ろくでなし子初公判「表現したい人には怖いこと」

2015年4月16日6時0分  スポーツ報知
  • 初公判後に会見する「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告
  • 初公判後に会見する「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告

 自分の女性器の立体的データを他者に提供したなどとして、わいせつ電磁的記録頒布の罪などに問われた「ろくでなし子」こと漫画家の五十嵐恵被告(43)の初公判が15日、東京地裁(田辺三保子裁判長)で開かれ、五十嵐被告は「私のアート作品はわいせつではない」と無罪を主張した。「わいせつ」の基準が時代とともに変化してきた中で、今回の司法判断に注目が集まる。

 大きな黒リボンを頭に付け、白い丸襟の濃紺ワンピース姿で出廷した五十嵐被告は、意見陳述で「ユーモアあふれる楽しい作品を作ることで(女性器の)セックスやひわいなイメージを払拭したかった」と述べた。昨年12月の勾留理由開示公判で連呼し、裁判官から注意された女性器の呼称は一度しか発しなかった。

 起訴状によると、五十嵐被告は2013年10月と昨年3月、自分の性器と同形のものを3Dプリンターで作れるデータをインターネットを介して配ったほか、昨年7月に都内のアダルトショップで女性器をかたどった作品を展示したとして罪に問われている。検察側は冒頭陳述で「被告は作品を制作するため、ネット上で寄付を募り約100万円を集めた」と指摘。一方の弁護側は、わいせつを取り締まる刑法175条の規定は「表現の自由や知る権利を侵害して違憲」と主張した。

 さらに弁護側は、検察側による証拠物展示の際、女性器をかたどった土台に様々なデコレーションを加えた作品「デコまん」を、傍聴席から見えないようにして展示したことに異議を申し立てた。異議は裁判官に棄却されたが、閉廷後の会見で「裁判の公開の原則に反する。わいせつであるという予断と偏見を持って裁判所は裁判をしているのではないか」と指摘した。

 五十嵐被告が公判後に「表現をしたい人には怖いこと。こんなに恐ろしいことがあってはならない」とした今回の裁判。今後の争点は、五十嵐被告の作品が1957年の「チャタレイ夫人の恋人」裁判の最高裁有罪判決で示された「わいせつ3要件」(〈1〉いたずらに性欲を刺激または興奮させる〈2〉性的羞恥心を害する〈3〉性的道義観念に反する)を満たすか否かとなる。

 わいせつ性の基準を巡る問題は、男女の性行為のスチール写真を掲載した76年の映画「愛のコリーダ」(大島渚監督)裁判での無罪判決、93年頃のいわゆる「ヘア解禁」の動きなど、時代に応じて変化を遂げており、今回の司法判断が注目される。

 ◆チャタレイ裁判 1950年、激しい性描写を含む英作家ロレンスの小説「チャタレイ夫人の恋人」の翻訳本がわいせつ文書販売罪に問われ、57年の最高裁で翻訳者の作家・伊藤整らの有罪が確定。罰金刑を受けた。判決で示された「わいせつ3要件」は現在も、わいせつ性を問う裁判の判断基準とされる。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
社会
今日のスポーツ報知(東京版)