原爆投下から70年」の今年に開かれることを強調。NPTの3大原則である核不拡散、核軍縮、核の平和利用を「無条件に支持する」と述べた。NPTを「世界をより安全にするため死活的で永続的な貢献を果たしている」として、北朝鮮の核開発問題などを念頭に「強いNPTが必要」と強調した。

 同宣言は、オバマ米大統領の唱える「核兵器なき世界の条件を探る」ことも確認。2013年に同大統領がロシアに射程の短い戦術核兵器の削減交渉を提案したことを改めて「評価」し、ロシアとの緊張が高まる中でも「機会を失ってはならない」と粘り強い交渉を求めた。

 一方、同宣言は、旧ソ連のウクライナから核兵器を撤去、94年にNPTに加入させて非核化するにあたり、米英、ロシア(後に仏中も参加)が▽ウクライナの独立、領土的一体性を脅かす武力行使▽主権に対する経済的威圧−−を行わないと約束した国際協定「ブダペスト覚書」を取り上げ、ロシアが「約束を破り続けていることを非難する」と記した。核保有国が非核国の安全を保証しなければ、核兵器が拡散しかねないためで、「安全の保証の重要性を確認」した。G7外相会合共同声明では、ロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合を「国際法違反」と非難している。

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