1ドル=121円を超える円安の常態化は日米経済にとって好ましくない
4月13日の夜(日本時間)、新年度に入って、1ドル=121円台に向かいつつあったドル円レートが、突然、円高へ転じ、1ドル=119円前半まで戻した。きっかけは、某民放BSのニュース番組で、浜田宏一内閣府参与が、「現在のドル円レートは購買力平価と比較すると円安で推移している。購買力平価でみたドル円レートの『適正』水準は1ドル=105円程度である」と、為替レートに言及したコメントが、英訳されて報道されたことであった。
浜田宏一氏は、安倍政権の経済政策のブレーンの一人であり、「アベノミクス」の立役者の一人である。筆者はこの時間帯には別の番組を観ていたので、浜田参与の発言内容をリアルタイムでチェックしていたわけではないが、安倍政権の経済政策のブレーンが「現在の円安は行き過ぎた水準になりつつある」という旨の発言をしたことは、為替市場関係者にとって、久々にサプライズをもたらしたのだろう。
浜田参与の発言は、日本の為替政策に影響を与える意図をもったものではなく、個人的な見解を述べられたのだと思うが、もう一人の経済政策のブレーンである本田悦朗内閣府参与も1ドル=120円を恒常的に超えていくようなさらなる円安進行に対しては警戒的な発言をしている。
ところで、為替レートの決定メカニズムや、「適正な」ドルレートの水準については、さまざまな考え方があるため、一概にどれが正しい考え方とは言い切れない。だが、「購買力平価」が為替レートの中長期的な水準を示すというのが一般的な認識であろう。
筆者が大学時代に購入した教科書の中の一冊である『現代国際金融論』(小宮隆太郎・須田美矢子著、日本経済新聞社)では、為替レートの決定理論を、「短期」「中期」「長期」に分類してそれぞれを詳細に考察しているが、(あくまでも)経済学の理論をベースとした予測を行う際に参考になるのは、「長期」理論である「購買力平価」くらいであって、「短期」「中期」の理論は為替レートの予測には役に立ちそうにない、と書いてあった記憶がある。
この「購買力平価」を簡単に言えば、「為替レートは、2国の物価水準の比率(ドル円レートであれば、日米の物価水準)が為替レートに等しくなるように決まる(ニューヨークと東京で同じ種類のハンバーガーが同じ値段になるように為替レートが決まるという例え話がよく用いられる)」というものである。
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