特別攻撃(特攻)による戦死者も少なくない旧海軍甲種飛行予科練習生(予科練)のうち、長野県出身者の同窓会「県甲飛(こうひ)会」が、松本市の県護国神社で16日に開く慰霊祭を最後に解散することが14日、分かった。終戦時16歳ほどと比較的若い人もいたが、高齢化で会員が減少。戦後70年の節目で解散することになった。
甲種予科練は1937(昭和12)年の1期生から敗戦直前の16期生まで。県出身者には特攻で戦死した人のほか、海軍が開発した人間魚雷「回天(かいてん)」や特殊潜航艇「海龍」の搭乗員として訓練させられた会員もいる。
県甲飛会は84年に発足し、毎年、善光寺(長野市)と県護国神社で交互に慰霊祭・慰霊法要を開催。仲間の慰霊旅行も重ね、会員の親睦を深めた。元練習生の会員は当初約400人いたが、現在は約100人だ。
会報は担当者が亡くなって2011年7月の通算51号を最後に発行できなくなり、回天の元訓練搭乗員で今年の慰霊祭実行委員長を務める予定だった伊那市の会員も昨秋死去。今年の慰霊祭に参加予定の元練習生は20人に満たない状態で、会員の高齢化にあらがうことができなくなった。
細田圭一会長(94)=茅野市=は会員唯一の1期生で、攻撃機搭乗員としてマレー沖海戦に参加。同期250人のうち182人が戦死しており、「断腸の思いだが、これまでできたことがうれしい。みんなと名残惜しんで終わりにしたい」。12期生で元ゼロ戦パイロットの小笹幸夫さん(89)=長野市=は「今後は個々に慰霊する。命を懸けた仲間のつながりには目に見えないものが案外ある。機会をみて数人でも集まるもんだよ」と前向きに話した。