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 過激派組織「イスラム国」(IS)によるイラクの少数派ヤジディ教徒の迫害について、同教徒のイラク国会議員、ビアン・ダヒルさんが14日、米ニューヨークのシンクタンクで開かれた討論会で証言した。誘拐された女性たちを救出するため、国際社会の支援を求めた。

 討論会のテーマは、紛争下の性暴力。ダヒルさんは、被害を知るパネリストとして参加した。クルド系のヤジディ教徒に対し、ISは「悪魔を崇拝している」として、集落をたびたび襲撃。男性を殺害したり、女性や子どもを奴隷にしたりしているとされている。

 ダヒルさんによると、昨夏以降、ヤジディ教徒の少女約5千人がISに連れ去られ、性暴力などの被害を受けた。ISは9歳の少女も性暴力の対象にして、年齢や容姿で値段をつけて市場で売買しているという。中には10回以上も繰り返し売買されたり、たばこ1箱と交換されたりしたケースもあるという。

 ダヒルさんは「私たち(ヤジディ教徒)は今もこの状況下で生きている。皆さんの支援が必要です」と訴えた。

 国連のバングーラ事務総長特別代表(紛争下の性的暴力担当)も出席。ISなどの過激派は性暴力を制度化してコミュニティーを恐怖に陥れ、少数派を土地から追い出す手段として使っていると指摘した。

 討論会は日本とイラクの国連代表部などの共催。進行役を日本の吉川元偉・国連大使が務めた。(ニューヨーク=金成隆一)