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シーン作りを人任せにしたくない

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1万人規模のフェスをDIYで成功させたPIZZA OF DEATHの独自論

インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:豊島望(2015/04/15)

夏の野外フェスだけでなく、いまや1万人規模の大型ロックフェスが様々な場所で1年にわたって行われるようになった。フェス文化は確実に日本の音楽シーンに根付いたが、一方でそれがある種の飽和状態に達しているということも、出演者やオーディエンスは感じ取りつつある。単に人気のあるバンドを集めるだけではなく、フェス自体のビジョンやストーリーが伝わり共感されることが、そのフェスが継続して成功を収めるための1つのキーになっている。

そんな中、パンクとラウドロックとハードコアの一大祭典として昨年に産声を上げたのが『SATANIC CARNIVAL』だ。主催は15年以上にわたってシーンを牽引してきたインディーレーベル「PIZZA OF DEATH」。2回目となる今年は6月20日に幕張メッセにて開催され、同レーベルの社長をつとめる横山健もKen Yokoyamaとして出演。10-FEETやFear, and Loathing in Las Vegasなど人気バンドからベテラン勢、気鋭の若手まで全22組が登場する。

「シーンの居場所作り」をテーマに立ち上げたというこのフェスの狙い、そしてPIZZA OF DEATHが見据えるシーンの現在地とはどういうものなのか? 同フェスプロデューサーのI.S.Oに話を聞いた。

PROFILE

I.S.O(いそ)
横山健が代表を務めるインディーレーベル「PIZZA OF DEATH」にてライブ制作を担当。また、Ken Yokoyama、Hongolian、Andrewとともに、ハードコアパンクバンド「BBQ CHICKENS」を結成、ベースを担当している。2014年よりスタートした、PIZZA OF DEATH主催の音楽フェス『SATANIC CARNIVAL』のプロデューサーを務め、初年度は1万7千人の観客を集め、大成功に収める。今年は、6月20日(土)、会場は昨年と同じく幕張メッセにて開催。
PIZZA OF DEATH RECORDS | ピザオブデスレコーズ
SATANIC CARNIVAL'15(サタニックカーニバル'15) | SATANIC ENT

僕らにはパンクやラウドロックシーンの当事者であるという意識がある。そういうシーン作りを人任せにしていると、「ちょっと違うんだよな」と感じてしまうことがあるんですよね。

―そもそもなぜ『SATANIC CARNIVAL』を開催しようと思ったのでしょうか?

I.S.O:もともとPIZZA OF DEATHはインディーズのパンクやラウドロックのシーンで15年以上活動を続けてきたレーベルです。しかし今の時代、ロックフェスがたくさんある中で、そういったシーンのバンドだけを集めた大型のイベントが、首都圏にはあるようでなかったんです。長年このシーンに携わっている僕らが旗を振って、そういったバンドを集めつつ、シーンの居場所を作ることが立ち上げ時のコンセプトでした。

I.S.O
I.S.O

―あるようでなかった。

I.S.O:首都圏では、多種多様なアーティストを扱っているイベンター主催の洋楽メインのフェスくらいでした。僕らにはシーンの当事者であるという意識もあるので、僕らが主催することによって、よりありそうでなかったイベントができると思います。


―パンクやラウドロックやハードコアのシーンの全体像を体感できるようなフェスになっているわけですね。

I.S.O:そうですね。音楽だけではなく、カルチャー的な要素も多いシーンですからね。たとえばアーティストが身につけている洋服やグラフィックにも共通項があったりする。そこで昨年はデザイナーやブランド、フォトグラファーやタトゥーアーティストが発信できるような場も設けました。立体的なシーンを1つの形にして、このシーンが好きな人の居場所を作る。それが立ち上げた時の思いです。

『SATANIC CARNIVAL'14』の様子 photo:Yuji Honda
『SATANIC CARNIVAL'14』の様子 photo:Yuji Honda

―「居場所を作る」ということは、「自分たちが作らないとなくなってしまう」という危機感があったのでしょうか?

I.S.O:なくなってしまう、ということはないと思います。僕らはパンクシーンが1つのムーブメントとして生まれた1990年代から長く携わってきてますが、時代が変わっても新しいヒーローとしてのバンドが次々に出てきています。それに、モッシュやダイブをして楽しむようなライブも、少しずつ形は変われども脈々と続いている。こういう文化自体がなくなることはこの先もないと思います。ただ、そういうシーン作りを人任せにしていると「ちょっと違うんだよな」と感じてしまうことがあるんですよね。だから、自ら作ろうと思ったんです。

『SATANIC CARNIVAL'14』の様子 photo:Yuji Honda
photo:Yuji Honda

―レーベル主催のイベントでありながら、レーベルの所属アーティスト以外がたくさん出演していることが、『SATANIC CARNIVAL』の特徴の1つですよね。

I.S.O:そうですね。このフェスが、うちのアーティストに限らず、シーン全体のバンドのチャンスになればいいなと思うんです。「この若手バンドを見せたい」ということや、中堅のバンドでも「このタイミングであえてメインステージで見せたい」といったことが、僕らの感覚で提示できる。シーンの居場所を作ることを目指す以上は、憧れの場所にもしたいので、レーベルの垣根があってはならないと思っています。

―憧れの場所、というと?

I.S.O:バンドをやることに対する憧れや夢が生まれてほしいんですよね。やはり、世代ごとにヒーロー的存在のアーティストがいて、それに憧れることでバンドを始めたり、夢が生まれたりするのは大事だと思うんです。僕らの世代ではHi-STANDARD(以下、ハイスタ)がいた。その後も、ELLEGARDENやマキシマム ザ ホルモンやONE OK ROCKが登場してきた。ただ、ヒーローは1人だけじゃないですから。このフェスに出演しているバンドの一つひとつに憧れるようになってほしいです。


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