出身地などの地方自治体に寄付をすると税金が減額され、地元名産品などのプレゼントも受けられる「ふるさと納税」制度が、4月から拡充された。同制度は地元の魅力を発信しながら、財源も確保できるとして自治体からも人気だ。ただ、寄付者に返礼品として換金性の高いものを「特典」としてプレゼントする例も横行している。制度を上手に使う自治体があると同時に、何を打ち出すべきか頭を抱える自治体の姿が浮かび上がってくる。
長野県阿南(あなん)町は、2年前から1万円の寄付に対し地元産米20キロ、3万円で60キロをプレゼントする「特典」を始めたところ、たちまち人気を呼び、平成26年度の寄付額は約2億円と町税収入の半分に達した。
同町は制度拡充や業務の効率化の観点から、27年度から初めてインターネットでの受け付けを導入したところ、利便性と気軽さからか申し込みが殺到し、システムがパンクする事態に。6日から始めた受け付けをわずか1日で打ち切り、一時休止を余儀なくされた。
山口県岩国市は、10万円以上の寄付者に対し、海外でも知名度が高い日本酒「獺祭(だっさい)」を贈り、反響を呼んでいる。
4月1日から受け付けを始めたところ、たった5日で予定していた120件を達成してしまい、「獺祭」の受け付けは直ちに終了した。同市は第2弾を検討しているという。
ふるさと納税は、生まれ故郷や応援した都道府県、市区町村に寄付すると、所得税や個人住民税の税額が控除される制度で、20年に始まった。阿南町や岩国市のように地元の魅力を前面に打ち出して寄付者の関心を呼ぶ自治体は着々と増えている。26年の寄付総額は約142億円で、制度がスタートした20年の約73億円から倍増した。
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